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ビタミンD2



日光の紫外線を浴びることで皮膚内で合成されるビタミンDの一種

ビタミンD2とは、脂溶性のビタミンで、肝油の中からビタミンAとは別に、くる病の予防効果のある成分として取り出されたビタミンDの一種。物質名をエルゴカルシフェロールとも、単にカルシフェロールともいいます。

クジラやタラ、サメなどの肝臓から取る油である肝油のほかにも、魚類の肝臓、シイタケ、キクラゲ、マイタケなどのキノコ、酵母、小麦胚芽(はいが)油、ホウレン草、キャベツなどに、ビタミンD2は含まれています。シイタケでは、干しシイタケのビタミンD2含有量が100g中16・8μg(マイクログラム)と、生シイタケ2・1μgに比べて格段に多くなっています。

人間の体内では、同じビタミンDの一種であるビタミンD3と同様の作用を持ちます。ビタミンD3のほうは、肉類や卵、バターなどの動物性食品に含まれ、物質名をコレカルシフェロールといいます。

ビタミンD2とビタミンD3を含むビタミンDは、腸で吸収されるとまず肝臓に集められ、その後、腎臓(じんぞう)に運ばれます。肝臓と腎臓では、それぞれ酵素の働きを受けて、活性型ビタミンDと呼ばれるビタミンになります。この活性型ビタミンDに変わって初めて、ビタミンDが働きをするようになります。もし肝臓や腎臓に障害がある場合は、たとえビタミンDを適量を摂取しても、結果的にはビタミンD不足と同じことになります。

その活性型ビタミンDには、カルシウムやリン、ナトリウム、カリウムなどのミネラルの吸収を助け、血液中のカルシウム濃度を一定に維持する働きがあります。

体内にあるカルシウムの約99パーセントは骨に蓄えられていますが、残りの1パーセントは血液中や細胞に一定の濃度で存在しています。カルシウムは筋肉を収縮したり、神経伝達など非常に大切な働きをしていて、この働きを支えるためには、血液中のカルシウム濃度を一定にしておく必要があります。もし、カルシウムの濃度が極端に変わってしまうと、人間が生きていく上での基本的な機能が失われます。

このため、血液中のカルシウム濃度が高くなると、ビタミンDとホルモンが共同で、余分なカルシウムを骨に蓄えたり体外に排出します。逆に、カルシウム濃度が低くなると、骨からカルシウムを血液中に送り出し、濃度を一定にするように働きます。

また、食事から摂取されるカルシウムが少ない場合は、尿に含まれるカルシウムを再吸収することも行われますが、このカルシウムの再吸収を促す働きもビタミンDにあります。

カルシウムは骨や歯の材料となるミネラルであり、ビタミンDが十分に摂取されても、カルシウムが不足すれば健康な骨や歯が作られないことになります。つまり、ビタミンDとカルシウムは、ワンセットで骨や歯を丈夫で健康的な状態に保っています。

近年では、ビタミンDの効用が骨や歯の形成だけにとどまらず、強力な抗がん作用や免疫調節作用も持つ証拠が数多く見付かっています。

ビタミンDは食品から取るほかに、日光浴によって体内で作られることが知られています。日光浴で皮膚に紫外線を浴びることで、皮膚にあるプロビタミンD2(エルゴステロール)とプロビタミンD3(7ーデヒドロコレステロール)という物質が、体内で活性型のビタミンD2とビタミンD3に変わって肝臓に蓄えられます。

当然ながら、あまり真っ黒に日焼けすると、ビタミンDの合成が悪くなり、肌の老化や皮膚がんになることもあるので、適度な日光浴がよいでしょう。また、日光浴は毎日続けることができませんし、体内で合成される量も限られるので、バランスのよい食事でビタミンDの摂取を心掛ける必要があります。

ビタミンD2とビタミンD3を含むビタミンDが不足して起こる欠乏症は、くる病、骨軟化症、骨粗鬆(こつそしょう)症などがあります。くる病は乳幼児がかかる病気で、足の骨、胸骨、肋(ろっ)骨、頭蓋(ずがい)骨など、あらゆる骨が曲がり、エナメル質が失われた歯はぼろぼろになります。症状が重くなると、筋肉の張りがなくなり、思うように手足を動かすことができなくなります。

骨軟化症は大人のくる病ともいわれ、骨が軟らかくなって変形し、やがては脊髄(せきずい)も曲がります。骨粗鬆症は高齢者、閉経後の女性に多い病気で、骨の密度が非常に低くなるため、骨が衝撃に非常に弱く、つまずいて軽く転んだだけで、骨折することも珍しくありません。

逆に、ビタミンDを長期間に渡って過剰摂取すると、血液中のカルシウム濃度が上昇して、血管の内壁や心臓、肺、胃、腎臓などの内臓にカルシウムが沈着しやすくなります。特に問題になるのが腎臓にカルシウムが大量に沈着した場合で、尿毒症を起こして体調が悪化し、ひどい時は命にかかわる状態になります。尿毒症以外にも、便秘、下痢、食欲不振、嘔吐(おうと)などの症状が、出てくることもあります。

厚生労働省策定の「日本人の食事摂取基準2010年版」では、ビタミンD2とビタミンD3を含むビタミンDの目安量は1日当たり成人男女ともに5・5μg(マイクログラム)で、上限量は50μgとしています。

保健機能食品制度では、ビタミンDを1日摂取量当たり1・5~5μg含む食品には、その機能を表示することができます。

ビタミンDは医薬品、栄養強化剤、食品添加物に使用されており、工業的には、ビール酵母やシイタケなどの天然物から取り出された成分(エルゴステロール)に、紫外線照射と加熱などの化学的な処理を加えて作られています。食品添加物としては、調整粉乳、乳飲料、栄養ドリンクなどに使われています。

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