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遅発閉経



一般的な停止年齢より遅れて、55歳以降になって閉経する状態

遅発(ちぱつ)閉経とは、女性が55歳以降になって閉経する状態。晩発(ばんぱつ)閉経とも呼ばれます。

閉経の年齢は個人によって異なりますが、一般的には45~56歳くらい、平均では2012年度で52・2歳、遅い人でも60歳前には閉経に至るといわれています。かつては平均閉経年齢は50歳といわれていましたが、平均寿命や健康寿命が延びているように、平均閉経年齢も延長しています。

そもそも閉経とは、女性が性成熟期の終わりに達し、更年期になって卵巣の活動性が次第に消失し、卵巣における卵胞の消失によって月経が永久に停止することをいい、その時期を閉経期といいます。

女性によっては、一度月経が停止したのに半年後に再開するケースもあるため、無月経になってから1年以上経過したことを目安に閉経と見なされます。

遅発閉経で、55歳以降になって月経が続いているということは、ほかの女性よりも長く女性ホルモンを分泌できる恩恵を受けられるということで、骨粗鬆(こつそしょう)症などになる可能性は低く、一見QOL(生活の質)はよいように思われます。

一方、生殖機能にかかわる女性ホルモンには、乳がんの増殖を促す作用があり、分泌期間が長いと発症しやすくなります。子宮体がんや卵巣がんを発症するリスクも、高まるといわれています。

月経の経血量が多いタイプの女性が、閉経が遅い傾向にあります。特に、子宮の筋肉にできる良性腫瘍(しゅよう)である子宮筋腫(きんしゅ)が原因で経血量が多い女性は、卵巣から出る女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が多い傾向があり、閉経時期が50歳代半ば以降になることもあります。

子宮筋腫があると、それまで月経トラブルがなかった女性でも、更年期に経血量が増えたり、突然大量出血することもあります。

子宮筋腫などで貧血を伴う場合は、婦人科、産婦人科を受診することが勧められます。単なる遅発閉経の場合は、特に治療の必要はないものの、乳がん、子宮体がん、卵巣がんの危険因子として挙げられているので、少なくとも年1回程度の定期検診は欠かさず受けることが勧められます。

遅発閉経の検査と診断と治療

婦人科、産婦人科の医師による診断では、子宮筋腫が疑われる場合、触診に続いて、超音波(エコー)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査を行って、子宮内部の様子を外から観察し、確定します。

婦人科、産婦人科の医師による治療では、単なる遅発閉経の場合、経過を観察します。

子宮筋腫によって貧血がある場合、薬物療法と摘出手術という2つの方法がありますが、根本的な治療は手術になります。

薬物療法は、ホルモン剤によって、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌を一時的に停止させる方法です。Gn-RH製剤と呼ばれる薬が使われ、月1回注射を打つ方法、1日に2~3回、鼻に噴霧する方法などがあります。これによって、子宮筋腫の重さを半分から3分の2くらいまで縮小させることができます。

しかしながら、この方法では人工的に閉経したのと同じような状態を作るため、更年期障害が現れ、骨粗鬆症のリスクも高めることになります。Gn-RH製剤を使うのは、半年が限度とされています。その後、半年治療を中断すれば、骨も元に戻り、骨粗鬆症のリスクも低下しますが、子宮筋腫もまた元の大きさ近くに戻りますので、根本的な治療にはなりません。最近は、閉経が間近な女性などに対して、補助的な意味合いで使われることも多いようです。

また、子宮に栄養を供給する子宮動脈を人工的に詰まらせ、子宮筋腫を栄養不足にすることで小さくする、子宮動脈塞栓(そくせん)術という治療法があります。X線でモニターしながら、大腿(だいたい)部の動脈から子宮動脈まで細い管を挿入し、詰め物で血管に栓をします。まだ一般的な治療ではなく、一部の施設で試みられている段階です。

手術で子宮筋腫を摘出する場合は、子宮筋腫のみを摘出して子宮を残す方法と、子宮ごと子宮筋腫を摘出する方法とがあります。どの方法を選ぶかは、筋腫の状態、症状の程度などによって決定されます。

手術の方法も、おなかにメスを入れる開腹手術だけではなく、腟(ちつ)から子宮を取る手術や、腹腔(ふくくう)鏡など内視鏡によって開腹せずに行う手術もあります。

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