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日和見肺感染症



体の抵抗力が低下した時に、病原性の弱い微生物で起こる感染症

日和見肺感染症とは、体力が落ちて抵抗力が著しく低下している時に、ふだんは疾患の原因になりにくい細菌や、かび、ウイルス、原虫などの微生物によって引き起こされる肺の感染症。

糖尿病やがん、エイズ(後天性免疫不全症候群)などを患ったり、長期の治療で体の免疫力が落ちていると、感染することがあります。

日和見感染症の肺炎は、原因となる細菌や微生物などの種類、発症者の体力によって、さまざまです。

毒性の弱い菌では、風邪に似た発熱、せき、たんなどの症状が現れ、ニューモスティスカリニやサイトメガロウイルスなどでは、高熱、空せき、息苦しさが起きます。ニューモスティスカリニは、かび(真菌)の一種で、自然界に存在し、経気道感染すると考えられています。サイトメガロウイルスは、ヘルペスウイルスの一種で、感染者の血液、唾液(だえき)、尿、精液、頸管(けいかん)粘液、母乳などに含まれ、多くは新生児、乳児期に感染し、日本人の80〜90パーセントは抗体を持っています。

 ふだんはニューモスティスカリニやサイトメガロウイルスに感染しても発症しませんが、体力が落ちて抵抗力が著しく低下している時には、潜伏感染していたものが増殖して、あるいは新たに感染して肺炎を発症します。

日和見肺感染症の検査と診断と治療

体が著しく衰弱している時に肺炎の症状がみられたら、日和見感染症を疑って、呼吸器内科、呼吸器科を受診します。重症の場合には死に至ることもあるので、十分に注意しなければなりません。

たんや血液の検査を始め、胸部X線検査、CT検査(コンピューター断層撮影)などが行われます。さらに、気管支鏡を使って、原因となっている細菌、微生物を探すこともあります。しかし、これらの検査を十分に行っても、原因が特定できない場合も少なくありません。

日和見肺感染症を招いたもとにある疾患、さらに感染症の原因となった細菌、微生物など、その双方に対して、抗生物質などを用いた薬物療法が行われます。ニューモスティスカリニによる肺炎にはサルファ剤と葉酸拮抗(きっこう)剤のST合剤とペンタミジン、サイトメガロウイルスによる肺炎には抗ウイルス剤であるガンシクロビルが用いられます。これらは予防的にも用いられます。

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