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低髄液圧症
低髄液圧症とは、脳脊髄腔(のうせきずいくう)を循環する脳脊髄液が持続的、ないし断続的に漏出することによって減少し、頭痛やさまざまな全身症状を示す疾患。低脳脊髄液圧症、脳脊髄液減少症とも呼ばれます。
脳脊髄液は、脳と脊髄全体を覆うように脳脊髄腔を循環して保護液として働き、脳と脊髄を浮かせて頭や体が急激に動くことによる衝撃を柔らげたり、部分的な脳や脊髄の活動によって産生される物質を取り除く働きも併せ持つと考えられています。
脳の内側で4つに分かれて存在する脳室で、血液の成分から1日約500ミリリットル産生されて、1日で3回ほど全体が入れ替わる程度のスピードで循環しています。最終的には、くも膜という脳の保護膜と脳との間に広がっている静脈洞という部位から吸収され、血液へ戻ってゆきます。
何らかの原因で脳脊髄腔を覆っている硬膜に亀裂(きれつ)などが生じ、この脳脊髄液が脳脊髄腔から漏出することが原因で、低髄液圧症が生じます。
原因となるのは、頭や体に強い衝撃を受ける交通事故や、柔道、スノーボード、サッカー、バスケット、器械体操などによるスポーツ外傷、転倒のほか、出産、脱水などです。原因が不明なこともあります。
その症状は、起き上がると痛みが増強し、横になると痛みが軽減する起立性頭痛を主とし、付随する頸部(けいぶ)痛、めまい、耳鳴り、視機能障害、倦怠(けんたい)感などがみられます。
また、個人により、記憶力の低下、集中力の低下、食欲の低下、むくみ、しびれ、歩行障害、顔面痛、味覚障害、動悸(どうき)、胸痛、脱力感、頻尿、無月経、性欲低下、体温調節障害、不眠など、さまざまな症状が起きることもあります。
なお、この低髄液圧症は、日本の医師によって提唱された新たな疾患概念であり、いまだに定まった知見や治療法が確立されていないため、国において専門家による医学的な解明が進められているところです。
このため、診療や治療を行っている医療機関は少なく、脳神経外科、神経内科、整形外科、麻酔科などの一部が診療のみ、あるいは診療と治療を行っています。
脳神経外科、神経内科、整形外科、麻酔科の医師による診断では、起立性頭痛などの症状、経過、発症の状況などを問診します。
頭部のMRI(磁気共鳴画像撮影)検査を行うと、脳脊髄液の減少を評価できるほか、脳脊髄液の減少のために脳がやや下垂している画像が認められることがありますが、常に認められるわけではありません。
放射性同位元素(RI)脳槽(のうそう)・脳脊髄腔シンチグラフィーを行い、腰部から硬膜内に細い針を刺し、造影剤の放射性同位元素を外髄液腔(くも膜下腔)に注入すると、注入3時間以内に膀胱(ぼうこう)内に放射性同位元素が描出される画像や、放射性同位元素が髄液腔外に漏出している画像がみられれば、確定します。
脳神経外科、神経内科、整形外科、麻酔科の医師による治療では、十分な水分を摂取して、ベッドでの安静を保ちます。点滴による水分補給が必要な時もあります。
約2週間の水分摂取と安静で改善しない時には、ブラッドパッチ治療(硬膜外自家血注入療法)を行います。局所麻酔を行った後、X線(レントゲン)透視下で脳脊髄液の漏れている硬膜外腔(硬膜の袋の表面)の近くに針を刺します。そして、自己(患者本人)の腕から摂取した血液(ブラッド)に造影剤を混ぜ、刺しておいた針から注入します。すると、脳脊髄液の漏れている硬膜外腔の周囲に血液が広がって凝固し、硬膜の亀裂をふさぎます。
治療効果には個人差があり、初回で効果がない時は、2~3回行うことも少なくありません。ブラッドパッチ治療後、硬膜の亀裂は2週間から1カ月程度で修復します。
しかし、脳脊髄液の漏出が止まっても、脳脊髄液の生成が追い付くまで2~3カ月かかるのが一般的です。また、治療後6カ月間は再発のリスクが高いといわれています。
付随する諸症状についても、症状ごとに回復の程度が異なります。そのため、真に回復を実感するまでに1~3年かかるのが普通だともいわれています。
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