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膀胱尿管逆流症



膀胱に尿が一杯になった時や排尿する時に、尿が尿管、腎盂に逆流する現象

膀胱(ぼうこう)尿管逆流症とは、膀胱に尿が一杯になった時や排尿する時に、尿が尿管、腎盂(じんう)に逆流する現象。

正常な状態では、膀胱に尿がたまってきたり、排尿時に息むと、尿管膀胱移行部の逆流防止機能が働いて、膀胱壁内尿管が膀胱の壁に押し付けられ、尿の逆流が起こらないようになっています。この逆流防止機能が不十分だと、逆流を起こします。膀胱尿管接合部の形態や、膀胱壁内尿管と膀胱壁との進入角度、膀胱壁内尿管の長さなどによって、逆流を起こすと考えられています。

逆流防止機能の未熟な小児にみられることが多いのですが、成人になっても前立腺(ぜんりつせん)肥大などによって膀胱からの尿の出が悪くなった場合にも、膀胱尿管逆流症は起こります。

頻度は、新生児までは男児に多くみられますが、その後は女児および女性に多くみられます。また、家族内発生や多因子による遺伝もあるとされています。

常時、細菌の混じった汚い膀胱内の尿が逆流している場合には、尿管が正常よりも膨らむ水(すい)尿管症、尿が腎盂や腎杯内にたまって膨らむ水腎症を示すようになります。

長期間、尿の逆流を放置して進行すると、腎盂腎炎が引き起こされます。腎盂腎炎を起こした小児のうち、約40パーセントに膀胱尿管逆流症がみられます。

次第に腎盂腎炎が慢性化すると、炎症が腎盂、腎杯のみならず腎実質にもおよんで、腎臓は委縮し、機能も低下してきます。これを逆流性腎症といいます。

逆流性腎症が進行して慢性腎不全に至り、血液透析を余儀なくされることもあります。

風邪の症状はないのに発熱を繰り返す小児や、尿流の停滞がないのに腎盂腎炎が治りにくかったり、腎盂腎炎を繰り返す人は膀胱尿管逆流症が疑われるので、新生児、乳幼児、小児では小児科、泌尿器科、小児泌尿器科。成人では泌尿器科を受診することが勧められます。

膀胱尿管逆流症の検査と診断と治療

泌尿器科、ないし小児泌尿器科などの医師による診断では、超音波(エコー)検査、CT(コンピュータ断層撮影)検査を行い、さらに経静脈性尿路造影を行って、腎盂、腎杯の形や尿管の太さなどを検査します。尿の逆流の程度を正確に調べるには、膀胱尿道造影を行います。

膀胱尿道造影は、新生児、乳幼児の場合には麻酔をかけて行います。膀胱に過度の圧をかけないようにして造影剤を膀胱内に注入し、膀胱充満時のX線(レントゲン)撮影を行います。膀胱尿管逆流は排尿時に最も生じやすいため、可能であれば、排尿時に息む際に排尿時膀胱尿道造影を行い、造影剤が尿管および腎盂に逆流しないかどうかを検査します。

成人の場合には膀胱内に造影剤を注入して、臥位(がい)、立位、排尿時に逆流のタイミングを観察しながら、X線(レントゲン)撮影を行います。この際に尿路感染症がある場合には、腎盂腎炎を併発する恐れがあるため、抗菌剤で十分治療してから検査します。可能であれば、膀胱鏡による尿管膀胱移行部の観察を行います。

泌尿器科、ないし小児泌尿器科などの医師による治療では、年齢が低く、その程度が軽い場合は、膀胱尿管逆流症が自然に消失することがあるため、少量の抗生物質を夜1回使用することによって、尿路感染症を予防しながら、経過を観察します。

自然に消失することがない場合は、膀胱壁内尿管の異常により生じるため、尿管を膀胱の新しい別の部位につなぎ合わせる膀胱尿管新吻合(ふんごう)術という手術を行います。

いろいろな手術方法がありますが、尿管を膀胱粘膜下にはわせる粘膜下トンネルを形成して、尿の逆流を防止することが基本になります。治療成績は良好で、膀胱尿管逆流症の消失率は95パーセントi以上です。

最近は、腹腔(ふくくう)鏡を利用して開腹せずに、膀胱尿管新吻合術を行うことも可能になっています。2010年以降は、腹腔鏡を用いて膀胱壁内尿管の出口の周囲に少量の膨隆剤を注入して、逆流防止機能を人工的に形成するという方法も行われるようになりましたが、成功率は80パーセント程度です。

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