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ブロードβ病



遺伝子異常が原因で、脂質異常症を発症する疾患

ブロードβ病とは、遺伝によって、血液に含まれるコレステロールとトリグリセライド(中性脂肪)が高くなる脂質異常症(高脂血症)の一つ。Ⅲ型高リポ蛋白(たんぱく)血症、家族性異常βリポ蛋白血症、アポリポ蛋白質E欠乏症、アポリポ蛋白質E欠損症とも呼ばれます。

まれな疾患で、1万人に2〜3人くらいと発症する頻度は低いものの、女性よりも男性に発症する傾向があり、男性は比較的若い年代に発症します。

常染色体劣性遺伝によりブロードβ病を受け継いだ人は、生活習慣とは関係なく、脂質異常症になりやすいと考えられています。脂質異常症に伴って、若年期にアテローム性動脈硬化症を発症するリスクが高くなります。

一般に、20歳以下では症状が起こらないとされるものの、若年で冠状動脈硬化症や末梢(まっしょう)動脈硬化症を発症しやすく、進行すると狭心症や心筋梗塞(こうそく)、脳梗塞、下肢の動脈が狭くなる末梢血管疾患、間欠性跛行(はこう)、下肢の壊疽(えそ)に対するリスクも高くなります。そのほか、肥満、糖尿病を合併するリスクも高くなります。

肘(ひじ)や膝(ひざ)、手の甲、手首、尻(しり)などの皮膚に、黄色腫(おうしょくしゅ)と呼ばれる黄色いいぼ状の塊が見られることもあります。黄色腫は、血液中のリポ蛋白という脂質成分と蛋白の結合物を取り込んで、脂肪分をためたマクロファージ由来の泡沫(ほうまつ)細胞が集合したものです。

両親のうちのどちらかにブロードβ病がある場合、子供に50パーセントの確率で遺伝します。両親ともブロードβ病を持っている場合、子供には75パーセントの確率で遺伝します。ただし、ブロードβ病を持つすべての人が、親が同じ問題を持っているとわかっている訳ではありません。狭心症、心筋梗塞などの冠状動脈疾患の家族歴があるとだけ考えている可能性があります。

コレステロールもトリグリセライド(中性脂肪)も水に溶けないので、アポ蛋白という特殊な蛋白質に付着して血液中を運ばれています。このコレステロールやトリグリセライド(中性脂肪)とアポ蛋白の結合物をリポ蛋白といいます。

リポ蛋白にはいくつかの種類があり、比重によりカイロミクロン(キロミクロン)、VLDL(超低比重リポ蛋白)、IDL(中間比重リポ蛋白)、LDL(低比重リポ蛋白)、HDL(高比重リポ蛋白)、VHDL(超高比重リポ蛋白)などがあります。その中で、HDL(高比重リポ蛋白)以外のものをβリポ蛋白と呼びます。

ブロードβ病は、肝臓の受容体への結合能を欠くアポ蛋白E2の遺伝子を両親から受け継いでいることを基盤として、まれにアポ蛋白Eの欠損によって発症します。

肝臓へのカイロミクロン(キロミクロン)やVLDL(超低比重リポ蛋白)、IDL(中間比重リポ蛋白)の取り込みが阻害された結果、血液中を流れ続ける状態が継続します。カイロミクロンやVLDL(超低比重リポ蛋白)などに含まれるトリグリセライド(中性脂肪)は、血液中を流れ続けている内に、脂肪組織や筋肉の毛細血管内皮細胞表面に存在するリポ蛋白リパーゼにより分解され、粒子サイズが小さくなってレムナントリポ蛋白の蓄積が起こり、高レムナントリポ蛋白血症を発症します。また、高IDL血症を発症します。

ブロードβ病の検査と診断と治療

内科、内分泌・代謝科の医師による診断では、血液検査で血中のコレステロール、トリグリセライド(中性脂肪)の値を測定します。朝食前の空腹時に採血します。

トリグリセライド(中性脂肪)、 総コレステロールの両方が高値にかかわらず、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が低値、かつRLPコレステロール(レムナント様リポ蛋白コレステロール)が異常高値であることを確認すると、ブロードβ病が疑われます。また、リポ蛋白の電気泳動で、VLDL(超低比重リポ蛋白)からLDL(低比重リポ蛋白)への連続性のブロードβパターンを示すことを確認し、アポ蛋白の等電点電気泳動で、アポ蛋白Eの異常、アポ蛋白Eの欠損などを確認することで、ブロードβ病と確定します。

内科、内分泌・代謝科の医師による治療では、食餌(しょくじ)療法、運動療法、薬物療法を行ないます。ブロードβ病は遺伝子異常を背景とし、代謝異常が生涯持続するため、根治療法はなく長期の治療が必要ながら、治療によく反応することから早期診断と早期治療が重要です。

食餌療法では、欧米風の高カロリー食品やコレステロール値の高い食品、脂分の多いファーストフードの過剰な摂取を制限します。そして、野菜や果物、魚といった低カロリー食や低脂肪食、低炭水化物食を中心とした食生活に切り替えます。

運動療法では、積極的にウォーキングや水中歩行などの適度な有酸素運動を行ないます。適切な体重の維持につながるばかりか、適度な運動を行なうことで基礎代謝の向上効果が期待できます。

また、喫煙、ストレス、過労、飲酒、睡眠不足など生活習慣全般の見直しも、改善法として効果的です。

薬物療法では、RLPコレステロール(レムナント様リポ蛋白コレステロール)の低下作用が最も強力なフィブラート系薬剤(中性脂肪合成阻害薬)を第一選択として使用します。スタチン系薬剤やエゼチミブも有効です。

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