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反射性尿失禁



尿意がないのに、膀胱が反射的に収縮して尿が漏れる状態

反射性尿失禁とは、尿意を感じることができないまま、膀胱(ぼうこう)に尿が一定量たまると反射的に排尿が起こる状態。

尿意を感じることができないため排尿の抑制ができず、腎臓(じんぞう)から尿が膀胱に送られた時に刺激が加わると、膀胱壁の筋肉である排尿筋が反射的に収縮して、自分の意思とは無関係に、不意に失禁が起こります。

脳、脊髄(せきずい)など中枢神経系の障害や、交通事故などによる脊髄の損傷などによる後遺症の一つとして、脳の排尿中枢による抑制路が遮断されてしまうことによって起こります。膀胱には物理的に十分な量の尿がたまっているにもかかわらず、尿意が大脳まで伝わらないので尿意を催すことがなく、排尿を自分でコントロールすることができません。

膀胱からの感覚は、脊髄反射により直接的に膀胱括約筋を刺激して、反射的に膀胱収縮を起こして排尿を起こします。漏れ出る尿量は多いことが、特徴です。

逆に、排尿筋が反射的に収縮して膀胱が収縮する時に、外尿道括約筋が弛緩(しかん)せず尿道が閉鎖したままになると、膀胱内の圧力が異常に高くなり、腎臓に尿が逆流する膀胱尿管逆流症を起こします。尿の逆流を放置して進行すると、腎機能障害が起こりやすくなります。

反射性尿失禁の検査と診断と治療

泌尿器科の医師による診断では、症状および各種検査を総合し、反射性尿失禁の原因を確定します。

一般的には問診、尿の成分や感染症の有無を調べる尿検査、膀胱内の残尿量を調べる腹部超音波検査、尿が出始めてから終わるまでの量の変化を調べる尿流量検査、膀胱の収縮パターンを見る膀胱内圧測定のほか、尿道括約筋のパターンを表す尿道括約筋・筋電図測定、尿流量測定と膀胱内圧測定を同時に行うプレッシャーフロー・スタディ、あるいは尿失禁負荷テスト(ストレステスト)、尿失禁定量テスト(パッドテスト)などを行って、反射性尿失禁の原因を探ります。

泌尿器科の医師による治療では、排尿訓練、自己導尿法、骨盤底筋体操、薬物療法、外科的治療、電気刺激療法などを行います。

排尿訓練は、何度も早めに排尿する訓練を行います。自己導尿法は、清潔なカテーテルを自分で膀胱内に挿入し、尿を排出させるものです。

骨盤底筋体操は、膀胱周囲の尿道、膣(ちつ)、肛門(こうもん)を締める体操で骨盤底筋を鍛えることで、症状が軽い反射性尿失禁を防ぐものです。

薬物療法は、膀胱の収縮を阻止し、副交感神経に働く抗コリン剤(ポラキス、BUP−4)、または膀胱壁の筋肉である排尿筋を弛緩(しかん)させるカルシウム拮抗(きっこう)剤(アダラート、ヘルベッサー、ペルジピン)を用います。膀胱尿管逆流症を起こしている場合は、抗コリン剤により膀胱内圧を下げ、カテーテルで残尿を排出する自己導尿法を行います。

外科的治療は、原因となる脊髄損傷がある時に機能を回復させる手術を行うことで、失禁を起こさないようにします。神経の疾患はなかなか治療の難しいことが多く、尿道括約筋の機能が低下している場合には、尿道の周囲にコラーゲンを注入する治療や、尿道括約筋を圧迫するように腹部の組織や人工線維で尿道を支えるスリング手術、日本ではあまり行われていない人工括約筋埋め込み術を行うこともあります。

電気刺激療法は、膀胱の周囲に電極を取り付けて、20~30分ほど電気パルスを送るものです。電気刺激によって必要な筋肉を収縮させ、骨盤底筋を鍛える効果があります。

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