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発達障害



脳の機能的な問題が原因

発達障害とは、乳児期から幼児期にかけての発達過程が何らかの原因によって阻害され、認知、言語、社会性、運動などの機能の獲得が障害された症状の総称。基本的には、脳の機能的な問題が原因で起こるものです。

脳医学の進歩により、今までは落ち着きがない、集中力がない、親の躾(しつけ)がなってないといわれていた子供たちの脳に、発達の遅れや障害が見付かるようになり、それぞれの症状に応じて名称が付けられています。どの発達障害にも共通しているのは、人とのコミュニケーションが苦手という点です。

多くの子供たちは成長とともに、障害を適切な療育や教育によって克服したり、投薬で自己コントロールの方法を学んでいきます。大人になっても発達障害の克服が難しい場合は、障害者手帳の交付などを受けて、福祉支援を受けることができます。

発達障害の代表的なものとして、知的障害(精神発達遅滞)、広汎性発達障害(自閉症)、高機能広汎性発達障害(アスペルガー症候群・高機能自閉症)、注意欠陥多動性障害(AD/HD)、学習障害(LD)などがあります。

発達障害の原因は遺伝子異常、染色体異常、体内環境の異常、周産期の異常、生まれた後の病気や環境などさまざまですが、多くの場合、はっきりとした原因はわかりません。養育態度の問題など心理的な環境要因や教育が原因となったものは、発達障害に含めません。

学術的には、発達障害に知的障害を含みますが、一般的に、あるいは法律上は、知的障害を伴わない軽度発達障害だけを指します。平成17年4月に施行された発達障害者支援法も、知的障害者以外の軽度発達障害者だけを支援対象として規定しています。

軽度発達障害は、高機能広汎性発達障害、注意欠陥多動性障害、学習障害の3つが代表的なものです。この軽度発達障害の子供では、障害の程度が軽く、一見普通と変わらないた、社会での認知度が低く、わがままや育て方の問題などとされていることが少なくありません。学童期の子供の5~6パーセントが軽度発達障害と考えられており、とりわけ教育現場での適切な対応が求められています。

発達障害のそれぞれの症状

知的障害(精神発達遅滞)は、年齢相応の知的能力がなく、社会的自立の上で支援が必要とされます。ダウン症など染色体異常によるものもありますが、原因が特定できないものも多くあります。人口の2~3パーセントが該当すると見なされ、知的障害者の福祉制度を利用することが可能です。

広汎性発達障害(自閉症)は、主たる兆候が幼児期に顕著。生後3年以内に下記の3つの兆候が同時にある場合に、自閉症と診断されます。(1)社会性の障害で、他者とのやりとりが苦手、他者の意図や感情が読み取りにくい、仲間を作ることが苦手。(2)コミュニケーションの障害で、言葉の発達が遅れる、おうむ返しが多い、会話が一方的で自分の興味関心事だけ話す、ごっこ遊びや物まね遊びができない。(3)こだわり行動で、興味の偏りと決まりきったパターンへの固執、同じ行動をいつまでも繰り返す。人口の0.5パーセント程度が自閉症に該当すると見なされ、知的障害者の福祉制度を利用することが可能です。

高機能広汎性発達障害 (アスペルガー症候群・高機能自閉症)は、自閉症と同じ幼児期の兆候を持ちますが、発達するにつれて症状が目立たなくなります。自閉症と診断されても、知的な遅れのないものが高機能自閉症で、さらに言葉の発達に問題を持たないものがアスペルガー症候群です。

知的には標準またはそれ以上で、関心ある領域には博士並みの知識を持っていることがあり、自分の気持ちがすむかどうかへのこだわりがあります。また、動作が不器用であることが少なくありません。中核症状である社会性の障害は軽くはなく、仕事の得手不得手があり、あいまいなことの判断に迷うなど、社会的自立においては大きな問題を持ちます。

注意欠陥多動性障害(AD/HD)は、(1)注意集中が難しい、(2)多動、落ち着きがない、(3)衝動的、思い付いたらた行動に移してしまうの3つが同時にある場合に、障害と診断されます。学業や社会的な活動に支障を来し、集団生活が始まると特徴が次第にはっきりしてきます。

「注意集中が難しい」は、忘れ物が多い、気が散りやすい、指示に従えず授業を最後までやり遂げられない、気持ちを集中させて努力し続けなければならない課題を避けるなどの症状を指しています。「多動」は、すぐに席を離れてしまう、手足をいつもそわそわ動かしている、しゃべりすぎるなどが特徴です。「衝動的」は、順番を待つのが難しい、他の人がしていることを遮ったり、じゃましたりする、すぐにキレて手が出てしまうなどの症状です。チックを伴っていることもよくあり、人口の3パーセント程度が該当すると見なされますが、薬物療法が著効する場合もあります。

学習障害(LD)は、一般的な知的発達は標準またはそれ以上ですが、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論するなどの特定能力の一部だけの習得と使用に困難を示し、学力の著しい偏りがあります。読み書きがとても不得意、数の概念がわからず計算ができない、テストの問題の意味がわからないといった症状がみられます。注意集中力や落ち着きがない場合や、不器用な場合もあります。人口の5パーセント程度が該当するというデータもあります。

以上の発達障害の、それぞれの症状とは別に、周囲から障害を理解されないために、家族から虐待されたり、同級生や教師から不当ないじめにあったりすることが、少なくありません。それによって2次的に心因反応が起こったり、身体化症状が出たりすることがよくあります。

一般的な治療法と生活上の注意

児童精神科医、小児神経専門医を始めとした医師による診断では、面接や診察、質問用紙や発達テストなどを使って、症状を調べます。実際には、それぞれの病気がきちんと分かれて診断されるとは限らず、症状が重なっていることが少なくありません。

また、それぞれのの発達障害に対する根本的な治療はなく、どのように社会に適応していくかということが大切になります。

高機能広汎性発達障害は、基本的には治る病気ではありません。社会生活でのトラブルをたくさん経験することになりますが、青年期を上手に過ごすことができれば、その後の生活も安定して過ごせることが多いといわれています。

注意欠陥多動性障害は、その約3分の1は自然に治ります。しかし、約半数は成人になっても障害を持ち続け、社会生活のトラブルの原因となることがあります。

この注意欠陥多動性障害には、中枢神経興奮剤の塩酸メチルフェニデートが有効とされています。この薬には覚醒(かくせい)作用があり、多動を抑制し集中力を高める効果があります。

しかし、効果は3~4時間と短いため、学校での生活に合わせて朝1回、あるいは朝昼2回服用とします。休日や夏休みには使用しないのが、一般的です。副作用として食欲不振、興奮、チック症状の悪化などがあります。実際によく使われていますが、日本の保険制度では効能、効果として注意欠陥多動性障害は認められていません。6歳未満の小児では安全性が確立していないため、使用しないことになっています。

塩酸メチルフェニデートの効果がない場合、抗うつ薬のイミプラミンが有効なことがあります。また、中枢性降圧剤のクロニジンも有効なことがあり、特にクロニジンはチック症状にも効果があるとされています。

薬物は根本的な治療ではないとして、治療に反対する意見もあります。アメリカでは、注意欠陥多動性障害の治療のために塩酸メチルフェニデートを投与されていた大人や子どもに死亡例があることを、食品医薬品局(FDAF)が公表し、注意を促しています。

学習障害は、障害がなくなるということはありません。しかし、自分をきちんと理解し適切な仕事につければ、普通の社会生活を送ることができます。

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