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メイヤー・ロキタンスキー・キュスター・ハウザー症候群


子宮の発育が不完全で、膣が全くない先天性の障害

メイヤー・ロキタンスキー・キュスター・ハウザー症候群とは、先天的に女性の腟(ちつ)全部が欠損し、機能性子宮を持たない疾患。ロキタンスキー症候群、ロキタンスキー・キュストナー・ハウザー症候群とも呼ばれます。

このメイヤー・ロキタンスキー・キュスター・ハウザー症候群は、先天的に女性の腟の一部、または全部が欠損した腟欠損症の一種で、その中で最も頻度の高いものです。

腟欠損症の女性では、先天的な原因により腟や子宮の異常がさまざまな程度に起こります。染色体は正常女性型で、卵巣はほとんど正常にあり、女性ホルモンも正常に出ています。外陰部も正常で、女性としての二次性徴も正常です。

母親の子宮の中にいる胎児の時には、卵巣、腟・子宮・卵管、外陰部は別々に発生してきて、本来はこれらがうまくつながります。このうち、腟・子宮・卵管はミュラー管という組織が分化して形作られますが、たまたま分化が行われずに発生不全が起きると、子宮はわずかに痕跡(こんせき)を残す程度にしか発育せず、腟も長さが2~3センチと短いか、全くない状態になります。これが腟欠損症です。

はっきりした原因はまだわかっていませんが、血管に異常が起こってミュラー管へ血液が流れなくなり、正常な発生ができなくなると推測されています。

腟欠損症は、医学的には上部腟欠損、下部腟欠損、全腟欠損に分類されます。頻度は4000~5000人に1人とされ、そのうち95パーセントは月経を起こし得る機能性子宮を持ちません。

機能性子宮を持たず、全腟が欠損しているメイヤー・ロキタンスキー・キュスター・ハウザー症候群は、月経機能を失っている状態で、月経血の貯留による症状はみられず、無月経がほぼ唯一の症状となります。

卵巣からの排卵はありますが、体内で死滅して吸収され、体外に排出されるということはありません。また、先天的に腟全部が欠損していますので、普通の性行為はできません。まれに、骨の異常があることもあります。

自然妊娠はできませんが、メイヤー・ロキタンスキー・キュスター・ハウザー症候群では膣や子宮に問題があっても、卵巣機能に異常はなく正常に機能している場合がほとんどですので、当然卵子は正常に作られています。つまり、卵子を採取して体外受精を行い、代理出産すれば、遺伝的につながった自分の子供を持つことは可能です。

倫理的な問題や、代理出産に伴うリスクなど課題を残しながらも、不妊に悩む人にとって代理出産は最後の切り札ともいえます。

メイヤー・ロキタンスキー・キュスター・ハウザー症候群に気付いたら、婦人科医、ないし産婦人科医を受診してください。

メイヤー・ロキタンスキー・キュスター・ハウザー症候群の検査と診断と治療

婦人科、産婦人科の医師による診断は、内診のほか、超音波検査、MRI検査、基礎体温の測定、血液中ホルモン検査、腎臓(じんぞう)と尿管の検査、骨のレントゲンなどを行います。

婦人科、産婦人科の医師による治療では、性行為ができるように人工的に膣を造る造腟手術を行います。子宮に異常を伴うため自然妊娠は不可能で、造腟手術により性行為を可能にして患者の精神的不具感をいやすことが治療の主眼となります。手術は、思春期以降の性的関係を持つ時期を目安に行われます。

造腟手術には数多くの術式があり、今なおさまざまな工夫が試みられています。主な術式は、フランク法、マッキンドー法、ダビドフ法、ルーゲ法の4つです。

フランク法は、腟前庭(ぜんてい)をヘガール持針器などで圧伸して腟腔(ちつくう)を形成したのち、その腟腔を拡張する方法。マッキンドー法は、出血を余儀なくされる処置で腟腔を形成したのち、皮膚移植により腟壁を形成する方法。ダビドフ法は、出血を余儀なくされる処置で腟腔を形成したのち、骨盤腹膜を利用して腟壁を形成する方法。ルーゲ法は、出血を余儀なくされる処置で腟腔を形成したのち、開腹してS状結腸を切り離し、腟管として利用する方法。

以上4つの方法が従来行われてきましたが、近年では腹腔鏡下手術が行われることも増えてきました。患者の体にかかる負担を軽減し、骨盤腹膜やS状結腸を使った手術が可能となっています。

このような手術の後には、膣管の状態を維持する必要があります。定期的な性交渉やプロテーゼ(腟ダイレーター)により、状態を保たなければいけません。プロテーゼ(腟ダイレーター)とは、筒状の拡張器具のことを指し、皮膚を伸展させて腟腔を形成する目的で使用されます。

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