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必須アミノ酸



体内で合成できず、栄養分として摂取しなければならないアミノ酸

必須(ひっす)アミノ酸とは、蛋白(たんぱく)質を形成している20種類のアミノ酸のうち、体内で合成することができない9種類のアミノ酸のこと。必要アミノ酸、不可欠アミノ酸とも呼ばれます。

必須アミノ酸は体内で合成できないため、食べ物から摂取する必要があり、どれか1つが欠けても筋肉や血液、骨などの細胞の合成ができなくなります。

必須アミノ酸は細胞分裂を促す働きをしていますので、足りなくなると細胞は生まれ変わることができず、古い材料のままです。すると、皮膚が衰えたり、肝機能に障害が出ることもあります。必須アミノ酸は、体の老化を防ぐ働きをしているのです。

体の働きを正常に保つためには、9種類の必須アミノ酸をバランスよく取り入れる必要があります。バランスが悪いと、きちんとした働きはできません。逆に、体調を崩す原因になります。

9種類の必須アミノ酸は、ロイシン、イソロイシン、リジン(リシン)、フェニルアラニン、メチオニン、スレオニン(トレオニン)、バリン、トリプトファン、ヒスチジン。

■ロイシン■

ロイシンとは、体内で合成できず、栄養分として摂取しなければならない必須(ひっす)アミノ酸の一つ。必須アミノ酸の中でも、分岐鎖アミノ酸(BCAA)と呼ばれる3種類のアミノ酸の1つに数えられます。

ほかの必須アミノ酸が肝臓で分解されるのに対して、分岐鎖アミノ酸と呼ばれるロイシン、バリン、イソロイシンの3種類は、筋肉で分解されるアミノ酸に相当し、運動時のエネルギー源となります。

成人の1日に必要な量は、体重1kg当たりロイシン39mg、バリン26mg、イソロイシン20mg(厚生労働省策定、日本人の食事摂取基準2010年版より)で、ロイシンの1日に必要な量は必須アミノ酸9種中では最大です。

レバーや牛乳、あじ、牛肉、米、小麦粉、とうもろこし、大豆、ほうれん草など、日ごろ、口にしている幅広い食品に含まれていますので、ロイシンはあまり不足するものではありません。

ロイシンの働きはいろいろありますが、分岐鎖アミノ酸の司令塔として、蛋白(たんぱく)質の分解の抑制と合成の促進の調整をしています。この働きは、ロイシンのインスリン分泌促進作用によるもの。ロイシンの不足によりインスリンの分泌が抑えられると、全身の活力の低下につながります。

ロイシンの働きには、肝機能の強化や、筋肉の増強と維持もあります。肝臓の働きが芳しくない人や、疲れやすく体調を整えたい人、筋肉をつけたい人には重要な栄養素です。風邪を引きやすい人、成長期の人にもお勧めです。免疫機能を強化する働きもあるので、体全体の力を底上げすることができるのです。

また、ロイシンは、ロイシン–エンケファリンという脳内に自然状態で分布している脳内麻薬様物質の構成成分になっています。ロイシン–エンケファリンには、苦痛とストレスによって生じる神経反応を緩和し、リラックスを促す作用があります。

どんな人にも必要で重要なロイシンですが、過剰に取ってもあまり意味はありません。必須アミノ酸は、バランスよくすべての種類がそろって、初めて有効な働きができます。どれか1種類だけをどんどん取り入れても、無駄なのです。ロイシンを過剰に摂取してしまうと、ほかのアミノ酸とのバランスが崩れ、かえって体や毛髪に悪影響が出てしまうこともありますので、注意が必要です。

■イソロイシン■

イソロイシンとは、人間の体内で合成できず、栄養分として摂取しなければならない必須(ひっす)アミノ酸の一つ。蛋白(たんぱく)質の合成の際に必要で、体内では主に筋肉の増強、成長の促進、血管の拡張、肝臓機能の高進、神経機能の調整といった幅広い役割を果たします。

スポーツの分野などでは、イソロイシンを運動時に摂取すると高い疲労回復効果が望めることから、トレーニングに重要な栄養素と見なされています。多くの市販のスポーツドリンクの成分表示にも含まれています。

BCAAといった表示を見掛けますが、これは分岐鎖と呼ばれる構造上の類似点を持つ分岐鎖アミノ酸のことであり、イソロイシンのほか、同様に筋肉の合成に関係するバリンやロイシンも分岐鎖アミノ酸に含まれます。リジン、メチオニンなど他の必須アミノ酸が肝臓で分解されるのに対して、イソロイシン、バリン、ロイシンの3種類は、筋肉で分解されるアミノ酸に相当します。

分岐鎖アミノ酸の特徴ともいえるのが筋肉の増強で、持久力もアップし、疲れにくくもします。筋肉を強くするだけでなく、激しい動きで筋肉が傷付いた時に修復を促す働きがあるからです。必須アミノ酸の中でも、スポーツを行う人や、成長期の子供には欠かせない働きをしてくれる栄養素です。

また、イソロイシンは脂肪燃焼効果からダイエット効果もあるといわれているため、サプリメントとして販売もされています。

食品では、鶏肉、豚肉などの肉、サケなどの魚、牛乳、チーズなどに多く含まれています。身近にある食品に含まれていることから、一般的にきちんと食事が取れていれば、イソロイシンが不足することはほとんどありません。

ただし、分岐鎖アミノ酸の特徴として、3種類の摂取量のバランスが崩れると体重減少、貧血、免疫機能の低下などが起こる場合があります。一つの食品からだけでなく、なるべく多くの食品からイソロイシンを摂取するようにすると、分岐鎖アミノ酸のバランスも取れます。

市販の分岐鎖アミノ酸(BCAA)飲料などには、それぞれの分岐鎖アミノ酸がバランスよく配合されていますので、そういった方法から摂取するのも一つの手です。

厚生労働省策定の「食事摂取基準10年版」では、成人の1日に必要な量は体重1kg当たりイソロイシン20mg、バリン26mg、ロイシン39mgとされています。

なお、脳内にイソロイシンやバリン、ロイシンといったアミノ酸が多量に存在していた場合、競合するセロトニンなどの脳内物質の通過が阻害されることがあるといわれています。脳内物質の代表例としてイソロイシンが挙げられることはほとんどないので、注意したい点です。

■リジン(リシン)■

リジンとは、人間の体内で合成できないため、食べ物から摂取する必要がある必須アミノ酸の一つで、体の蛋白(たんぱく)質を構成する不可欠な栄養素。L-リジンとも呼びます。

糖質の代謝やカルシウムの吸収を助ける、体の成長を促す、肝機能を高めるなどの働きがあります。ヘルペスや湿疹の改善、受精率向上にも有効とされています。不足すると、慢性的な疲労、目の充血、めまい、貧血などを起こしやすくなります。肝機能も衰えて、血中コレステロールや中性脂肪が増えます。

肉類や乳製品に多く含まれ、植物性の蛋白質には少なくて、とりわけ、米、小麦、とうもろこしといった穀類の蛋白質には不足しています。菜食主義の人やダイエット中の人は、サプリメントで補うなどの工夫が必要。アミノ酸ダイエットには必ず含まれる成分が、リジンなのです。

■フェニアラニン■

フェニルアラニンとは、神経伝達物質として神経細胞間で信号を伝達する役割を持つ必須アミノ酸の一つ。フェニルアラニンから生成されるノルエピネフリンとドーパミンにより、刺激を伝達します。

このフェニルアラニンは、化学合成されたDLフェニルアラニンというものが鎮痛剤として使われるなど、鎮痛効果が高いアミノ酸であり、関節痛やリウマチなど慢性的な痛みを軽減する効果があります。これは脳内でモルヒネと同じような効果を持つ、エンドルフィンの産出によります。

ビタミンB12と一緒に摂取すると、けいれんや多発性硬化症など、筋肉の病気にも効果があるとされています。また、フェニルアラニンはダイエット甘味料としても使われており、太り気味を改善する効果もあります。さらに、抗うつ薬にも使われており、元気が出ない時に摂取することで、気持ちを高揚させ、バイタリティーを生み出します。

天然のフェニルアラニンは、肉類を始めとして魚貝類、卵、チーズ、脱脂粉乳、大豆などに多く含まれています。ただし、過剰摂取すると、血圧が高くなりすぎる恐れがありますので、妊娠中の人、高血圧の人、心臓病の人は医師と相談したほうがよいでしょう。

■メチオニン■

 メチオニンとは、蛋白(たんぱく)質を合成するアミノ酸の一つで、食物から摂取する必要がある必須(ひっす)アミノ酸の一つ。硫黄を含む含硫アミノ酸でもあり、体内で非必須アミノ酸で含硫アミノ酸のシスチンやシステインを生成しています。

メチオニンは主に肝臓で大切な働きをしており、日々肝臓に運ばれてくる毒素や老廃物を体の外へ排出し、脂肪を乳化して余計な脂肪が蓄積するのを防いだり、血液中のコレステロール値をコントロールする働きがあります。それゆえ、アルコールや脂肪の取りすぎなどから肝機能を守るといわれています。

また、メチオニンは、抗酸化ミネラルであるセレンやセレニウムを運ぶ働きも担っており、抗酸化作用、老化防止にも役立ちます。

重要な働きをするメチオニンが不足すると、人間の体内では深刻な事態が引き起こされます。肝機能が衰えるので、コレステロール値が上がってしまうのはもちろん、動脈硬化が起こりやすくなります。抜け毛や白髪が生じたり、利尿能力が低下してむくみが生じることもあります。感染症にかかりやすくなることもあります。

メチオニンは、医療現場でも治療に使われています。かゆみや痛み、アレルギーの原因にもなっているヒスタミンの血中濃度を下げる働きがあるので、アレルギーの薬として使われる場合がありますし、うつ病や統合失調症(精神分裂病)、パーキンソン病を改善する働きも有名です。

食品としては、羊肉、レバー、魚肉、しらす干し、かつお節、さけの筋子、卵、牛乳、チーズ、全粒小麦、海苔(のり)、枝豆、干し湯葉、ほうれん草、とうもろこしなどにメチオニンは多く含まれています。これらの食品をバランスを考えて摂取するようにするとよいでしょう。

■スレオニン(トレオニン)■

スレオニンとは、全部で9種類ある中で、最後に発見されたことで知られている必須(ひっす)アミノ酸。トレオニンと呼ばれることもあります。

人間の体にとって重要な必須アミノ酸で、新陳代謝を促す働きがあり、体の成長には欠かせない栄養分です。肝臓に脂肪が蓄積するのを防ぐ働きもあり、脂肪分の多い食事やアルコール飲料の飲みすぎによって起こる脂肪肝の予防に役立つ栄養分でもあります。また、胃炎の改善作用があり、食欲の高進にも効果があります。

スレオニンが不足すると、食欲不振、体重減少、貧血などが起こります。新陳代謝の働きが停滞してしまうわけですから、食べる気も起こらず、体重は減り、フラフラになります。子供の場合には、成長不良などの症状が現れ、成長阻害と呼ばれる深刻な事態に陥る場合もあります。

食品では、卵、七面鳥、ゼラチン、スキムミルク、大豆、干し湯葉、さつまいも、しらす、まぐろなどに多く含まれています。人間の体内ではスレオニンを作れませんが、植物や微生物はアスパラギン酸からスレオニンを合成しているので、甘みがあります。

白米を始め、粟(あわ)などの穀物にも多く含まれますが、穀物の中のスレオニンは体内に吸収されにくいという特性があります。そのため、穀物ばかり食べているとスレオニンが不足し、食欲不振や成長不良などの症状が現れることになります。

現在、スレオニンを含む肥料で米を育てたり、スレオニンそのものを米に添加して栄養強化が行われたりしています。

■バリン■

バリンとは、体内で合成できず、栄養分として摂取しなければならない必須(ひっす)アミノ酸の一つ。必須アミノ酸の中でも、分岐鎖アミノ酸(BCAA)と呼ばれる3つのアミノ酸の1つで、2–アミノイソ吉草(きっそう)酸とも呼ばれます。

ほかの必須アミノ酸が肝臓で分解されるのに対して、分岐鎖アミノ酸と呼ばれるバリン、ロイシン、イソロイシンの3種類は、筋肉で分解されるアミノ酸に相当します。

大豆、かつお節、魚、鶏肉、牛肉、チーズ、ごま、ピーナッツなど、日ごろ、口にしている多くの食品に含まれていますので、バリンが不足する心配はあまりないでしょう。ただし、分岐鎖アミノ酸の特徴として、3種類の摂取量のバランスが崩れると体重減少、貧血などが起こる場合があります。

バリンの働きは、分岐鎖アミノ酸の特徴ともいえる筋肉の増強で、持久力もアップし、疲れにくくもします。筋肉を強くするだけでなく、激しい動きで筋肉が傷付いた時に修復をうながす働きがあるからです。必須アミノ酸の中でも、スポーツを行う人や、成長期の子供には欠かせない働きをしてくれる栄養素なのです。

また、血液中の窒素量をコントロールする働きがあることも、研究からわかってきています。 バリンを始めとする分岐鎖アミノ酸が、ダイエットに効果的に働くという説もありますが 、 脂肪を燃焼させる働きがあるわけではありません。

■トリプトファン■

トリプトファンとは、全部で9種類ある中で、特に精神的作用があることで知られている必須(ひっす)アミノ酸。神経アミノ酸と呼ばれることもあります。

蛋白(たんぱく)質の生合成の材料となるほか、肝臓、腎臓(じんぞう)で分解されエネルギー源となります。血液から脳に運ばれると、トリプトファンはビタミンB6、ナイアシン(ビタミンB3)、マグネシウムとともに、神経伝達物質であるセロトニンを生成し、精神安定、催眠、鎮痛などの作用を及ぼします。

そのセロトニンは脳の松果体によって、若返りホルモンといわれるメラトニンに変換されます。メラトニンには、睡眠サイクルを正常にしたり、活性酸素を減少させるなどの作用があります。また、トリプトファンはアミノ酸の一種であるチロシンとともに、神経伝達物質であるドーパミンやノルアドレナリンの生成に関与しています。

これまでの研究では、脳の病気や行動障害の治療に効果があることがわかっており、不眠症やうつ病の治療でも効果が期待できます。そのほか免疫系に働き掛けて、がんの予防、コレステロールや血圧の調整、性機能の回復、更年期障害の症状緩和などにも幅広く効果があります。アルツハイマー型認知症やパーキンソン病、子供の多動症、エイズなどの症状改善にも有効な働きがあり、研究が進められています。

トリプトファンが不足すればセレトニンが減少し、精神的に不安定になりやすく、不眠症、痛みなどを起こすことがあります。近年、ストレスに弱い人が増えているのは、ダイエットや偏食により食品から十分なトリプトファンを摂取できなくなったことも一因と考えられています。

一方、トリプトファンの過剰摂取は肝臓で脂肪の変化を起こし、肝硬変を招く可能性があります。肝硬変になると、セロトニンが増加しすぎて昏睡(こんすい)状態に陥ります。アメリカでは精神安定、不眠解消を目的とした栄養補助剤にもなっていますが、長期に渡っての服用は危険です。

食品では、肉、魚、小麦、大豆、種子、豆乳や乳製品、バナナ、パイナップル、アボガド、緑黄色野菜などさまざまな食品中の蛋白質に含まれていますが、含有量は多くはありません。トリプトファンの摂取を心掛けるなら、いろいろな食品を満遍なく口にすることです。特にレバー、魚、肉などに多く含まれていナイアシン(ビタミンB3)と一緒に摂取すると、トリプトファンを効果的に摂取できることになります。

■ヒスチジン■

ヒスチジンとは、子供の発育に欠かせない必須(ひっす)アミノ酸の1つ。大人は体内で合成できますが、子供は体内で合成できないため必須アミノ酸扱いとなります。

体内では子供、特に乳幼児の発育を促すほか、神経機能の働きをサポートする役割を担っているので、ストレスの軽減や性的エネルギーの向上効果があることが認められています。 集中力を高めたり、記憶力をアップさせる働きもあります。慢性の関節炎の痛みを和らげたり、肥満予防にも役立ちます。加えて、抗酸化作用により体全体の老化を防ぐ働きもあります。

ヒスチジンが分解され変化すると、ヒスタミンになります。ヒスタミンには外傷や薬などの刺激により血管拡張を起こす作用があるため、アレルギーや気管支炎、炎症の原因になりますから、結核の薬を服用している場合にはヒスチジンの摂取には注意が必要です。薬の働きを妨げて、結核症状がひどくなる場合があるからです。

アレルギー皮膚炎や、ぜんそくの持病がある時にも、ヒスチジンによる過剰反応が出ることがありますので、摂取を控える注意が必要。

ヒスチジンは、カツオ、イワシ、サンマといった青魚を始めとする魚類に多く含まれることで知られていて、刺身にも干物にも含まれます。子牛の肉、鶏肉、ハム、チェダーチーズ、ドライミルクなどにも、多く含まれています。

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