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表皮母斑
表皮母斑(ぼはん)とは、表皮の過剰形成により、出生時または乳児期から見られる、いぼ状のあざ。
皮膚の一部分に色調や形状の異常として現れるものが母斑で、あざとも呼ばれています。ほくろも母斑の一種で、その一番小さい型に相当します。
表皮母斑は、さまざまな部位の皮膚表面に、いぼ状の硬く、ざらざらした小さな丘疹(きゅうしん)や小さな結節が集まってできるものです。色は、肌色から淡黄色、または褐色です。表皮に存在する細胞の95パーセントを占める角化細胞(ケラチノサイト)の過剰形成が原因となって、いぼ状の丘疹や結節となります。
この表皮母斑は、疣状(ゆうじょう)母斑、列序(れつじょ)性母斑、列序性苔癬(たいせん)様母斑の3型に分類されます。
疣状母斑は、母斑が限局して集合したもので、単発したり多発することがあります。列序性母斑は、ブラシュコ線という皮膚の一定方向に沿って、母斑が線状、帯状に並んでできるものです。四肢や体幹の片側だけに広範囲にできますが、かゆみなどの症状はありません。
列序性苔癬様母斑は、硬い淡紅色の母斑が線状、帯状に並んででき、かゆみが強く、湿疹状になるものです。多くは、女児の下肢に発症します。
表皮母斑の原因は不明で、新生児1000人に約1人の発生頻度とされています。自然に消退することはなく、他の母斑と同様に成長して体が大きくなるのに比例して、母斑も大きくなります。時には、母斑が全身に及ぶこともあります。
頻度は低いのですが、思春期以降に表皮母斑に良性、または悪性の続発性腫瘤(しゅりゅう)が発生することがあります。また、表皮母斑に中枢神経系、骨格系の異常を合併することがあり、表皮母斑症候群と呼ばれています。まれに、他の皮膚の悪性腫瘍(しゅよう)が合併して生じる可能性もあります。
生まれ付き、または生後早期に、表皮母斑のような皮膚面があり気になるようなら、皮膚科、皮膚泌尿器科、形成外科に相談して下さい。特に大きな変化がなければ、そのまま経過を見てもかまいませんが、時に皮膚の悪性腫瘍が合併することがあるので、生まれ付きあったあざの大きさや表面が変化してきた時は、早めに相談して下さい。
皮膚科、皮膚泌尿器科、形成外科の医師による診断は、特徴的な母斑なので、ほとんどは見ただけでつきます。確定診断は、皮膚をほんの少し切り取って病理組織検査を行えばつきます。
ただし、体の片側に比較的広く分布していると、その側の成長障害、骨変化、脳腫瘍を伴う表皮母斑症候群である場合があります。その際は内臓病変への対応も必要な場合がありますが、頻度はまれです。
皮膚科、皮膚泌尿器科、形成外科の医師による治療は、表皮母斑が自然に消えることは期待できず、見た目の問題がほとんどとなるため、外科的に母斑を取り除くのが一般的です。
小さいものや列序性のものは、メスで切除して縫合します。広範囲に表皮が肥厚しているものでは、比較的浅い部分の変化なので、皮膚をグラインダーで削る剥削(はくさく)術が有効です。
最近では、切除による傷跡を残さないために、エルビウムヤグレーザーや炭酸ガスレーザーなどの照射による剥削術が注目されています。このレーザー治療の効果は、母斑の性状によっても大きく異なり、治療効果には大きな個人差があるため、実際の本格的な照射を行う前に母斑の一部に試験照射を行い、適切なエネルギーを設定します。その治療効果を見た上で、全体の治療を行うかどうかを決めます。
いずれの治療法も外観を改善するのに有効なものの、多少の傷跡が残る可能性があるので、担当医とよく相談して下さい。
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