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ビタミンC



一番働きが多いビタミンで、コラーゲン合成作用、抗酸化作用などを持つ栄養素

ビタミンCとは、抗壊血病の因子として発見された水溶性ビタミン。物質名はアスコルビン酸(Ascorbic Acid)。

数あるビタミンの中で一番働きが多い栄養素であり、まず第一に、コラーゲンを合成する働きがあります。コラーゲンは蛋白(たんぱく)質の一つで、体の細胞をつなぎ合わせたり、丈夫な骨を作る働きがあります。このコラーゲンが体内で作られる時に、ビタミンCはなくてはならない栄養素。もしビタミンCが不足すると、コラーゲンが十分作られず、毛細血管から出血する壊血病や、骨粗鬆(こつそしょう)症になったりします。

壊血病とは、体の細胞の結合が弱くなることにより毛細血管が非常にもろくなって、切り傷があるわけでもないのに、体のあちこちから出血する病気です。初期の段階では、歯茎からの出血や皮膚の内出血などがあり、症状が進行すると全身からの出血が多くなり、ひどくなると生命の危険もあります。

骨粗鬆症は、骨量が減少して骨の中の構造が壊れ、骨が非常にもろく、折れやすくなる病気です。骨のほとんどはカルシウムとコラーゲンからできており、丈夫な骨になるにはコラーゲンを作り出すビタミンCが必要です。カルシウムとコラーゲンを結合させる働きがあるビタミンK、骨へのカルシウムの沈着を調整する働きがあるビタミンDとともに、ビタミンCが上手に働くことで、骨粗鬆症を防いでいるのです。

第二に、ビタミンCにはストレスに対抗する働きがあります。仕事や人間関係でストレスがあると、それに対抗するために体内では抗ストレスホルモンが分泌される仕組みになっていて、血圧や血糖値を上げたり、脈拍を早めたりしてストレスに負けないようになります。この抗ストレスホルモンを作る時にも、ビタミンCは必要な栄養素。

第三に、抗酸化作用があります。激しく運動したり、ストレスがあったり、タバコを吸ったりすると、人間の体内では大量の活性酸素ができます。活性酸素は細胞を酸化させて、体に悪い影響を与える物質ですが、ビタミンCには活性酸素を分解する働きがあり、これによって免疫力を高め、いろいろな病気を予防します。

例えば、ビタミンCを多めに取ると、風邪にかかりにくくなり、かかったとしても早く治ることが知られています。また、胃がんや肝臓がんの原因の一つであるニトロソアミンが作られるのを抑える働きも知られています。

もしビタミンCが不足すると、体内に活性酸素が多くなり、細胞が傷付けられたり、体内に侵入してきた病原菌などを退治する白血球の働きが鈍くなり、免疫力が低下する結果、がんを始めさまざまな生活習慣病(成人病)にかかりやすくなります。

第四に、ビタミンCには血圧を正常に保ち、血液中のコレステロールを減らす働きがあります。高血圧だったり、血管にコレステロールがたまると、血液を送り出す心臓に負担がかかりますが、ビタミンCによって心臓病を予防することができます。

第五に、しみ、そばかすを防ぐ働きがあります。屋外で日光に当たると日焼けするのは、紫外線の刺激で皮膚にメラニン色素ができてしまうからですが、ビタミンCはメラニン色素を作り出すチロシンという物質を抑えます。しみ、そばかすはメラニン色素が長期間沈着することで起こるので、その原因を取り除くことにもなり、美肌効果が期待できます。

ビタミンCは、トマト、赤ピーマン、ブロッコリー、カリフラワー、キャベツ、いちご、アセロラ、柿、キウイ、グレープフルーツ、レモン、みかんなどの野菜や果物を始め、緑茶、いも類などの食品に多く含まれています。肉類などの動物性食品や、米などの穀類には、ほとんど含まれていません。

ビタミンCは成人の男女の場合で、1日当たり100mg取るのがよいとされています。ふだんから心掛けて、野菜や果物をバランスよく食べていれば、そんなに不足する栄養素ではありません。

ただ、ビタミンCを含む食品を食べる際に気を付けたいのは、熱や空気に弱く、とてもデリケートだということです。野菜を調理したり、果物の皮をむいた際は、なるべく早く食べるのがよいのです。

また、ヘビースモーカーの人や仕事が忙しくストレスを抱えている人は、それに比例してビタミンCも消費されますので、通常よりも多めに摂取するようにしたいもの。たばこを1本吸うごとにビタミンCが約25mg消費されるといわれており、食事だけで摂取できない時は、サプリメントなどを利用するとよいでしょう。

ビタミンCは、1日の推奨量である100mgの10倍以上摂取しても、余分なぶんはほとんど尿から排出される仕組みになっています。これは、水溶性で水に溶けやすいビタミンCの特徴です。大量に摂取しても、それによる副作用はほとんどありません。

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