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乳口炎 


乳首にある母乳の出口に炎症が起きた状態

乳口(にゅうこう)炎とは、女性の乳首にある乳管開口部である乳口に炎症が起きた状態。授乳中の女性に起きます。

乳口炎が起こる一番の原因は、乳首が傷付くことです。乳児が効率よく母乳を飲むためには乳首周辺を深くくわえる必要があるのですが、体勢がしっくりこない状態や添い寝で授乳をすると、乳児が乳首周辺を浅くくわえてしまい、乳首に余計な負担がかかって乳首の先を傷付けることがあります。乳首が傷付いて、そこから細菌が感染すると炎症が起き、乳口炎を引き起こします。

また、授乳中の女性が脂質や糖質の多い食事を続けていたり、過度なストレスがかかったりすると、母乳が詰まりやすくなり、乳口炎を引き起こすといわれています。

乳首に水疱(すいほう)ができて、次第に白斑(はくはん)と呼ばれる、1〜2ミリくらいの白いニキビのような点ができて、母乳の出口をふさぐのが、乳口炎の始まりです。初期は、乳頭が赤くなったり黄色くなったりすることがあります。

ただ、片方の乳首に15~25個ある乳口のうち一部だけが詰まって、ほかの乳口は開通している状態なので、母乳の出具合にはあまり変化がなく、最初のうちは詰まっていることを自覚しにくい傾向があります。

その後、症状が進行すると授乳中に痛みを覚え、その時に初めて炎症が起きていることを自覚する場合がほとんどです。中には、血胞と呼ばれる血が混じったものが乳首にできることもあります。

乳口炎は、原因を解消しない限り繰り返し発症することが多く、一度なってしまうと授乳中ずっと悩まされるという人も多いようです。

乳口炎の自己対処法

母乳の詰まりを解消しようと、水疱を針で刺してつぶそうとしたり、白斑を無理に取ろうとしたりする人がいますが、雑菌が入って炎症を悪化させる可能性があるため、やめておきましょう。

また、乳口炎になったために授乳をやめてしまう人がいますが、母乳がいっそう詰まって逆効果で、場合によっては乳管が炎症を起こす乳管炎や、乳腺(にゅうせん)が詰まって炎症を起こす乳腺炎を引き起こす危険性があります。

乳口炎の特効薬はありませんが、傷付いた乳口のケアと、母乳が詰まらないようにする適切な対処を行い、授乳を続けましょう。

傷付いた乳口の炎症を抑えるには、乳児の口に入っても大丈夫な口内炎治療薬のデスパコーワなどや、保湿剤のラノリン、スクワランやホホバや馬油(マーユ)などのオイルを毎回の授乳後、乳口に塗ってラップで押さえるのが、お勧めです。

母乳の詰まりを解消するには、乳児に乳首をきちんと吸ってもらうための工夫を行いましょう。

まず、乳児が乳首の根元からしっかりくわえられるような抱き方を探しましょう。また、いつも同じ抱き方はせずに、フットボール抱き、横抱き、斜め抱き、縦抱きなどいくつかの抱き方をローテーションで行うと、詰まっている乳口を吸ってもらえるようになります。

また、授乳間隔を空けないようにしましょう。間隔を空けすぎると母乳がたまって、乳房が張ってしまい、授乳時に乳口への負担が大きくなります。最低でも3時間に1回は授乳をして、乳児の昼寝などで間隔が長く空いてしまいそうなら、力をかけすぎないように搾乳(さくにゅう)をしておきましょう。

食生活を見直すのも効果的。母乳が詰まる原因につながる脂質や糖質の多い食事、乳製品は控え、できるだけ薄味の和食に慣れるのがお勧めです。ジュースやスポーツドリンクにも多くの糖分が含まれており、大量に飲むと、母乳の詰まる原因となります。水分量が減るのも母乳が詰まる原因につながるので、授乳期にはカフェインが少なめの麦茶や番茶などをたくさん飲むのがお勧めです。

乳房を温めるのも効果的。乳房が冷えて硬くなると、分泌される母乳や筋肉が冷えて出具合が悪くなります。ゆっくり風呂に入り、マッサージをして乳房を少し温めてから授乳すると、母乳の詰まりが解消されやすくなります。

ストレス解消も効果的。ストレスや疲れがたまると、体を緊張状態にさせ、乳口を収縮させて母乳の流れを滞らせます。夜の授乳で満足に睡眠が確保できない場合は、日中に乳児と一緒に昼寝をしたり、天気のよい日は散歩に出て気分転換したりするとストレス解消ができます。

乳口炎は、上手に授乳をすることができれば1週間程度で自然治癒するケースが多いのですが、痛いから、触るのが怖いからと放置しておくと、1カ月以上もつらい症状が長引くこともありますので、注意が必要です。

自分で改善できない場合は、母乳外来や助産院に相談してください。

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