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ヘルペス



ヘルペスウイルスの感染で、皮膚や粘膜に疱疹が発生

■ヘルペスの正体

「ヘルペス」とは、「ヘルペスウイルス」というウイルスが皮膚や粘膜に感染して、疱疹(ほうしん)ができる病気のこと。疱疹とは、小さな水疱や膿疱(のうほう)が固まってできる症状のことです。

そのように聞くと少し怖い気もするでしょうが、実は、ヘルペスウイルスはごく一般的なウイルスなのです。唇の回りに水ぶくれができる「口唇ヘルペス」を例にとれば、ウイルスに感染している日本人は、20~30代で約半数、60代以上ではほとんど、というデータもあるほどです。

ヘルペスウイルスの特徴は、感染すると症状が治った後も人の細胞の中にじっと隠れていて、ふだんは症状が出てこない点。ところが、風邪や疲れなどで体の抵抗力が落ちると、突然出てきて暴れ出す。例えば「帯状疱疹」は、子供の頃にかかった水ぼうそうのウイルスが長い間体内に隠れていた後、突然暴れ出してしまう病気なのです。

ただ、一口に「ヘルペス」といっても症状はいろいろ。ヘルペスウイルスにはいくつかの種類があり、それによって引き起こされる病気も違ってくるからです。

主なヘルペスウイルス

                 病     気

水痘・帯状疱疹ウイルス

水痘(水ぼうそう)、帯状疱疹

単純ヘルペスウイル1型

口唇ヘルペス、ヘルペス性歯肉口内炎、ヘルペス性角膜炎、カポジ水痘様発疹症、性器ヘルペス、ヘルペス性脳炎など

単純ヘルペスウイル2型

性器ヘルペス、臀部ヘルペス、ヘルペス性髄膜炎

 

■ヘルペスの気になる症状

………………………帯状疱疹…………………………………

「帯状疱疹」は文字通り、胸から背中にかけてなど、体に帯状の水ぶくれが現れる病気。一般的には体の左右どちらか一方に現れますが、病気などで免疫力が低下している時には、帯状のものに加えて水ぼうそうのような水ぶくれが、全身に出る場合があります。さらに、ウイルスは神経を通って皮膚に出てくるため、激しい痛みを伴うことが多いのも特徴です。

初めの症状は、チクチクした痛み。数日すると、痛みを感じる部分が赤くなって、水ぶくれができてきます。体のどこにでも症状は出ますが、胸から背中にかけてが一番多く、顔や手足、お腹やお尻(しり)の下などに現れることもあります。

痛みが始まってから、かさぶたになって治るまで約3週間~1カ月くらいかかり、痛みもその頃に消えることが多いようです。しかし、たまに「帯状疱疹後神経痛」といって、皮膚の症状が治った後もかなり長期間にわたって痛みが続くことがあるので、注意が必要です。 

………………………口唇ヘルペス……………………………

「口唇ヘルペス」という病名は初耳でも、風邪で体調を崩した時や疲れがたまった時などに、唇の辺りにできるデキモノに悩んだ経験のある人は、多いのではないでしょうか。「風邪の華」、「熱の華」とも呼ばれるこの症状が、実は口唇ヘルペス。日本人の10人に1人が罹患したことがあるといわれるほど、一般的な病気なのです。

初め、唇や口の回りが赤くなり、数日後、小さな水ぶくれができます。ムズムズとしたかゆみや、皮膚のほてり、ピリピリとした痛みを感じることもあります。大抵、水ぶくれは2週間くらいで、かさぶたとなって治癒します。 

………………………性器ヘルペス……………………………

性器やお尻の周辺の皮膚に、赤いブツブツや水ぶくれ、ただれができる病気。通常、性交渉などで感染してから、2日~12日で発症します。

初めてかかった時には、強い痛みや発熱を伴う場合があります。再発の場合には、小さな水ぶくれやただれができるだけの、軽い症状ですむことが多いようです。また、感染しても症状の出ない人や症状に気付いていない人もいるため、自分では気付かないまま、他人に移してしまうこともあります。

■再発しやすい病気

帯状疱疹は一度かかったら、再発することはまれなのですが、口唇ヘルペス・性器ヘルペスの厄介なところは、なんといっても再発しやすいことです。治ったと思っても、ウイルスは神経細胞の中にひっそりと隠れていて、再び暴れ出す機会をじっと待っています。

 再発を防ぐためには、日頃から体調管理や心身のリフレッシュを心掛け、ウイルスに負けない体をつくることが、必要となります。

■ヘルペスの治療法

ヘルペスも、早めの治療が大切です。早い時期に治療を始めるほど、軽い症状ですむし、治りも早いのです。通常、ヘルペスは皮膚科が得意とする病気なのですが、患部が性器の周辺の場合は、男性なら泌尿器科、女性なら婦人科でもよいでしょう。

帯状疱疹の症状では、神経痛に似た痛みが伴うこともあるので、初期の段階では、整形外科や内科にかかる人も多いようです。しかしながら、帯状疱疹は普通、一生に一度しかかからないし、水ぶくれが出ていないと、医師でも診断が難しい病気です。早期に効果的な治療が受けられるように、私たち患者自身が病気の知識をきちんと身に着けておくことも、大切といえそうです。

ヘルペスの治療法の現状について簡単に述べると、ウイルスの増殖を抑える働きがある、バラシクロビル、アシクロビル、ビダラビンなどの「抗ヘルペス薬」が使われています。これらの抗ヘルペス薬には塗り薬と飲み薬がありますが、ヘルペスは体内に潜んでいたウイルスが逆戻りをして症状が起きるため、飲み薬で体のもとからヘルペスウイルスの増殖を抑えることが、有効といわれています。症状がひどい場合には、入院して点滴注射をすることもあります。

口唇ヘルペス・性器ヘルペスの再発の場合、ピリピリ、チクチク、ムズムズといった前兆を感じたら、早めに受診して治療を受けることが、早く治すための近道となります。強い痛みに対しては、鎮痛剤などを投与することもあります。

 ただ、皮膚の帯状疱疹が治った後に残る帯状疱疹後神経痛の場合は、少し状況が違っています。

実は、帯状疱疹後神経痛はヘルペスウイルスによって、神経が破壊されてしまうことが原因。抗ヘルペス薬はヘルペスウイルスが増えるのを抑える薬なので、ヘルペスウイルスが活動していない時期の痛みをとることはできません。一旦、傷付いた神経を治療するのは困難ですし、長期間の治療が必要になってしまうこともあります。だから、帯状疱疹後神経痛が残らないように、できるだけ早く皮膚科で診てもらうことが、帯状疱疹では大切なのです。

■日常生活での注意点

∞∞∞∞∞口唇ヘルペスや性器ヘルペスでは、患部を自分自身で触ることで、他の部位に移してしまう危険もある。ムズムズやピリピリ感が気になって、無意識に触ってしまうこともあるから注意しよう∞∞∞∞∞

∞∞∞∞∞患部に触れた後や、外用薬を塗った後には、しっかり手を洗おう∞∞∞∞∞

∞∞∞∞∞患部に触れた指で目を触らないこと。コンタクトレンズを唾液で濡らして装着しないこと(目に感染して発症する角膜ヘルペスは、失明する危険性があり要注意)∞∞∞∞∞

∞∞∞∞∞水ぶくれは破らないこと∞∞∞∞∞

■治療法の将来について

発症した時の治療に限って抗ヘルペス薬が使われるのが、日本の現状です。一方、欧米では、性器ヘルペスに対して「抑制療法」と呼ばれる治療も、認められています。

抑制療法というのは、頻繁にヘルペスの再発を繰り返す場合に、症状が出ていない時にも抗ヘルペス薬を使用し続けることで、再発を抑えようとする方法。繰り返す再発は、身体的苦痛に加え、人に移すことへの不安など精神的にもさまざまな苦痛を伴います。日本でも抑制療法が許可されれば、このような苦痛や悩みを軽減することもできる、と見なされているところです。  

■ヘルペスQ&A

Q1 私のヘルペスはどこからきたの?

口唇ヘルペスや性器ヘルペスなどを引き起こす単純ヘルペスウイルスは、主に直接接触することで感染します。しかし、感染力が強く、直接患部に触れてなくても、単純ヘルペスウイルスがついたタオルや食器で感染するケースも。従って、家族、恋人など、ごく身近で感染するケースが多く見られます。

一方、帯状疱疹では、子供の頃にかかった水ぼうそうのウイルスが原因。帯状疱疹を人に移すことは、ごくまれなケースです。ただ発症している時に、水ぼうそうになったことがない人と接触すると、相手が水ぼうそうになってしまうことがあるので、要注意。

Q2 再発を繰り返すけど、治らないの?

一般に、口唇ヘルペスや性器ヘルペスは、時間の経過とともに再発の回数や症状の程度が軽くなるといわれています。口唇ヘルペスや性器ヘルペスは体の抵抗力が落ちた時に再発しやすいのが特徴なので、日頃からバランスのよい食事をとり、疲れやストレスをためないことが大切です。また、症状が出た場合は、早めの治療で症状を軽くすることができます。

Q3 タオルやお風呂で移るの?

症状が出ている時期は、皮膚の水ぶくれや唾液中にヘルペスウイルスが存在しているため、注意が必要です。ウイルスがついたタオルや食器などを介して感染することもあるので、共用は避けましょう。お風呂で移る心配はほとんどありませんが、性器やお尻の周囲に症状がある場合は、まれに洋式便座で移ることも。

ただし、過度に神経質にならなくても大丈夫。人から離れたヘルペスウイルスは、熱やアルコール、乾燥、日光(紫外線)などに弱いからです。タオルや食器はよく洗い、便座はアルコールを含んだ布で掃除することです。

Q4 ヘルペスウイルスに対抗する力が弱く、特に気を付けたい人は?

ヘルペスに対する免疫を持っている人は感染しても、症状が出ないか、発症しても軽症ですむことが多いのですが、次のような人はヘルペスに感染すると、重症化しやすいので要注意。ヘルペスを発症している時は、接触をできるだけ避けましょう。 

 ●免疫を持っていない人や新生児

 ●アトピー性皮膚炎の人

 ●白血病、悪性腫瘍、移植手術後など、病気で体の免疫力が落ちている人

■まとめ 

ヘルペスは、誰もが持っているウイルスが原因で起こる、ごく一般的な病気なのです。ただし、感染後すぐに発症する人がいる一方で、一生涯にわたって発症しない人もいます。

とにかく、日頃から心身を健康に保ち、発症した時には早めの治療を開始することで、上手に付き合っていける病気なのです。それに症状が現れたということは、「あなたの体は疲れているよ」という、ヘルペスウイルスからのサインと捉えることもできるのではないでしょうか。

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