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腓骨神経まひ
腓骨(ひこつ)神経まひとは、足関節と足指、下腿(かたい)外側に支配領域を持っている腓骨神経がまひし、自力で足首や足指を上げることができなくなる疾患。
腓骨神経は、下腿を走行する神経であり、膝(ひざ、しつ)関節の後方で坐骨(ざこつ)神経から分岐し、膝の外側を通り、腓骨の側面を下降して、足関節を通り足指に達します。
腓骨神経まひの原因として最も多いのは、膝の外側(腓骨頭部)への外部からの圧迫により生じるものです。車に同乗中、交差点で出合い頭の衝突事故が起こり、膝の外側をダッシュボードに打ちつけるといった形での腓骨頭骨折や、その他の膝の外傷、開放創や挫傷(ざしょう)などによって生じます。下肢の牽引(けんいん)などで仰向けに寝た姿勢が続いたり、ギプス固定をしている時に、膝の外側が後ろから圧迫されて生じることもあります。
長時間に渡って足を組む姿勢をとることや、草むしりのような膝を曲げた姿勢をとること、硬い床の上で横向きに寝ることで生じることもあります。関節リウマチによる関節の変形、ガングリオン(結節腫〔しゅ〕)などの腫瘤(しゅりゅう)、腫瘍(しゅよう)によっても生じます。
腓骨神経まひが生じると、足首や足指が下に垂れたままの状態となり、自力で背屈ができなくなります。これを下垂足(垂れ足)といいます。下腿の外側から足背(足の甲)ならびに小指を除いた足指背側にかけて感覚が障害されて、しびれたり、触った感じが鈍くなります。
具体的には、下垂足が明らかでない時でも、障子の敷居で足を引っ掛けたり、スリッパやサンダルが歩いているうちに脱げやすいといった症状がみられることがあります。
下垂足が明らかになると足首と足指が下に垂れた状態となるため、靴下や靴を履く際には、その都度座って片手で足を支えないと、うまく履くことができません。車の運転でも、右足にまひが起こればアクセルやブレーキを踏むことはできません。
重症になると、正座、和式トイレの使用はできず、下腿をしっかり保持できないので、杖(つえ)の使用が常時必要となります。深刻なのは、下腿部の疼痛(とうつう)と筋拘縮(こうしゅく)です。下腿部には常にしびれたような疼痛が持続して、血流障害が発生し、下腿全体の筋肉が拘縮、委縮を示します。放置すれば、下腿は廃用性委縮となり、スカートを身に着けることができなくなります。
整形外科、神経内科の医師による診断では、下垂足を示して感覚障害があり、チネルサインがあれば、傷害部位が確定できます。チネルサインとは、破損した末梢(まっしょう)神経を確かめる検査で、障害部分をたたくと障害部位の支配領域に放散痛が生じます。
腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニアや坐骨神経障害との鑑別診断が、必要なこともあります。確定診断には、筋電図検査、X線(レントゲン)検査、MRI検査、超音波検査など必要に応じて行います。
整形外科、神経内科の医師による治療では、回復の可能性のあるものや原因が明らかでないものは、保存療法を行います。保存療法には、圧迫の回避・除去、局所の安静、薬剤内服、運動療法などがあります。症状が軽く、足を組むなどの明らかな誘因がある場合には、生活習慣の改善で軽快することがほとんどです。
3カ月ほど様子を見て回復しないもの、まひが進行するものでは、手術が必要になります。骨折などの外傷や腫瘤によるものは、早期に手術が必要です。
神経損傷のあるものでは、神経剥離(はくり)、神経縫合、神経移植などの手術が行われます。神経の手術で回復の望みの少ないものは、ほかの筋肉で動かすようにする腱(けん)移行手術が行われます。下垂足のままだと、歩くことも困難で日常生活を送るのにも非常に不便ですから、足首を固定する距腿(きょたい)関節固定術が行われることもあります。
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