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遅発月経



一般的な年齢より遅く、15歳以上18歳未満で初めての月経を迎える状態

遅発(ちぱつ)月経とは、一般的な開始年齢より遅れて、15歳以上18歳未満で初めての月経である初潮を迎える状態。晩発(ばんぱつ)月経とも呼ばれます。

月経は、ホルモン分泌の調整をする脳の視床下部と脳下垂体が卵巣を刺激し、それによって卵巣から分泌される女性ホルモンが子宮に働き掛けて起こる出血です。

女児が初めての月経である初潮を迎える時期にはそれぞれ個人差がありますが、一般的には、12歳が平均的な年齢とされ、14歳までにはほとんどの女児が月経を経験しています。

しかし、遅発月経の場合は、その平均的な年齢よりも遅れて月経が始まることになります。そして、18歳になっても月経が始まらない場合は、原発性無月経と呼ばれます。

15歳以上になっても初潮が起きないという場合は、乳房の発育に加えて恥毛や腋毛(えきもう)の発毛など、ほかの二次性徴も遅いのが普通です。12〜13歳になっても乳房の発育が始まらない、14歳になっても恥毛が発毛しない、そして遅発月経であるという場合は、遅発思春期(思春期遅発症)と呼ばれます。

 遅発月経の原因には、さまざまなものが考えられます。体質が関係しているために、明白な原因がなく、ただ初潮が遅れているだけというような場合は、特に大きな問題はないといえるでしょう。

治療が必要になる原因には、視床下部や脳下垂体など中枢性の異常があり、刺激が弱いために卵巣からの女性ホルモンの分泌が年齢に応じて増加しないために、月経が起こりません。

また、生まれ付きの遺伝的なものとして、形態異常や染色体異常があると、月経が起こりません。

このうち形態異常には、膣(ちつ)閉鎖または処女膜閉鎖があります。膣や膣の入り口が閉鎖しているために、実際には月経があるのに、外へ流れ出てこないために、遅発月経と思われているものです。この場合は、脳下垂体や卵巣機能は正常のことが多く、女性ホルモン分泌は正常で二次性徴も認められて乳房などは発達しており、周期的な下腹部痛が繰り返されるのが特徴です。

そのほか、卵巣や子宮が先天的になかったり、発育が不完全の場合には、月経が起こりません。

染色体異常としては、ターナー症候群、精巣性女性化症候群、副腎(ふくじん)性器症候群などがあり、甲状腺(せん)機能低下症など疾患が原因のこともあります。

卵巣形成障害や染色体異常が原因の場合は、乳房の発育、恥毛や腋毛の発毛など、思春期に起こる二次性徴の出現がみられないことが特徴的です。

そのほか、無理なダイエットによるホルモンバランスの乱れ、激しいスポーツによるホルモンバランスの乱れが原因のこともあります。

遅発月経の場合は、結局18歳までに初潮を迎えることがなく、18歳を超えても月経の経験がない原発性無月経へと移行してしまうということが、少なくありません。そのために、遅発月経になる原因は、必然的に原発性無月経の原因と同じになります。

いずれにしても、15歳過ぎても初潮がない場合は、原発性無月経になる可能性がありますから、早めに婦人科、産婦人科、思春期外来を受診することが勧められます。

遅発月経の検査と診断と治療

婦人科、産婦人科、思春期外来の医師による診断では、まずは問診によって、無月経や遺伝的疾患の家族歴、内科的疾患の有無、薬剤服用の有無を確認します。また、基礎体温を測り、排卵の有無も確認します。

問診、視診、内診などで、子宮や腟の存在の有無、二次性徴の発現の有無を調べた後、血液検査、超音波(エコー)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査、腹腔(ふくくう)鏡検査、場合により染色体検査や慢性疾患の検査などを行い、遅発月経の原因を探ります。

婦人科、産婦人科、思春期外来の医師による治療では、原因が体質による単なる遅れだという診断がなされた場合、経過観察のみで特に治療は行いません。

染色体の異常や卵巣の異常が原因の場合は、性ホルモン補充療法により二次性徴の促進と維持を図ります。染色体に異常がない場合は、排卵誘発剤の投与などを行います。

また、膣や処女膜などの閉鎖が原因の場合は、手術療法で閉鎖部の切開を行います。内科的疾患が原因の場合は、その改善を図ります。ダイエットなどが原因の場合は、食生活の見直しやカウンセリングなどを行います。

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