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恥骨結合炎



左右2つの恥骨が骨盤の前方で結合している部分に、損傷が起こって炎症化する障害

恥骨結合炎とは、左右2つの恥骨が骨盤の前方で結合している部分に、損傷が起こって炎症化する障害。スポーツ活動などによる骨盤を左右にずらす動きにより、発生することが多い障害です。

恥骨は骨盤の一部であり、左右2つの恥骨がクッションの役割をしている軟骨円板によって結合している恥骨結合は、体幹の前面、ちょうど陰部付近に当たる体の中心に存在しています。また、恥骨には、上恥骨靱帯(じんたい)、恥骨弓靱帯、内転筋(内もも)、腹直筋、薄筋(はっきん)など、数多くの筋肉、腱(けん)、靱帯が付着しています。

恥骨結合は原則としてほとんど動かない部位なのですが、妊娠や出産により骨盤が緩んだり、ゆがんだりすると、あるいはスポーツ活動などにより骨盤を左右にずらす動きを行うと、恥骨結合に動きが生じます。

スポーツ活動では、ラグビーのタックルなどで直接、恥骨結合に打撲を受けた場合のほか、ランニングやキック動作、急激なストップ動作、方向転換を繰り返すことで、恥骨結合の軟骨円板がねじれたり、恥骨に付着している筋肉に引っ張られることで、恥骨結合周辺などの骨盤、股(こ)関節、鼠径(そけい)部が損傷し、炎症へと発展して、痛みが生じます。

恥骨結合炎の発生率が高いスポーツ活動は、サッカー、陸上競技中・長距離、ラグビー、ホッケー、ホッケーに似たラクロス、ウエートリフティングなどで、20歳前後の男子選手に多く発生しています。

とりわけサッカーでは、急激なダッシュ、ストップ、方向転換などを頻繁に行うために、骨盤や股関節には大きな負担がかかり、足の内側でボールをけるインサイドキックをすると、内転筋の恥骨付着部には大きな負荷が加わります。これらの動作を繰り返し行っているため、恥骨結合部の骨と軟骨円板がこすれ合い、炎症により痛みが出る恥骨結合炎が多く発生しています。

恥骨結合炎の主な症状は、恥骨結合の痛みです。初期は、痛みより、太ももの付け根に張りを覚える人が多いようです。しかし、この段階でも、恥骨結合部を押すと圧痛を生じます。進行すると、内転筋の動きに一致した運動痛、鼠径部や太もも、腹部にまで放散する痛みを生じます。

慢性化すると、鼠径部が常に痛みます。特に下肢を伸展して挙上、外転する動作で誘発されやすく、股関節の可動域制限、筋力低下がみられます。

恥骨結合炎の検査と診断と治療

整形外科、ないし形成外科の医師による診断では、恥骨結合の圧痛の有無を確認し、画像検査を行います。X線(レントゲン)検査やMRI(磁気共鳴画像撮影)検査を行うと、典型例では、内転筋や薄筋の恥骨付着部の骨融解、恥骨結合の変形、左右の恥骨の高さの違いなどが認められます。ただし、骨まで変化が及ぶケースは、比較的少ないといえます。

整形外科、形成外科の医師による治療では、軽症の場合は、消炎鎮痛剤を服用することでスポーツ活動の継続も可能性です。

痛みがひかないほど進行している場合は、スポーツ活動を中止して安静を保ち、恥骨結合への負担を軽減する必要が出てきます。アイシング(冷却)、時にホットパックなどの温熱療法、消炎鎮痛剤の投与、ステロイドホルモン剤の局所注射などを用いますが、長期的には運動療法によるリハビリテーションが回復を促進します。

初期のリハビリテーションは、股関節の外転可動域訓練、筋力強化、内転筋のストレッチングから開始して、水中歩行、エアロバイクによる免荷訓練、その後ジョギング、2カ月でスポーツ活動の練習を行います。

保存療法を行っても痛みが長期間にわたって消失しない場合は、手術治療が考慮されます。手術にはさまざまな方法があり、恥骨結合の固定術、薄筋腱切離、骨片摘出術、内転筋内の血腫(けっしゅ)除去、ヘルニア修復術など、主な病変を特定して原因に対処します。

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