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紡錘細胞性母斑
紡錘細胞性母斑(ぼはん)とは、特に顔面に、また小児に多く発現する腫瘍(しゅよう)のこと。最初の報告者の名前をとってスピッツ母斑、あるいは若年性黒色腫、若年性良性黒色腫とも呼ばれます。
腫瘍といっても、ほくろのがんと呼ばれることもある悪性黒色腫(メラノーマ)とは違って良性です。青壮年にできることもありますが、主に3~13歳の幼児や小児にでき、突如として顔面に現れると、急速に1センチ程度まで大きくなるという特徴があります。
一見すると、ほくろのように思えることもありますが、色がやや淡い淡紅色から淡紅褐色のことが多いことや、円形や楕円(だえん)形に盛り上がった部位の表面が滑らかで、光沢があるという特徴を持っています。また、病変の周囲が赤みを帯びることもあります。傷付いたり、出血しやすく、黒褐色の色素沈着を伴うこともあります。
顔面だけではなく、ほかの部位にできることもありますし、皮膚のすべての部位にできる褐色から青黒色、あるいは黒色の色素性母斑(母斑細胞性母斑)の病変内に、紡錘細胞性母斑ができることもあります。
原因は、色素性母斑と同じとされていて、メラニンを作る機能を持っているメラノサイトが表皮や真皮の境界部で、集中してしまうことが挙げられています。
紡錐細胞性母斑で悪性化することはありませんが、悪性黒色腫との区別が難しいともいわれているので、見極めが重要になってきます。ただし、この見極めは素人には困難だとされているので、皮膚科や皮膚泌尿器科、形成外科で検査してもらい、慎重な対応をしていくことがポイントになります。
医師による紡錐細胞性母斑の診断では、見た目だけでは迷うことが多く、最終的には切除した組織の病理検査で確定診断します。組織学的には、著しく色素沈着した真皮表皮接合部に、深部へと広がる多核巨大細胞、類上皮細胞様細胞、長い紡錘状細胞など混在する細胞が認められます。
鑑別すべき他の疾患として、悪性黒色腫のほか、化膿(かのう)性肉芽腫、偽リンパ腫があります。
医師による治療では、外科的切除が一般的です。切除は、紡錐細胞性母斑を紡錐形(木の葉型)に切り取って縫合をします。目立ちにくい、しわの方向に切除して形成外科的な縫合をするため、傷跡はできるものの、それほど目立たなくなります。
切除した組織の病理検査が必要になるケースが多いため、ほとんどの組織が焼き消えてしまうレーザー治療は通常、行われません。
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