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芳香族アミノ酸とは、芳香環を有するアミノ酸であり、蛋白(たんぱく)質の構成成分。AAA(Aromatic Amino Acids)とも呼ばれます。
芳香族アミノ酸は中性アミノ酸の一つでもあり、蛋白質の常在成分としてはフェニルアラニン、トリプトファン、チロシンがあります。フェニルアラニンとトリプトファンは人間の体内で合成できない必須アミノ酸ですが、チロシンは人間の体内で合成できる非必須アミノ酸で、フェニルアラニンより生合成されます。
これらの芳香族アミノ酸は、蛋白質の構成成分として用いられるだけでなく、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質の原料ともなります。芳香族アミノ酸が脳内で増加すると、ドーパミンなどの神経伝達物質の産生が抑制され、肝性脳症が起きるといわれています。
また、肝不全の患者に対して高カロリー輸液を行う際には、芳香族アミノ酸に対する分枝鎖アミノ酸(BCAA)の比を、通常の高カロリー輸液に比べて低く配合しなければならないとされています。分岐鎖アミノ酸にはバリン、ロイシン、イソロイシンの3種類の必須アミノ酸があり、ほかの必須アミノ酸が肝臓で分解されるのに対して、筋肉で分解されるアミノ酸に相当します。
フェニルアラニンとは、神経伝達物質として神経細胞間で信号を伝達する役割を持つ必須アミノ酸の一つ。フェニルアラニンから生成されるノルエピネフリンとドーパミンにより、刺激を伝達します。
このフェニルアラニンは、化学合成されたDLフェニルアラニンというものが鎮痛剤として使われるなど、鎮痛効果が高いアミノ酸であり、関節痛やリウマチなど慢性的な痛みを軽減する効果があります。これは脳内でモルヒネと同じような効果を持つ、エンドルフィンの産出によります。
ビタミンB12と一緒に摂取すると、けいれんや多発性硬化症など、筋肉の病気にも効果があるとされています。また、フェニルアラニンはダイエット甘味料としても使われており、太り気味を改善する効果もあります。さらに、抗うつ薬にも使われており、元気が出ない時に摂取することで、気持ちを高揚させ、バイタリティーを生み出します。
天然のフェニルアラニンは、肉類を始めとして魚貝類、卵、チーズ、脱脂粉乳、大豆などに多く含まれています。ただし、過剰摂取すると、血圧が高くなりすぎる恐れがありますので、妊娠中の人、高血圧の人、心臓病の人は医師と相談したほうがよいでしょう。
トリプトファンとは、全部で9種類ある中で、特に精神的作用があることで知られている必須(ひっす)アミノ酸。神経アミノ酸と呼ばれることもあります。
蛋白(たんぱく)質の生合成の材料となるほか、肝臓、腎臓(じんぞう)で分解されエネルギー源となります。血液から脳に運ばれると、トリプトファンはビタミンB6、ナイアシン(ビタミンB3)、マグネシウムとともに、神経伝達物質であるセロトニンを生成し、精神安定、催眠、鎮痛などの作用を及ぼします。
そのセロトニンは脳の松果体によって、若返りホルモンといわれるメラトニンに変換されます。メラトニンには、睡眠サイクルを正常にしたり、活性酸素を減少させるなどの作用があります。また、トリプトファンはアミノ酸の一種であるチロシンとともに、神経伝達物質であるドーパミンやノルアドレナリンの生成に関与しています。
これまでの研究では、脳の病気や行動障害の治療に効果があることがわかっており、不眠症やうつ病の治療でも効果が期待できます。そのほか免疫系に働き掛けて、がんの予防、コレステロールや血圧の調整、性機能の回復、更年期障害の症状緩和などにも幅広く効果があります。アルツハイマー型認知症やパーキンソン病、子供の多動症、エイズなどの症状改善にも有効な働きがあり、研究が進められています。
トリプトファンが不足すればセレトニンが減少し、精神的に不安定になりやすく、不眠症、痛みなどを起こすことがあります。近年、ストレスに弱い人が増えているのは、ダイエットや偏食により食品から十分なトリプトファンを摂取できなくなったことも一因と考えられています。
一方、トリプトファンの過剰摂取は肝臓で脂肪の変化を起こし、肝硬変を招く可能性があります。肝硬変になると、セロトニンが増加しすぎて昏睡(こんすい)状態に陥ります。アメリカでは精神安定、不眠解消を目的とした栄養補助剤にもなっていますが、長期に渡っての服用は危険です。
食品では、肉、魚、小麦、大豆、種子、豆乳や乳製品、バナナ、パイナップル、アボガド、緑黄色野菜などさまざまな食品中の蛋白質に含まれていますが、含有量は多くはありません。トリプトファンの摂取を心掛けるなら、いろいろな食品を満遍なく口にすることです。特にレバー、魚、肉などに多く含まれていナイアシン(ビタミンB3)と一緒に摂取すると、トリプトファンを効果的に摂取できることになります。
チロシンとは、人間の体内で合成できる非必須(ひっす)アミノ酸の一つ。必須アミノ酸であるフェニルアラニンやトリプトファンとともに、芳香族アミノ酸とも呼ばれます。
このチロシンはフェニルアラニンを原料として人間の体内で合成され、神経伝達物質であるアドレナリン、ノルアドレナリン(ノルピネフリン)、ドーパミン、代謝を左右する甲状腺(こうじょうせん)ホルモン、毛髪や皮膚の黒色色素であるメラニンなどの原料として体内で消費されます。
神経伝達物質は、脳や神経の働きを活発にして、記憶力や集中力を高めるといわれています。興奮とともに分泌されるアドレナリンとノルアドレナリンは、運動能力を引き出す助けとなります。リラックス状態で分泌されるドーパミンは、学習能力の向上にかかわります。甲状腺ホルモンは、代謝活動を活発化させます。メラニン色素は、細胞組織を紫外線から守る役目を持っています。
そのほか、チロシンはストレス下の気分の改善や、うつ病、認知症、パーキンソン病の予防と回復に効果があるといわれ、細胞の老化を抑えたり、高コレステロール改善の働きも持ちます。
チロシンの過剰摂取については、体に悪影響を与えるという報告例はないものの、日焼けによる変色を起こすメラニン色素の原料であるため、摂取しすぎると肌のシミ、ソバカスが発生しやすくなります。
逆にチロシンの摂取不足になると、甲状腺ホルモンや神経伝達物質の分泌量が減少して、代謝活動の減退や無気力状態に陥る恐れが強くなります。具体的には、食欲のコントロール機能が低下して食べすぎ、肥満を引き起こし、感情の起伏を促すアドレナリンとノルアドレナリンの分泌量が減少することで、気力減退につながります。
メラニン色素の減少は、白髪の原因になります。また、成長著しい乳幼児がチロシン不足になると、脳機能障害や成長障害を起こすリスクが高まります。
チロシンを多く含む食品としては、レバー、チーズ、果物、タケノコ、大豆、ピーナッツ、たらこ、しらす干し(ちりめんじゃこ)が挙げられます。バナナやアボガドといった果物には、苦味成分としてチロシンが多く含まれています。リンゴに含まれているチロシンは、空気に触れるとメラニン色素を生成して、身を褐色にする働きを持っています。また、水煮のタケノコの断面によくみられる白い粉末は、チロシンの結晶であり、結晶化するほど多く含んでいます。
チロシンは糖分と一緒に摂取すると吸収効率がよくなるため、果物で摂取するのが効率よい摂取方法となります。
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