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Ⅱa型高リポ蛋白血症
Ⅱa型高リポ蛋白(たんぱく)血症とは、遺伝によって、血液の中を流れる脂質成分であるLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が異常に増え、高リポ蛋白血症(高脂血症)を発症する疾患。家族性高コレステロール血症とも呼ばれます。
本来、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)は、肝臓の細胞表面にあるLDL受容体と呼ばれる蛋白によって細胞の中に取り込まれ、壊されます。しかし、Ⅱa型高リポ蛋白血症では、LDL受容体の遺伝子やこれを働かせる遺伝子に異常があるため、血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が細胞の中に取り込まれないで、血液の中にたまります。
人間の遺伝子は、父親由来と母親由来の2つが一組となってできています。LDL受容体やこれを働かせる遺伝子の両方に異常がある場合をホモ接合体と呼び、いずれか一方のみに異常が認められる場合をヘテロ接合体と呼びます。ホモ接合体のみならずヘテロ接合体も、Ⅱa型高リポ蛋白血症を示します。
Ⅱa型高リポ蛋白血症ヘテロ接合体の発症者は500人に1人以上、Ⅱa型高リポ蛋白血症ホモ接合体の発症者は100万人に1人以上の頻度で認められ、Ⅱa型高リポ蛋白血症の発症者総数は25万人以上と推定されています。さまざまな遺伝性代謝疾患の中でも、最も頻度が高い疾患といえます。
Ⅱa型高リポ蛋白血症ホモ接合体の発症者は、血清総コレステロール値が生まれつき非常に高く、平均で713mg/dl程度とされています。Ⅱa型高リポ蛋白血症ヘテロ接合体の発症者は、平均で338mg/dl程度とされています。健常人は、120~220mg/dlです。
このため、Ⅱa型高リポ蛋白血症ホモ接合体の発症者は、10歳までに、肘(ひじ)や膝(ひざ)などの皮膚に黄色腫(おうしょくしゅ)と呼ばれる黄色いいぼ状の塊が見られます。成長とともに、結節状に盛り上がった黄色腫が肘や膝、手首、尻(しり)、アキレス腱(けん)、手の甲などに多く認められます。
また、幼い時から動脈硬化が進行して、大動脈弁や冠動脈に動脈硬化が進行すると、階段を上がると胸が痛い、苦しいという症状が出ることがあります。小児期に狭心症、心筋梗塞(こうそく)などの命にかかわる疾患を発症することもあります。
Ⅱa型高リポ蛋白血症ヘテロ接合体の発症者では、重症例で皮膚の黄色腫が見られることがありますが、多くは10歳以後に起きます。
Ⅱa型高リポ蛋白血症は、常染色体優性遺伝性の形で遺伝する可能性があります。父親と母親がともにⅡa型高リポ蛋白血症ヘテロ接合体の場合、4分の1確率でホモ接合体の子供が生まれます。両親のいずれか片方がヘテロ接合体である場合、2分の1の確率でヘテロ接合体の子供が生まれます。
Ⅱa型高リポ蛋白血症は、小児期に皮膚の黄色腫で気付かれ、血液検査で明らかな高リポ蛋白血症が判明することで診断されます。動脈硬化性疾患の予防を目的としたLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を低下させるための治療が必要となります。
内科、内分泌・代謝科の医師による治療では、食餌(しょくじ)療法、運動療法に加えて、薬物療法を行ないます。
食餌療法では、脂肪やコレステロールの少ない食事を摂取します。運動療法では、軽い有酸素運動を行ないます。
薬物療法では、スタチンを始めとする脂質低下剤を使用します。薬剤の効果が十分でない場合が多く、効果が足りなければエゼチミブなどのコレステロール吸収阻害剤、プロブコールなどのコレステロール異化促進剤を使用します。
それでも効果が足りない場合に、LDLアフェレシスという体外循環を用いてLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を取り除くことができる治療法を行ないます。これは、機械装置を使って血液からLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を直接除去する方法で、動脈硬化の進行を遅くすることができます。1~2週間に1回の頻度で、一生、続ける必要があります。
Ⅱa型高リポ蛋白血症ホモ接合体の発症者に対して、LDLアフェレシスの導入が遅れると心筋梗塞で死亡する場合もあり、ベッド上で治療の時間中、安静にできるようになる4歳~6歳には治療を始めることが望まれます。治療法の一つとして、 生体肝移植が選択される場合もあります。
適切な治療を行なわない場合、予後は極めて不良です。
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