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大腸ポリープ



大腸の粘膜の一部が隆起したもので、がん化する可能性も

大腸ポリープとは、大腸の粘膜の一部が盛り上がった組織。盲腸、結腸、直腸の3部からなる大腸のうち、大腸ポリープ全体の7割が直腸に近い部位にできます 。

大腸ポリープの大きさは、数ミリから3センチ程度まであります。大腸ポリープの形は、茎のある有茎性できのこ状のものと、無茎性でいぼ状のもの、平らに隆起したものなどがあります。

また、発生の仕組みから、一部の細胞が異常増殖する腫瘍(しゅよう)性ポリープと、細胞が異常増殖しない非腫瘍性ポリープに、大きく分けられます。

腫瘍性ポリープの大部分は、良性であり、腺腫(せんしゅ)と呼ばれます。大きさが増すに従って、部分的に小さながんを伴っていることが多くなり、それは腺腫内がんと呼ばれます。すなわち、腺腫の一部は放っておくと、がんになることがあります。このために、腺腫は前がん病変とも呼ばれます。

非腫瘍性ポリープには、小児に多い若年性ポリープ、高齢者に多い過形成性ポリープ(化生性ポリープ)、腸炎後にみられる炎症性ポリープ、ポイツ・イェガース型ポリープなどが含まれます。いずれも良性で、がんとは無関係です。

腫瘍性ポリープの大部分を占める腺腫は、がんと同様に、生活習慣などの環境要因と遺伝要因が絡み合って生じると考えられています。環境要因では食事が最も重要であり、高脂肪食と低繊維食が危険因子とされています。すなわち、高脂肪食によって腸内の発がん物質が増加する一方で、繊維成分を抑えた低繊維食は糞便(ふんべん)の排出を遅らせる結果、発がん物質が腸内に長時間たまり、腺腫やがんが発生しやすくなると考えられています。

小さな大腸ポリープは無症状のものがほとんどですが、大きくなってきたり、がん化すると、血便が起こります。大腸ポリープの大きさや存在部位によって、便に赤い血液が付着する場合と、肉眼的には異常を認めず、便潜血テスト陽性で初めて血便に気付く場合があります。

特に、非腫瘍性の若年性ポリープは、自然脱落して出血しやすいのが特徴で、大きなポリープでは上方の腸管が下方の腸管の中に入り込む腸重積(じゅうせき)を起こしたり、肛門(こうもん)外に出てしまうこともあります。

血便に気付いたり、企業や地域の集団検診、人間ドックなどで便潜血テスト陽性を指摘されたら、できるだけ早く消化器科、消化器内科、消化器外科、外科、あるいは肛門科を受診し、大腸の検査を受ける必要があります。

大腸ポリープの検査と診断と治療

消化器科などの医師による診断では、下剤で大腸を洗浄し肛門から内視鏡を挿入して直接大腸の内腔(ないくう)を観察する大腸内視鏡検査、または食事制限と下剤により大腸を空っぽにして、肛門から造影剤を入れてX線写真を撮る注腸検査を行います。

どちらの方法でも診断は可能ですが、最近は、ポリープ発見時に直ちに採取して組織検査を行えるため、大腸内視鏡検査のほうが優先される傾向にあります。

ポリープが良性か悪性かを区別する性状診断は、顕微鏡を使った組織検査で確定します。最近では、組織検査を待つまでもなく、70倍の拡大機能を持つ内視鏡(拡大内視鏡検査)や、特定波長の光で観察する内視鏡(NBI内視鏡検査)によって、ポリープの表面の細かい模様を観察するだけで、即座に性状診断が行えるようになってきました。

消化器科などの医師による治療では、腫瘍性ポリープである腺腫は、前がん病変と考えられるため、内視鏡を使って切除します。

有茎性できのこ状のものあれば、内視鏡下で切除する内視鏡的ポリペクトミー(内視鏡的ポリープ切除術)を行います。内視鏡を挿入した後、スネアとよばれる金属でできた輪でポリープの根元を引っ掛けて絞扼(こうやく)し、高周波電流を流して焼き切る方法(スネアリング)が一般的で、開腹など外科的手術に比べて患者の負担が少ないというメリットがあります。

無茎性でいぼ状のものと平らに隆起したものであれば、内視鏡的粘膜切除術(EMR)を行います、

これらの方法によって、ポリープ全体を組織検査することが可能になり、診断と治療の両方を兼ねることができます。

また、腺腫の中でも、大小の結節が群がり集まっている大きな無茎性の隆起である結節集簇様(けっせつしゅうぞくよう)病変に対しては、分割切除による内視鏡的粘膜切除術を行います。このような大きな病変を一括して切除するために、内視鏡的粘膜下層剥離(はくり)術(ESD)や、腹腔鏡を用いた手術が行われることもあります。

非腫瘍性ポリープはいずれも良性で、通常がん化することはないため、積極的に切除する必要はありません。しかし、有茎性で大きなポリープは、出血や腸重積を起こす可能性があるため、内視鏡的ポリペクトミーを行って切除します。

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