健康創造塾 健康実用辞典 健康創造塾 健康実用辞典 健康創造塾 健康実用辞典 健康創造塾


低血糖発作



血糖値が生理的な変動範囲を超えて低下することにより、意識障害などの症状を示す状態

低血糖発作とは、人の血液に含まれる糖の量、すなわち血糖値が生理的に正常な変動範囲を超えて低下することにより、意識障害などのさまざまな症状を示す状態。

対応が遅れると、死に至ることもある危険な状態です。血液に含まれる糖(ブドウ糖)が少なくなりすぎる低血糖の原因により、空腹時低血糖、反応性低血糖、薬剤性低血糖に分けられます。

空腹では本来は低血糖発作は起こりませんが、ホルモンの異常分泌などにより低血糖を引き起こしてしまうものが、空腹時低血糖です。

また、胃がんの手術などで胃を切除した人に起こるのが、反応性低血糖です。

薬剤性低血糖は、糖尿病患者に起こります。糖尿病患者で、食事の量や炭水化物の不足、糖尿病の薬を服用した後の食事時間の遅れ、運動の量や時間が多い時の運動中や運動後、空腹での運動、インスリン注射や経口血糖降下剤の量の多すぎ、アルコールの多量摂取、入浴などが原因で、低血糖発作が引き起こされます。

人の血液に含まれる糖の量、すなわち血糖値は約70mg/dLから140mg/dLの間に維持されていますので、血糖値が約70mg/dL以下になると低血糖の状態となり、交感神経症状が現れ、集中力の低下、脱力感、異常な空腹感、発汗、手の震え、動悸(どうき)などの症状が出てきます。さらに血糖値が下がり50mg/dL程度になると、意識や呼吸の調節をしている中枢神経症状が現れます。

ただし、ふだんから低血糖がよく起こる人や、低血糖症状の自覚が少ない人は、空腹感、発汗などの交感神経症状が現れないまま、無自覚性低血糖になることがあります。無自覚性低血糖の状況になると、血糖値を測ると60mg/dL程度まで低下していることに気付いたり、血糖値が50mg/dLより低くなって、突然さらに重い中枢神経症状が現れ、意識障害を示すことがあります。

そして、血糖値が30mg/dLよりも低くなると、低血糖発作を起こす重症低血糖に陥って意識レベルが低下し、昏睡(こんすい)など意識のない危険な状態になってしまうことがあります。これは大変深刻な状態で、死に至ることもあります。

低血糖になった時は、できるだけ早い段階で速やかに対応をしなければなりません。意識があり経口摂取が可能な時は、砂糖15グラムから20グラムを飲みます。糖分を含む缶ジュース、缶コーヒーでも構いません。10分から15分で回復しない時は、再度同量を摂取します。

α-グルコシダーゼ阻害剤であるアカルボース(商品名:グルコバイ等)、ボグリボース(商品名:ベイスン等)、ミグリトール(商品名:セイブル)など、消化管の二糖類をブドウ糖に分解する消化酵素の働きを抑えることで血糖の急激な上昇を抑える糖尿病の薬を飲んでいて低血糖を起こした時には、砂糖を飲んでもすぐに吸収されないため、回復に時間がかかることがあります。

そのため、低血糖時にはブドウ糖、またはブドウ糖を多く含む清涼飲料水を飲むようにします。

深刻な低血糖で意識障害を来した時には、自身でブドウ糖を飲み込むのが難しいことがあり、家族や周囲の協力が必要になります。その場合は、無理にブドウ糖を飲ませると、誤嚥(ごえん)や窒息の原因になります。周囲の人は、ブドウ糖や砂糖を水で溶かして、口唇と歯肉の間に塗り付けます。

医療機関の指導を受けた上で、周囲の人が血糖値を上げるためのグルカゴンという注射を行うこともあります。肝臓のグリコーゲンを分解し、ブドウ糖を放出する作用があるグルカゴン注射で回復した後は、軽く経口摂取しておくことが必要です。なお、一時的に血糖値を下げる作用があるアルコールの飲みすぎで低血糖になった時は、肝臓内のグリコーゲンが枯渇しており、グルカゴン注射は効きません。

救急処置でも回復しない時は、すぐに救急車を呼び、医療機関へ搬送しましょう。

意識がはっきりしない状態にまでなった低血糖は、一時的に血糖値が改善してもその後にまた血糖値が下がり、同じ症状が現れる可能性が高くなります。低血糖が続く場合も、必ず医療機関で診察を受けましょう。

低血糖発作の検査と診断と治療

内科、内分泌代謝内科などの医師による診断では、低血糖症状があってもなくても、血糖値が70mg/dLより低い場合、血糖値が70mg/dLより高くても、低血糖症状がある場合に、低血糖と判断します。低血糖発作を起こす重症低血糖に陥って意識レベルが低下した患者が搬送されてきた場合には、直ちに緊急の処置を行いますが、それでも可能であれば血液検査を行い、血糖値を確認します。

内科、内分泌代謝内科などの医師による治療では、意識が保持され経口摂取が可能な場合には、ブドウ糖10〜20グラムを経口摂取します。低血糖昏睡を起こし経口摂取が不可能な場合には、まず50%のブドウ糖液 20〜40 mlを静注し、その後5%のブドウ糖を点滴し、血糖値を100~200 mg/dlに保ちます。特にスルホニル尿素薬(SU薬)を内服している場合には、ブドウ糖液の静注で血糖が上昇したからといって安心せず、数時間後に再発することがあるため、入院の上で十分な管理を行います。

低血糖に関しては、予防に優る治療はありません。食事を規則正しく摂取する、食前の過激な運動は避ける、運動前に補食するなどの注意が必要です。

また、自身が糖尿病治療のために使用している薬が、低血糖を起こしやすいか否かを把握することも、必要です。一般に低血糖を起こしやすい薬は、スルホニル尿素薬(SU薬)とインスリンです。ほかのアカルボース、ボグリボース、ミグリトールなどの薬でも起こることがあります。インスリン注射は、正しい手技を身に着けておくことが重要です。

軽い低血糖症状が現れた時は、できるだけ早い段階で速やかに対処して、重症低血糖を防ぎます。無自覚低血糖を起こすようなケースでは、こまめに血糖を自己測定し、血糖が下がっていれば症状がなくても早めに対処することが必要です。

低血糖を起こした時、いつ、どこにいてもすぐに対処できるように、ペットシュガーやブドウ糖ゼリーなどを常時携帯しておきます。特に運動療法で外出するような時は忘れずに持っていきます。

もしもの時に備えて、糖尿病患者であることを示す糖尿病手帳や、携帯用の糖尿病患者用IDカード(緊急連絡用カード)を常に携行しておけば、昏睡で医療機関に搬送された時でもすぐに適切な処置が受けられます。

コンテンツのトップへ戻ります ページのトップへ戻ります ホームへ戻ります

健康実用辞典のトップへ戻ります ページのトップへ戻ります ホームへ戻ります


Copyright 2003〜 kenkosozojuku Japan, Inc. All rights reserved.