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大豆イソフラボン



大豆イソフラボンとは、植物の色素成分であるフラボノイドの一種で、大豆の胚芽(はいが)に特に多く含まれています。豆腐や納豆などの大豆食品をよく食べる日本人にとっては、日ごろからなじみの深い成分です。

今のところ、ダイゼイン、ゲニステインを代表とする15種類の大豆イソフラボンが確認されています。イソフラボンは大豆のほかに、葛(くず)の根やクローバーなどにも含まれています。

近年の日本では、この大豆イソフラボンが女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをすることで、注目されています。欧米では、日本人の長寿、そして骨粗鬆(こつそしょう)症や更年期障害、乳がん等の発生率の低さの秘密があるとして、大豆イソフラボンを研究しています。

更年期障害は、女性ホルモンの不足が引き金となります。女性ホルモンと似た作用を持つイソフラボンは、大いに有効です。更年期障害の治療法としてエストロゲンを投与する方法がありますが、自然に存在する成分であり薬ではないイソフラボンは、エストロゲンに比べると効果は落ちても、副作用がないのが利点といえます。

骨粗鬆症は、閉経後の女性に多い病気です。閉経後に起こりやすくなるのは、女性ホルモンのエストロゲンの不足によります。エストロゲンは、骨から溶け出すカルシウム量を抑えて、骨を保護する役目をしています。イソフラボンは、その女性ホルモンの激減を緩和します。

女性ホルモンの欠乏を補うと同時に、女性ホルモンの分泌過剰に対しては、それを抑える方向にイソフラボンは働きますので、女性ホルモン過剰が引き金となる乳がんの予防にも役立ちます。乳がんと同じようにホルモン依存型である子宮がんや、一部の男性の前立腺(せん)がんに対しても、効果的に働くと考えられています。 

女性らしい体を作るエストロゲンと同様の働きがあるイソフラボンには、美白作用、保湿性の向上といった肌の美容効果も認められています。ほかにも、バストアップ効果、生理不順の改善など、女性にうれしい作用があります。

イソフラボンの摂取量は、一日に40mg~50mgが理想。これは、豆腐なら150g(半丁)、きな粉なら20g、納豆なら60g(1パック)です。 多めに摂取しても体外に排出されますが、5gや10gといった過剰な量を摂取するのはよくありません。

大豆イソフラボンの特定保健用食品(トクホ)、サプリメントを使用するに当たっては、注意事項があります。妊娠中、授乳中の女性、乳幼児及び小児は、摂取しないこと、過剰摂取に注意すること、病院で治療中の人の摂取については担当医に相談することです。

平成18年5月、内閣府食品安全委員会は、食事以外に特定保健用食品として大豆イソフラボンを摂取する場合、一日当たりの上限をアグリコン型としての換算で30mgとすることを発表しました。

食品安全委員会では、大豆イソフラボンの安全な一日摂取目安量の上限値70~75mgを算出し、さらに、日本人の平均的な摂取量を国民栄養調査から一日15~22mgと導き、上乗せ摂取量が30mg以下ならば、十分に安全であると考えられる上限値を下回るとしています。

一日30mgというのは、吸収のよいアグリコン型としての換算値で、配糖体では約48mgに相当します。多くのサプリメントに使用されている大豆イソフラボンでは、「アグリコン型」と明記されていない場合、ほとんどが「配糖体」の形です。 

なお、食品安全委員会では、通常の食品からの摂取の場合、上限値を短期的に超えても、直ちに健康被害に結び付くものではないとしています。

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