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尿細管間質性腎炎



腎臓の尿細管や、周囲の組織の間質に炎症が起こる疾患

尿細管間質性腎炎(にょうさいかんかんしつせいじんえん)とは、腎臓の尿細管や、周囲の組織の間質に炎症を起こり、腎臓の機能が低下する疾患。間質性腎炎とも呼ばれます。

腎臓の尿細管は、尿を作るために血液を、ろ過する糸球体から排出された尿の中の水分や、電解質など体に必要な成分を再吸収して、血液中に戻し、不要な成分を尿として排出する役割を果たしています。腎臓の間質は、尿細管と尿細管の間にある組織です。その尿細管や間質に障害が起こる疾患が尿細管間質性腎炎で、糸球体に障害が起こる疾患と異なり、障害が起きても尿検査で異常が起こることがほとんどなく、腎臓の機能障害で発見されることがほとんどです。

尿細管間質性腎炎には急性尿細管間質性腎炎と慢性尿細管間質性腎炎の別がありますが、原因や発症のメカニズムは不明なことも多く、蛋白(たんぱく)尿や血尿なども少なく、無症状のまま経過し、気が付いたら慢性腎不全ということも多いと考えられています。原因不明の腎臓機能障害の中で頻度は高く、注意が必要です。

急性尿細管間質性腎炎は、しばしば数日から数カ月で発症し、急激に腎臓の機能が低下していきます。ほとんどは、薬剤の副作用やアレルギー性の薬物反応、感染症が原因となって、急性尿細管間質性腎炎を発症します。

薬剤の副作用やアレルギー性の薬物反応としては、主に抗生物質(抗菌薬)、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs、エヌセイズ)、抗結核薬、抗てんかん薬、消化性潰瘍(かいよう)薬、痛風治療薬などの医薬品を服用した時に起こる場合があります。

また、全身性感染症や急性腎盂(じんう)腎炎などの感染症、膠原(こうげん)病の合併症として起こる場合や、ぶどう膜炎を伴う腎眼症候群として起こることもあります。

薬剤の副作用やアレルギー性の薬物反応としての発症は、原因と考えられる医薬品の服用後2週間以内に発症することが多いものの、1カ月以上たってから起こることもあります。

症状としては、発熱、発疹(はっしん)、関節痛、吐き気、嘔吐(おうと)、下痢、腹痛など、一般的な風邪のような症状がみられます。進行すると腎臓の機能が低下して、尿量が減ったり、むくんだりします。さらに進んで症状が重くなると、急性腎不全を示すこともあり、人工透析療法が必要となることもあります。

慢性尿細管間質性腎炎は、病変が慢性に経過して尿細管の委縮や間質の線維化が進行し、次第に腎臓の機能が低下していきます。

その原因は、慢性腎盂腎炎による慢性感染症がほとんどです。また、鎮痛薬などの薬剤を長期間多量に服用していることが原因となって、発症することもあります。そのほか、サルコイドーシス、シェーグレン症候群、逆流または閉塞(へいそく)性尿路疾患、高カルシウム血症、低カリウム血症、高尿酸血症、虚血、重金属中毒、ある種の薬物(ハーブ)などが原因となって、発症することもあります。

慢性腎不全を示すまで見付からないことも多く、これは慢性尿細管間質性腎炎が潜行性であるためです。初期段階における腎臓の機能障害では、高カリウム血症や高クロール血症性アシドーシスが認められます。また、糸球体病変を合併する二次的な悪化例では、明らかな高血圧および蛋白尿が示されることもあります。

尿細管間質性腎炎の検査と診断と治療

泌尿器科、腎臓内科、内科の医師による急性尿細管間質性腎炎の診断では、血液検査で、腎臓の機能低下により尿中に排出されずに血液中に蓄積される血清クレアチニン値の上昇が認められ、アレルギー反応に関与するIgE(免疫グロブリンE)や、アレルギー反応による炎症の一因ともなる好酸球という白血球数が増加することもあります。

尿検査では、蛋白尿は軽度(1g/日以下)で、白血球尿が認められます。また、尿細管性蛋白尿(β2ミクログロブリン)や尿細管の酵素であるNAGの増加が認められます。確定診断には、腎臓の組織の一部を採取し、顕微鏡で調べる腎生検が必要です。

泌尿器科、腎臓内科、内科の医師による慢性尿細管間質性腎炎の診断では、血清クレアチニン値の上昇を認め、腎臓の機能の低下が比較的緩やかで、蛋白尿が顕著でない場合に疑われます。確定診断には、腎臓の組織の一部を採取し、顕微鏡で調べる腎生検が必要です。

泌尿器科、腎臓内科、内科の医師による急性尿細管間質性腎炎の治療では、原因となっている疾患の治療を行います。薬剤が原因となっている場合は、薬の投与を中止して腎臓の機能の回復を待ちます。早期では、薬の投与を中止すれば、特別な治療をしなくても多くは治ります。

アレルギー反応などの免疫が関与している場合は、炎症を抑えるためステロイド薬を短期間用いることもあります。病状が進行して急性腎不全となるような場合には、人工透析療法を一時的に導入することがあります。

泌尿器科、腎臓内科、内科の医師による慢性尿細管間質性腎炎の治療では、原因となっている疾患の治療を行います。進行性の腎臓機能障害がある場合は、慢性腎臓病に対する治療を行います。間質の線維化が進行した場合は、数カ月から数年以上にわたって、ゆっくりと腎不全が進行します。

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