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洞不全症候群



主に洞結節の働きの低下により脈が遅くなり、主要臓器の循環障害が起こる疾患

洞不全(どうふぜん)症候群とは、血管系統の中心器官である心臓が鼓動するリズムを作っている洞結節やその周辺の異常により、脈がゆっくりになる徐脈を起こし、脳、心臓、腎(じん)臓などの臓器の機能不全が現れる疾患。洞機能不全症候群、SSS(Sick Sinus Syndrome)とも呼ばれます。

心臓の右心房の上部にある洞結節の細胞自体やその周辺に存在する心房筋の障害によって、心拍数が減少して脈がゆっくりになる徐脈のほか、心停止を起こす場合があり、その結果として脳への血流が途絶えることで意識障害や失神などの症状が出ることもあります。心臓から送り出される血液量の低下によって、心臓、腎臓などの主要臓器の循環障害が起こることもあります。

心臓が鼓動するリズムは、心臓の動きを伝導する電気信号によって決まります。このような電気信号の始まりである洞結節は、交感神経や副交感神経などの自律神経作用の影響を受け、心拍数を調節する重要な場所です。

心臓の電気的な活動の様子をグラフの形に記録する心電図的には、持続性の洞徐脈、洞停止または洞房ブロック、徐脈頻脈症候群の3つのタイプに分類されます。

持続性の洞徐脈の場合、常に脈拍数が1分間に40~50回以下に減少し、心房の興奮を反映するP波という小さな波の規則正しい間隔で現れる数が少なくなります。

洞停止または洞房ブロックの場合、洞結節からの電気信号が一過性に停止または心房に伝わらないことによって起こります。P波に続くP波よりも尖(とが)って大きな波のQRS波、そしてなだらかな波のT波へと続く関係は正常ですが、先行するP波が突然現れなくなります。

徐脈頻脈症候群の場合、心房細動や心房粗動、発作性上室性頻拍などの頻脈性不整脈が出現し、心房が速く興奮して、その刺激が洞結節に進入することで、洞結節の自発的興奮を一時的に強く抑えてしまうため、頻脈が自然停止した直後に高度の洞停止が生じます。

洞不全症候群の原因ははっきりしないことが多いのですが、特定できる原因として最も多いのは、加齢による洞結節または周辺の心房筋の線維化による伝導障害です。そのほかに、心筋梗塞(こうそく)や冠状動脈硬化などの虚血性心疾患、高血圧症、先天性心疾患、心筋症、心筋炎などが原因になりますが、慢性腎機能障害による電解質異常や甲状腺(こうじょうせん)疾患によって起こることもあります。

また、洞結節の刺激の発生数を低下させる迷走神経の緊張高進、高カリウム血症のほか、高血圧治療薬や虚血性心疾患治療薬、抗不整脈薬、精神疾患治療薬などの薬剤投与によって引き起こされる場合もあります。

洞不全症候群の症状は、心停止または徐脈に伴う脳虚血症状として現れ、意識障害、眼前暗黒感、めまい、失神、顔面蒼白(そうはく)、けいれん、呼吸停止などが起こります。夜間睡眠中に脳虚血症状が現れる場合は無症状で経過することもありますが、日中に現れる脳虚血症状により転倒した場合には時に、重大な頭部外傷をもたらす危険もあり、心停止から拍動が回復しない場合は突然死することもあります。

運動時の息切れや疲労感、心不全の悪化による呼吸困難、乏尿として現れる場合もあります。

徐脈頻脈症候群では、頻脈の時に動悸(どうき)を感じることがあります。また、不整脈のため血栓が脳に流れ脳卒中を起こすこともあります。

 脳虚血症状などが長引く場合、繰り返すような場合には、循環器専門医の診察を受けてください。

洞不全症候群の検査と診断と治療

循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による診断では、症状を起こした時の心電図を記録し、確認することで洞不全症候群と確定します。

体表面の異なる12方向から記録する12誘導心電図、24時間ホルター心電図、携帯型簡易心電計などによる検査でわからない場合は、心臓電気生理学的検査(EPS)と呼ばれるカテーテル検査を行うこともあります。

循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科の医師による治療では、症状が軽い場合は、洞結節の自発的興奮の回数を増やす薬剤を使用します。抗コリン薬(硫酸アトロピン)、β(ベータ)刺激薬(イソプロテレノール)などの経口薬や静注薬です。

徐脈が薬にあまり反応しなかったり、薬を中断すると症状が悪化するような場合や、薬剤による治療がうまくいかないことが多い徐脈頻脈症候群と診断した場合は、恒久型ペースメーカーを植え込みます。恒久型ペースメーカーは、徐脈が現れた時のみ電気刺激を出して心臓を刺激することにより心拍数を正常にし、高度な徐脈、心停止による失神などを予防します。手術で、ライターほどの大きさの恒久型ペースメーカーを鎖骨の下に植え込み、脈の状態は心臓の中に留置したリード線を通して察知します。

一方、長年の肉体労働や長距離走などのトレーニングにより生理的に洞結節の機能が抑制されて、脈が遅くなっているような人には、ペースメーカー治療の必要はありません。また、薬剤の投与によって一時的に洞不全が生じた人で、薬剤の中止によってその機能が回復し得る人も、ペースメーカーの植え込みは不要です。

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