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乳腺嚢胞 


乳腺から分泌された液体が乳管にたまり、袋状になる状態

乳腺嚢胞(にゅうせんのうほう)とは、女性の乳房全体に張り巡らされ、乳腺で作られた母乳を乳頭へ運ぶ管である乳管の中に分泌液がたまって袋のような状態になり、乳房のしこりとして認められる疾患。乳腺嚢腫(のうしゅ)とも呼ばれます。

乳腺症の一つのタイプで、厳密には疾患ではなく、加齢やそのほかの要因によって起こる良性のしこりです。30歳~40歳代の女性に多くみられ、閉経して60歳くらいになるとほとんどみられなくなります。

生理周期に合わせて卵巣から分泌される女性ホルモンである卵胞ホルモン(エストロゲン)の影響で、乳腺は拡張と増殖と委縮を繰り返しますが、これが何年も続くことで乳房に病変が生じることがあります。その一つが乳腺嚢胞であり、加齢によって生じる自然な変化ともいえます。

乳房の両側、または片側に、1個から複数個のしこりができます。しこりの大きさはさまざまで、数ミリ程度のものもあれば10センチ以上のものもあります。しこりは、乳腺から分泌された液体が乳管の中の一カ所にたまり、その部分が袋状になって膨らんだ状態のため、乳房に触ると丸くて、押すと軟らかい感じがします。ツルツルしていて凹凸はないことが多く、痛みもありません。

生理前や排卵の時は卵胞ホルモン(エストロゲン)の影響で、しこりが大きくなったりすることもあります。乳管の中にたまる分泌液が多くなると、膨満して痛みを感じることもあります。

自覚症状があまりないので、小さなしこりの場合は見落とされることも多く、大きくなって初めてしこりがあることに気付く場合も少なくありません。乳がん検診を受けた際に、乳腺嚢胞があると指摘された場合は、乳腺科、乳腺外科などを1年に1回は受診し、検査をしてもらうことが勧められます。

受診して良性のしこりと診断されれば、放置しておいても問題はありません。乳腺嚢胞はがんに移行することがほとんどないためですが、まれに、嚢胞内の壁にがんが潜んでいる可能性があります。これを嚢胞内乳がんと呼び、嚢胞内に分泌液をためながらがん細胞が増殖し、しこりが大きくなっていきます。

嚢胞内乳がんの発見の遅れにつながらないためにも、定期的に受診し、検査を受けることが大切です。

また、1カ月に1回は、入浴の際に時々乳房を手のひらで洗うなど、自己触診することが勧められます。具体的には、乳房を手の指の腹で触り、しこりの有無をチェックします。指をそろえて、指の腹全体で乳房全体を円を描くように触ります。乳房の内側と外側をていねいにさすってみましょう。調べる乳房のほうの腕を下げたポーズと腕を上げたポーズで、左右両方の乳房をチェックします。

自己触診で新しくしこりを発見し、自然に消えない場合は、次の検査まで待たずに受診することが勧められます。

乳腺嚢胞の検査と診断と治療

乳腺科、乳腺外科などの医師による診断では、まずは原因を調べるために、乳房の視診や触診のほか、乳管内の分泌液の検査、マンモグラフィー(乳腺X線検査)、超音波(エコー)検査などを行います。

乳腺科、乳腺外科などの医師による治療では、超音波(エコー)検査によって良性の乳腺嚢胞と診断されれば、正常な乳腺とほぼ変わらないため放置しておいても問題はなく、経過観察します。小さなしこりの場合は自然消滅することも多いので、しばらく経過をみた結果で治療が必要ない場合もあります。

しこりが大きい、または複数個あって気になる場合は、細い針を刺して乳管内の分泌物を吸引することもあります。ただし、吸引していったんしこりがなくなっても、再び乳腺から分泌された液体が乳管の中にたまったり、違う個所の乳管にたまったりすることもあります。分泌液を吸引した後もしこりが残っていたり、12週間以内に再発した場合は、がんの可能性もあります。

また、細い針で乳管内の分泌液を吸引した際に、液体が茶褐色をしていたり、血液が混ざっている場合も、がんの可能性があるため分泌液にがん細胞が含まれていないか検査をします。がん細胞が見付かった場合は、手術によってしこりを切除します。

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