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肺塞栓、肺梗塞



血栓などによって肺の動脈が詰まったり、肺組織が壊死する疾患

肺塞栓(そくせん)とは、血液によって運ばれた血栓などによって、心臓から肺へ血液を運ぶ肺動脈が詰まった状態。肺梗塞(こうそく)とは、塞栓ができたために血液の流れが遮断され、その先の肺組織が壊死(えし)に陥った状態。

塞栓の多くは、何らかの原因で固まった血液によるものですが、脂肪やがん細胞が詰まることもあります。最も多いのは、下肢の静脈内でできた血栓が原因となるものです。近年問題になっている深部静脈血栓症、いわゆるエコノミークラス症候群もこの一つです。

海外旅行などで長時間飛行機に乗ると、座ったままで長時間同じ姿勢を保つため、下肢の深部静脈で血液が固まり血栓ができます。飛行機から降りようと立ち上がった時に、血栓が血液の流れに乗って移動し、肺動脈を閉塞するというものです。狭いエコノミークラスの座席のみでなく、ファーストクラスでも起こり得ますし、長時間の自動車や電車の旅でも起こっています。

疾患や手術のため長い間寝たきりの人なども、同じように下肢静脈での血液の流れが悪くなり、血栓を作りやすい傾向にあります。

症状としては、肺塞栓では通常、呼吸困難、胸痛、頻呼吸などがありますが、塞栓が小さい時には自覚症状を伴いません。また、塞栓が大きな場合には、肺梗塞を引き起こして胸痛のほかに、血たんや発熱、発汗が現れます。ショック状態に陥り、突然死することもあります。

肺塞栓、肺梗塞の頻度は合わせて10万人に約2.7人で、女性にやや多く、中年以降に多くみられます。

肺塞栓、肺梗塞の検査と診断と治療

肺塞栓のうちでも、深部静脈血栓症は急性期の死亡率が約10パーセントと高く、救急の疾患であり、早く診断し、早く血栓を取り除くことが大切です。従って、突然の呼吸困難や胸痛が起こったら、できるだけ早く循環器内科や呼吸器内科を受診します。

医師による診断では、まず心電図と胸部X線検査、血液検査が行われます。これらの検査だけでは肺塞栓の確定診断はできませんが、同じような症状を示す心筋梗塞や解離性大動脈瘤(りゅう)、気胸などとは、ある程度鑑別ができます。

次に、血液ガス分析で低酸素、心臓超音波検査で右心不全を認めれば肺塞栓が疑われ、造影CT、肺換気・血流シンチグラム、肺動脈造影、造影MRIのいずれかで肺動脈内の血栓を確認できれば診断は確定します。

肺塞栓の治療では、基本的に血液が固まらないようにする抗凝固剤を点滴静注で使います。重症の場合には、血栓を溶かす血栓溶解剤を投与したり、酸素吸入、利尿剤の投与、輸液などが行われます。肺梗塞を引き起こしてショック状態にある場合には、血圧を上昇させる薬を使います。大きな血管の塞栓は、外科手術やカテーテルにより、摘出することもあります。

治療によって病状が安定した後も、肺塞栓、肺梗塞は再発が多く、発症すると命にかかわることがあるため、予防的治療として抗凝固剤の内服を少なくとも3カ月、危険因子を持つ人は一生涯服用します。下大静脈にフィルターを留置して、肺動脈に血栓が流れ込むのを予防する方法もあります。

肺塞栓、肺梗塞では、血液が固まらないように、日常生活で予防することも大切です。特に手術直後の人や長い間床に就いている人は、静脈に血液の塊ができやすいので、時々、下肢や体全体を動かすこと、脱水にならないように水分を十分に取ることが必要です。

海外旅行などで長時間飛行機に乗る際には、十分な水分を取り、適度に足の運動をし、衣服を緩めるなどして、深部静脈血栓症を予防することが大切になります。飛行開始から到着まで一度も席を離れず、トイレも我慢すると危険。

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