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ネフローゼ症候群

腎臓や全身の病気に伴って発症

ネフローゼ症候群とは、腎臓(じんぞう)の働きが損なわれて、多量の蛋白(たんぱく)尿が糸球体から尿中に常時排出され、血液中の蛋白質が極度に不足する病的状態です。症候群とは、同じ病状を示す腎臓病が多数あるということを意味します。

主な症状は、浮腫(ふしゅ)や多量の蛋白尿、低蛋白血症と、コレステロールや中性脂肪などが増えて現れる高脂血症(高コレステロール血症)です。

原因となる病的状態は、大きく二つに分けられます。一つは、腎臓の糸球体、特に糸球体基底膜に病変があって起こるもので、原発性(一次性)ネフローゼ症候群と呼ばれます。もう一つは、全身性疾患が糸球体に障害を及ぼして起こるもので、続発性(二次性)ネフローゼ症候群と呼ばれます。

原発性(一次性)ネフローゼ症候群には、腎臓組織を顕微鏡で調べた病理組織型でみて、微小変化型ネフローゼ症候群、巣状糸球体硬化症、膜性糸球体腎炎、膜性増殖性糸球体腎炎などがあります。

 いずれも入院治療の対象となりますが、小児では微小変化型ネフローゼ症候群が多くみられます。糸球体の基本構造にほとんど変化はみられませんが、急性発症することが多く、ほかの原因によるものに比べて尿中に出る蛋白量も多いため、脱水症状やショック症状を示すこともあります。しかし、この型は治療によく反応し、80パーセント以上は副腎皮質ステロイド薬が有効です。

副腎皮質ステロイド薬に反応しないステロイド抵抗性のものや、血尿を伴うもの、高血圧を伴うものは、ほかの病型が多く、腎生検による病型診断を行って治療法が決められます。

 続発性(二次性)ネフローゼ症候群では、その原因となる病気の種類は多くありますが、糖尿病からくるものが増加中で、膠原(こうげん)病の一つである全身性エリテマトーデスからくるもの、アミロイドーシスからくるものも、しばしば認められます。

病気の症状と早期発見法

ネフローゼ症候群の症状としては、まず、皮下組織に水がたまる浮腫、すなわち、むくみが起こります。尿中に多量の蛋白が排出されてしまうと、血液中の蛋白量が少なくなり、低蛋白血症となります。血液中の蛋白濃度が低下すると、浸透圧の作用で、血液中の水分や塩分などが、血管の外の組織間に移動してしまうために起こる現象です。

このむくみは、原因となる病気や、蛋白尿の程度、年齢などにより、急に出現したり徐々に出てきたり、強かったり弱かったりとさまざまです。呼吸が困難になるほど重いもの、全身性のむくみを示すものから、押せばへこむ程度の軽いものまでみられます。

むくみが軽いからといって、腎障害が進行するような病気が原因になっている場合には、放置しておいてはいけません。腎不全となってから、気付くようでは困ります。むくみの発見の仕方は、向う脛(ずね)を押した時に跡が残るかどうかです。

症状や経過により異なる薬物療法

むくみを解消するのに、利尿薬がよく用いられます。利尿薬は腎尿細管に働いて、水とナトリウムを尿中に排出するのを促進させ、むくみを軽減します。ただし、病気そのものを根本的に治す薬ではなく、対症薬と呼ばれるものの一つです。

副腎皮質ステロイド薬は、原発性ネフローゼ症候群や、免疫異常が関与していると思われる腎症ではよく用いられ、時に特効薬となっています。続発性ネフローゼ症候群でも、膠原病からくるものなど免疫関連の病気にはよく用いられます。

免疫抑制薬は、免疫の異常が関与していると思われる場合に、しばしば用いられます。しかし、副作用を考慮して、副腎皮質ステロイド薬の効果がない場合や使用できない場合、減量したい場合、しばしば再発する例などで用いられます。

その他、蛋白尿を減らしたり、腎機能を保持することを目的に、抗凝固薬、抗血小板薬、消炎薬、漢方薬なども、併用されることがあります。

食事療法については、ごく最近まで、血液中の蛋白が大量に失われているので、食事により蛋白質を補うことが必要と考えられてきました。今では、高蛋白食は腎機能をさらに悪くすると考えられ、高蛋白食にしない方針で治療するようになりました。すでに腎機能が中等度以下になっている場合には、さらに低蛋白食にするようになっています。

食塩や水分の取り方が多いことも、むくみの原因や悪化させる因子となります。多くの場合には、むくみの程度によって、食塩や水の摂取を制限します。

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