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適応障害

社会環境に適応できず、心身の症状が出現

適応障害とは、ある社会環境においてうまく適応することができず、さまざまな心身の症状が現れる精神疾患の一種。急性ストレス障害、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と同様に、外的ストレスが原因となって起こるストレス障害に分類されます。

だれでも、新しい環境に慣れて社会適応するためには、多かれ少なかれ苦労をしたり、いろいろな工夫や選択をする必要に迫られることはよくあることです。それがうまくいかなくなった場合には、会社では職場不適応、学校では登校拒否(不登校)、家庭では別居あるいは離婚などといった形で現れます。

ストレス学説によれば、心理社会的ストレス(環境要因)と個人的素質(個人要因)とのバランスの中で、いろいろなストレス反応である心理反応、行動反応、身体反応が生じますが、これらは外界からの刺激に適応するための必要な反応です。ところが、ストレスが過剰で長く続く時、個人がストレスに対して過敏である時に、このバランスが崩れてさまざまな障害を来すようになります。

適応障害の発症に関しては、個人的素質が大きな役割を果たしていますが、もし外的ストレスがなければこの状態は起こらなかったと考えられることが、この障害の基本的な概念です。つまり、外的ストレスの源がはっきり指摘できる場合にのみ、適応障害と診断されます。症状が現れるのに先立って、日常的ではあるが個人にとっては重大な環境の変化である就職、就学、独立、転居、結婚、離婚、失業、経済的困難、重い病気、子離れ、親別れなどがあります。

適応障害の症状はいろいろで、不安、抑うつ、焦燥、過敏、混乱などの情緒的な症状、不眠、食欲不振、全身倦怠(けんたい)感、易疲労感、頭痛、肩凝り、腰痛、腹痛、吐き気、動悸(どうき)などの身体的な症状、業績や学力の低下、遅刻、欠勤、不登校、早退、過剰飲酒、ギャンブル中毒、暴力などの問題行動があります。そして、次第に対人関係や社会的機能が不良となり、仕事や学業にも支障を来し、引きこもってうつ状態となります。

精神科、心療内科以外の病院で身体的な症状のみを訴える場合、検査では確認できないため、適応障害が見過ごされることが多くなります。逆にいうと、不眠や頭痛、吐き気などの症状があるにもかかわらず、病院で異常なしといわれた場合、適応障害であることがあります。

軽度のうつ病と区別がつきにくく、放置しているとうつ病になることもあります。また、適応障害がもとで発生する身体的な異常は、自律神経失調症や心身症とも呼ばれます。

適応障害は比較的よくみられ、精神科受診者の約10パーセントとも見なされています。思春期、青年期に多く起こりますが、どの年代でも起こり得ます。男性より女性により多くみられ、性格がまじめで、忍耐強い人ほどかかりやすいとされます。

適応障害の検査と診断と治療

適応障害の診断には、次のような基準があります。

1、はっきりとした心理社会的ストレスに対する反応で、3カ月以内に発症する。2、ストレスに対する正常で予測されるものよりも過剰な症状。3、社会的または職業(学業)上の機能の障害。4、不適応反応はストレスが解消されれば6カ月以上は持続しない。そして、他の精神障害がないことが前提条件です。

適応障害のタイプとしては、その主要な症状によって以下のように分類されます。

1、不安気分を伴う適応障害:不安、神経過敏、心配、いらいらなどの症状が優勢。2、抑うつ気分を伴う適応障害:抑うつ気分、涙もろさ、希望のなさなどの症状が優勢。3、行為の障害を伴う適応障害:問題行動、人の権利の障害、社会規範や規則に対する違反行為などが優勢。4、情動と行為の混合した障害を伴う適応障害:情動面の症状(不安、抑うつ)と行為の障害の両方がみられるもの。5、身体的愁訴を伴う適応障害:疲労感、頭痛、腰痛、不眠などの身体症状が優勢。6、引きこもりを伴う適応障害:社会的引きこもりが優勢。

適応障害の治療では、まず原因となっている心理社会的ストレスを軽減することが第一です。環境要因を調整して適応しやすい環境を整えることや、場合によってはしばらく休職、休学して休養し、心的エネルギーを回復することが必要です。また、心理的葛藤(かっとう)に関してカウンセリングを受けて、混乱した情緒面の整理をすることや、社会適応へ向けての心理的援助を求めることも有効です。精神療法によるストレス脆弱(ぜいじゃく)性の体質改善も、効果があるといわれています。

不安を主とする場合は抗不安薬、うつ症状を主とする場合は抗うつ薬の服薬など、それぞれの病型に応じて薬物療法が必要な場合もありますが、薬物は期間を限って補助的に用いられます。

適切な治療で、多くは3カ月以内という短期間で回復します。しかしながら、適応障害の原因となっている心理社会的ストレスの軽減、あるいは除去が行われないことには、さまざまな症状が再発する可能性が高くなります。 ストレス因子がなくなった後も6カ月以上症状が続く場合は、PTSD(心的外傷後ストレス障害)や分類不能の重度のストレス障害、特定不能の不安障害などを考慮する必要もあります。

日常生活上の心掛けとしては、環境要因からの心理社会的ストレスにより、心身のバランスを崩した時に症状が現れてくるので、適度の休養を確保したり、気分転換を図ったりして、日頃からストレスをためないような工夫をする必要があります。適切な相談相手を持って一人でくよくよ考えないことや、人といかにうまく付き合い、その中でいかに自己実現するかというソーシャルスキルを身に着けることも有効です。

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