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有棘細胞がん



表皮の有棘層の細胞ががん化する皮膚がん

 有棘(ゆうきょく)細胞がんとは、表皮の有棘層の細胞ががん化する皮膚がん。日本人に多い皮膚がんの1つで、基底細胞がんに次いで発生頻度が高くなっています。
 皮膚は、表面から表皮、真皮、その深部の皮下組織の3層から構成されています。表皮は、さらに表面側から順に、角質層、顆粒(かりゅう)層、有棘層、基底層の4層に分けられます。表皮の最下層である基底層は、真皮と接しています。真皮には、血管、神経、毛嚢(もうのう)、脂腺(しせん)、汗腺、立毛筋などの組織があります。
 有棘細胞がんは、表皮の中間層を占める有棘層を構成する細胞から発生します。
 長年にわたり日光に含まれる紫外線を浴び続けた顔面、耳、前腕、手の甲などの皮膚に、光線角化症(日光角化症)と呼ばれる、かさつきのある紅斑(こうはん)ができることがあります。口唇、主に下唇にも同じような病変ができることがあり、光線性口唇炎(日光口唇炎)と呼ばれます。光線角化症と光線性口唇炎は、ごく早期の有棘細胞がんに相当し、がん細胞は表皮のみにとどまり、表皮内がんとも呼ばれます。また、原因が特定できない表皮内がんをボーエン病と呼びます。
 光線角化症、光線性口唇炎、ボーエン病のいずれも進行すると、皮膚の深部に浸潤し、角質を多く含む組織に変化する角化を伴う腫瘍(しゅよう)や潰瘍(かいよう)を形成し悪臭を伴うようになり、リンパ節転移や遠隔転移を起こすことがあります。
 有棘細胞がんの原因として最も多いのは日光に含まれる紫外線、特に中波長紫外線に長期間にわたって当たることですが、やけどの跡(熱傷瘢痕〈はんこん〉)、放射線による皮膚炎、慢性の炎症(骨髄炎、褥瘡〈じょくそう〉、膿皮〈のうひ〉症など)、パピローマウイルスの感染、タールの長期暴露、慢性ヒ素中毒など、さまざまな原因で有棘細胞がんが発生することがあります。

有棘細胞がんの検査と診断と治療

皮膚科、皮膚泌尿器科、皮膚腫瘍科の医師による診断では、視診で見当がつきますが、診断を確定するためには、局所麻酔をして皮膚病変の一部を切り取り切り顕微鏡で調べる生検と、これまでの生活歴の把握が必要です。
 そのほかに、腫瘍の浸潤の深さや転移など、病変の広がりを調べるために、超音波(エコー)検査を始め、CTやMRI、PETと呼ばれる画像検査を行うこともあります。
 皮膚科、皮膚泌尿器科、皮膚腫瘍科の医師による治療では、光線角化症やボーエン病のような表皮内がんの段階であれば、病変の切除で完治します。
 また、顔や頭部に発生した光線角化症では、病変の切除のほかに、イミキモド(ベセルナクリーム)による外用治療が可能な場合もあります。イミキモドを塗布すると皮膚の免疫系を活性化し、強い炎症を起こすことでがん細胞を除去する効果があります。欠点として、塗布した皮と膚が荒れて、びらん、痛みが出ることがあること、治療期間が2〜4カ月と比較的長いことが挙げられます。また、角化が強い場合は効果がないことがあります。
 有棘細胞がんに進行した場合は、原則として手術により切除します。病変の進行度にもよりますが、通常、病変辺縁より0・5〜2センチ程度離して切除します。切除後の皮膚欠損が大きくなった場合には、植皮や皮弁などの再建手術を行います。
 再発の危険性が高い場合は、手術後に放射線治療を追加することがあります。また、手術ができない場合や遠隔転移がある場合は、放射線治療、抗がん剤治療を単独あるいは組み合わせて行います。
 放射線を照射する放射線治療は、手術に比べ根治率はやや劣るものの比較的高い効果があり、有棘細胞がんにもしばしば適用されています。しかし、切除する治療である手術に比べると、がん細胞が残ってしまったり、その結果として再発しやすかったりするため、体の調子がよくないなど手術ができない場合に行われたり、目の周囲などがんが発生した部位などの理由から手術が勧められない場合に実施されることが多くなっています。また、最初に手術した結果、顕微鏡の検査で取り切れなかったことが確認された場合に、再手術の代わりに放射線治療が行われることもあります。
 抗がん剤治療は通常、手術不可能な進行例に適用します。また、化学放射線療法として、放射線治療と組み合わせて同時に行うことがあります。
 病気の進行を遅らせることを目標にした抗がん剤治療として、主にシスプラチン(カルボプラチン)とアドリアシン(エピルビシン)を併用するCA療法のほか、イリノテカン(CPTー11)などが使用されています。しかし、有棘細胞がんに対する効き目が得られないこともあります。

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