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大腿骨頭すべり症



成長期の子供にみられ、大腿骨の股関節に近い大腿骨頭の骨端線が本体部分からずれる疾患

大腿骨頭(だいたいこっとう)すべり症とは、成長期の子供の成長軟骨に障害が起き、大腿骨の股(こ)関節に近い大腿骨頭の骨端線が本体部分の骨幹部からずれる疾患。

太ももの大きな太い骨である大腿骨が骨盤と股関節をつくる部分を大腿骨頭といい、子供では大腿骨頭のすぐ下に、膨張することで骨が大きくなる成長軟骨の部分である骨端線(成長軟骨肥大細胞層)があります。

骨端線の部分は、骨の成長が終了すると均一で強固な骨になりますが、成長が終了する直前には逆に軟骨層の部分が薄くなっていて、外力に弱いため、骨頭に無理な力がかかると、その部分で後下方にずれてしまい、大腿骨頭すべり症を起こします。

10歳から16歳の成長が盛んな思春期の男子に多くみられ、とりわけ肥満型の男子に多くみられます。原因の1つに成長ホルモンや性ホルモン、副腎(ふくじん)皮質ホルモンなどの異常があるといわれ、ホルモンバランスが悪い肥満傾向の男子では、骨端線の成長の終了が遅れ、強度が弱い時期が長引くために、多くみられることになります。

外傷を切っ掛けにして、突然、強い股関節の痛みが起こり、歩けなくなる急性型と、日常動作や比較的軽微な外力によって、徐々に股関節の痛みが強くなって、脚を引きずって歩く慢性型があります。発症時期がはっきりせず、慢性の経過をたどる慢性型のほうが、多くみられます。

大腿骨頭すべり症を起こすと、股関節の近くの骨端線がずれて変形するため、股関節の痛みや動きの異常、歩行の障害が現れます。左右両側の下肢に症状が現れることもあります。

慢性の経過をたどる慢性型では、痛みが著しくないことが多く、医師の診断および治療が難しいなどの特徴を持っています。長い期間、正確な診断がつかない場合もありますが、大腿骨頭すべり症は適切に治療しなければ、成人してから変形性股関節症を引き起こす恐れがあります。

日常での歩行や、階段の上り下りでも股関節が痛ければ、整形外科を受診することが必要です。

大腿骨頭すべり症の検査と診断と治療

整形外科の医師による診断では、X線(レントゲン)検査を行って骨頭が後下方へずれているのを確認し、CT(コンピュータ断層撮影)検査を行ってずれの程度を調べます。

整形外科の医師による治療は、急性型と慢性型で異なります。

急性型では、股関節の痛みが強いので比較的診断がつきやすく、診断がつき次第入院になります。急性に生じたずれは、手術で骨に鋼線を通して牽引(けんいん)し、大腿骨頭の骨端線のずれをゆっくり整復するか、麻酔をかけた上で手でゆっくりと骨端線のずれを整復します。骨端線のずれを戻した後に、再びずれを生じないように骨端線を貫くようにねじ釘(くぎ)で固定して、骨の成長が終了した後に釘抜きを行います。

一方、慢性型では、長い経過をたどって大腿骨頭の骨端線のずれが生じており、痛みは激しくないので、診断が難しいことがあります。また、時間がたっていると、骨端線のずれを戻す整復は困難です。無理な整復を試み、骨端線の軟骨細胞を痛めると、長期的に股関節の変形や痛みを生じることがあるためです。

骨端線のずれが軽い場合には、そのままの位置で骨頭と骨幹部をねじ釘で固定します。大腿骨には傾きを復元しようとする働きがあり、やがてバランスが取れるようになります。骨端線の変形が著しい場合には、手術で骨切り術を行い、変形により股関節の動きの異常が出ないように整復し、金属で固定します。

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