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男性乳がん



男性の乳房内でがん細胞が増殖する疾患

男性乳がんとは、男性の乳房内でがん細胞が増殖する疾患。男子乳がんとも呼ばれます。

乳がんの多くは、乳汁(母乳)を分泌する乳腺(にゅうせん)に発生します。男性にも、必要はないながらも乳腺は存在するため、乳がんになる可能性はあります。

男性乳がんは、女性を含めた乳がん全体の約0・5〜1・0パーセントを占め、発生年齢は女性の乳がんより高いとされています。また、男性の場合は女性と比べて、元来の乳腺が痕跡(こんせき)的で小さいことや皮下脂肪が少ないことから、がん細胞が皮膚や筋膜へ浸潤しやすく、やや進行したものが多いといわれています。

主に60歳代以上に発生し、その多くが女性化乳房とかかわりがあると見なされています。女性化乳房とは、男性の乳腺が女性のような乳腺に発達してしまう疾患で、男性ホルモンと女性ホルモンのバランスの乱れや、肝臓の機能障害による女性ホルモン(エストロゲン)の増加が主な原因です。

内分泌系の疾患のほか、薬の副作用として現れるもの、突発性のものなど原因はさまざまですが、乳腺が発達すればするほど男性乳がんのリスクは上がります。

ほかにも、放射線の被曝(ひばく)によるもの、遺伝性のものもあると考えられています。例えば、親族内に乳がんを発症した女性が多い場合、男性であってもその遺伝子を受け継ぐ可能性が高いことがわかっていますので、乳がん家系の男性は注意が必要です。男性乳がんの発症者の約15~20パーセントは、乳がんの家族歴があるともいわれています。

男性乳がんが発生すると、多くのケースで片側の乳房の乳頭や乳輪下に硬く、移動しにくいしこりを認めます。男性は女性よりも胸部の皮下脂肪が少ないため、しこりが目立ちやすく、人によっては外側から見てもわかることがあります。

わきの下のリンパ節に転移している場合、わきの下にしこりを感じることもあります。

また、乳管の中に浸潤している場合、乳頭の変形や膨隆(ぼうりゅう)を認めることがあり、乳頭から血液混じりの分泌液があったり、皮膚の潰瘍(かいよう)を伴うこともあります。

男性であっても乳がんを発症する可能性があることを知り、乳頭や乳輪下のしこりに気付いたら、早めに内科、外科、乳腺外科を受診することが大切です。

男性乳がんの検査と診断と治療

内科、外科、乳腺外科の医師による診断では、問診を行って、合併症の有無や服薬の有無とその種類について聞きます。続いて、胸のしこりを確認するために触診やマンモグラフィー(乳房X線検査)、超音波(エコー)検査などを行い、最終的には穿刺(せんし)吸引細胞診、あるいは針生検(せいけん)をして確定します。

内科、外科、乳腺外科の医師による治療では、女性の乳がんと同様に手術を行います。手術方法としては乳房温存手術が行うこともありますが、多くは乳房すべてとともに、胸筋やリンパ節を切除します。

手術の後、抗がん剤治療や放射線治療はもちろん、ホルモン依存性の乳がんの場合は、女性ホルモン(エストロゲン)を作っている酵素であるアロマターゼの働きを妨げるアロマターゼ阻害剤による内分泌治療も行います。

男性乳がんが骨や肺、肝臓などの遠隔臓器に転移した場合は、がんの治癒を目指すのではなく、がんの進行を抑えたり症状を和らげることで日常生活の質(QOL)を保ちながら、より長くがんと共存するための治療を行います。

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