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マロリー・ワイス症候群



激しい嘔吐により、食道と胃の境界付近の粘膜が裂けて出血する疾患

マロリー・ワイス症候群とは、激しい嘔吐(おうと)によって、食道と胃の境界付近の粘膜が裂けて出血する疾患。出血により吐血、または下血を起こします。

疾患名は、1929年に初めて報告した2人の医師、ジョージ・ケネス・マロリーとソーマ・ワイスに由来します。日本における発症は男性に多く、発症年齢は平均45〜50歳とされています。

一般に酒を飲んだ後に嘔吐して起こることが多いのですが、胃と十二指腸の境界部にある幽門に狭窄(きょうさく)があるために、胃から十二指腸への食べ物の通過が悪くなって嘔吐する時や、食中毒、乗り物酔い(動揺病)、妊娠中のつわりで嘔吐する時、腹部を打撲した時、排便時に力んだ時にも起こります。

むかつきがあるなど強い圧力が胃に加わると、胃の幽門は閉じて、幽門近くから縮まり、胃の中のものを上に押し上げます。これによって、食道と胃の境界付近がアコーディオンのように押し込められて、中の圧力が著しく高くなり、ついには粘膜に縦長の裂傷ができて出血します。

症状は、吐血、下血のほか、鋭い胸の痛み、呼吸困難、立ちくらみなどがあります。吐血は強い嘔吐を何度か繰り返した後にみられますが、1回目の嘔吐で吐血することもあります。鋭い胸の痛みを伴う場合は、特発性食道破裂の可能性があります。

大量出血した場合は、精神的な影響も加わってショック状態となり、意識はもうろうとなります。

マロリー・ワイス症候群の検査と診断と治療

ほとんどのケースで保存的治療が可能ですので、嘔吐した時や出血した場合は、なるべく早く内視鏡検査が行える診療所、病院を受診します。

医師は一般の血液検査で、貧血の状態をみます。裂傷部分の判定には、以前は胃X線検査を行っていたのですが、裂傷部が浅い場合はわからないため、現在は上部内視鏡検査(胃カメラ)を行っています。内視鏡検査では、どこから出血しているか、裂傷の深さ、大きさ、出血がどのような形態か、すなわち動脈性か、じわじわとした出血か、すでに止まっているかなどを観察します。

治療としては、軽症で出血が少ない場合は入院して、安静と絶食をしながら点滴を受け、裂けてしまった粘膜が自然に止血して回復するのを待ちます。出血が多く続く場合や、出血が止まっていても避けている部分が大きくて再出血する可能性が高い場合は、内視鏡下でレーザーを使って粘膜の裂傷部分を閉じ止血処置をします。止血処置には、裂傷の露出している血管にクリップをかける方法、血管を電気焼灼(しょうしゃく)する方法などがあります。

処置後は、安静、絶食、点滴などの治療を行い、裂傷の治療としてH2ブロッカーなどの胃酸分泌抑制剤を服用します。

大量出血した場合は、輸血が必要となることもあります。止血に時間がかかる場合は、内視鏡下で止血し、それでもなお止血が困難であれば手術をすることもあります。なお、食道破裂の場合は、すぐに手術する必要があります。

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