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低脂血症



血液中の脂質成分の濃度が正常値よりも低い値を示す疾患

低脂血症とは、血液に含まれる脂質の濃度が通常低いとされている濃度よりも、さらに低い値を示す疾患。

高脂血症と同じく、脂質代謝異常が原因の脂質異常症の一つです。

血液の中には、コレステロールや中性脂肪(トリグリセライド)のほか、リン脂質、遊離脂肪酸といった脂質成分が含まれています。コレステロールは細胞膜やホルモンの材料となり、中性脂肪はエネルギーの貯蔵庫などとなり、体の機能を保持するために大切な働きを持っています。これらの脂質は肝臓で作られたり、食事から体に摂取され、血液中の脂質成分の量は保たれ調整されています。

脂質成分の中の1つが正常値以下ならば、低脂血症となります。一般に、総コレステロール130mg/dl未満、中性脂肪(トリグリセライド)40mg/dl未満、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)50mg/dl未満、HDLコレステロール(善玉コレステロール)35 mg/dl未満を低脂血症の基準としています。

低脂血症のほとんどが、栄養状態の悪化、甲状腺(せん)疾患や肝臓の疾患、悪性疾患による続発性(二次性)の脂質異常症に相当します。中でもよくみられるのが、低HDLコレステロール血症(低コレステロール血症)で、慢性肝炎、肝硬変、甲状腺機能高進症、糖尿病などの疾患によることが多い傾向にあります。

まれに、低βリポ蛋白(たんぱく)血症、無βリポ蛋白(たんぱく)血症、カイロミクロン停滞病(アンダーソン病)といった原因となる疾患のない遺伝性の低脂血症もあります。

よくみられる低HDLコレステロール血症では、動脈硬化を防ぐ働きを持つHDLコレステロールの低い状態が継続します。原因として、疾患のほか、高糖質(炭水化物)食、多価不飽和脂肪酸食、喫煙、肥満、運動不足などの生活習慣も考えられています。

HDLコレステロールは、血管や組織に蓄積した余剰なコレステロールを引き抜いて運び、肝臓に戻すというコレステロール逆転送系の中心的役割を担っています。

低HDLコレステロール血症により、HDLコレステロールの低い状態が継続すると、血液の清浄化機能が低下することにより、血液の中に含まれる脂質成分であるLDLコレステロールが増加し、LDLは血管壁に取り込まれて蓄積し、やがて動脈硬化を起こします。

動脈硬化が徐々に進行すると、心肺機能が低下することにより、心筋梗塞(こうそく)など生命にかかわる疾患へ進展することがあります。また、脳梗塞に進展することもあり、深刻な後遺症が残ることもあります。

低HDLコレステロール血症は多くの場合、初期の段階では体の自覚症状は全くないので、血液検査で初めてわかることがほとんどです。無症状であっても、動脈硬化を予防する正しい治療が必要なので、自己判断せずに医療機関に相談して下さい。内科、ないし内分泌・代謝科が、担当の診療科です。

低脂血症の検査と診断と治療

内科、内分泌・代謝科の医師による診断では、血液検査で血中のコレステロール、中性脂肪(トリグリセライド)、HDLコレステロール(善玉コレステロール)の値を測定します。朝食前の空腹時に採血します。LDLコレステロール(悪玉コレステロール)の値は、これらから計算することもできますが、直接、測定する方法もあります。

低HDLコレステロール血症(低コレステロール血症)、低トリグリセライド血症(低中性脂肪血症)が認められた場合は、栄養障害、吸収不良性疾患、肝硬変、甲状腺機能高進症などの原因となる疾患を診断するための検査も行います。

内科、内分泌・代謝科の医師による治療では、低脂血症を引き起こす原因となる疾患がある場合には、その疾患の治療を優先します。

原因となる疾患のない遺伝性の低脂血症の場合は、症状によっては脂溶性ビタミン剤を補充したり、脂肪食を制限したり、必須脂肪酸を補充したりします。

低HDLコレステロール血症の場合は、食餌(しょくじ)療法と運動療法を行います。

食餌療法では、野菜や果物を豊富に摂取し、蛋白質は青魚や大豆製品などから摂取するといった低カロリー食や低脂肪食、低炭水化物食を中心とした食生活に切り替えます。症状が軽い場合は、HDLコレステロールの数値を正常にすることができます。

運動療法では、積極的に運動を行います。適切な体重の維持につながるばかりか、適度な運動を行うことで基礎代謝の向上効果が期待できます。

また、喫煙、ストレス、過労、睡眠不足など生活習慣全般を改善することでも、HDLコレステロールの減少を抑えて症状の進行を止めることが可能になります。

半年ほど経過しても数値が改善されず、高LDLコレステロール血症、高トリグリセライド血症(高中性脂肪血症)を伴う場合は、薬物療法を併用します。

高LDLコレステロール血症が優位な場合は、スタチン薬、レジン薬、ニコチン酸誘導体を使用します。高トリグリセライド血症(高中性脂肪血症)が優位な場合は、フィブラート系薬剤、ニコチン酸誘導体を使用します。

一方、糖尿病に伴う低HDLコレステロール血症では、肝臓や筋肉、脂肪細胞などでインスリンが正常に働かなくなった状態であるインスリン抵抗性の是正や、必要に応じたインスリン投与で改善することもあります。

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