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中手骨骨折



手の甲の部分に5本存在する中手骨に生じる骨折

中手骨(ちゅうしゅこつ)骨折とは、手の甲の部分に5本存在する中手骨に生じる骨折。

手は人間が生活する上で最も使用する頻度の高い体の一部であり、けがをしやすい部位です。親指側の第1中手骨から小指側の第5中手骨まで、手の甲に5本存在する中手骨も、けがをしやすい部位で、骨折も日常でよく発生します。

中手骨の骨折は折れる部位によって、指の関節に近いほうから中手骨頸部(けいぶ)骨折、中手骨骨幹部骨折、第1中手骨基底部骨折などに分類されています。

中手骨頸部骨折は、拳を握った状態での殴打により、自らの中手骨の頸部が折れる外傷

中手骨頸部骨折は、ボクシングや空手などのスポーツで、拳(こぶし)を握った状態で相手や物を殴打することによって、自らの手の甲の骨である中手骨の頸部が折れる外傷。ボクサー骨折とも呼ばれます。

パンチ力の強いボクシング選手が、対戦相手の頭を強く殴打し、拳を握った状態でできる平らな面で、親指(母指)以外の4本指の第2、第3関節の間の部分、いわゆるナックルパートで正確に当たっていない場合に、よく発生します。

実際には、ボクシングでの発生は意外に少なく、一般の人がけんか相手やゲームセンターのパンチングマシーンを殴打して発生するケースがほとんどを占めます。また、乗り物のハンドルを握ったまま正面から交通事故に遭うなどしたケースでも、衝撃による外力が手指の付け根にある中手指節関節(MP関節)から中手骨の長軸に向かうことで発生します。

ボクシング選手では人差し指や中指の中手骨に、一般の人では薬指や小指の中手骨に発生することが多く、外傷の衝撃後に激痛、特定部位の圧痛、手の甲や時に指先までのはれ、変形、手や手指の機能不全、運動障害などが急激に現れます。

とりわけ、中手骨頸部の骨頭が手のひら側に曲がる屈曲変形を来すため、拳がつぶれた状態になります。後遺症として、指の動きが悪くなる、握ると指が重なる、指の力が弱くなるなどが現れることもあります。

ボクサー骨折が発生した際は、応急処置として患部を氷などで冷やしてはれを抑え、患部を固定し、早めに整形外科、ないし手の外科を受診することが勧められます。

患部の固定には添え木とテーピングが必要ですが、応急措置で適当な添え木がない場合は、親指以外なら隣の指を添え木として利用できます。例えば、中指の中手骨を骨折した場合は中指と薬指を2本まとめてテープで巻けば十分です。

中手骨骨幹部骨折は、手の甲の部分に5本存在する中手骨の中央部に生じる骨折

中手骨骨幹部骨折は、手の甲の部分に5本存在する中手骨の中央部に生じる骨折。

この骨幹部骨折は、物が手の甲に当たるなど、強い力が直接骨に加わったり、手をひねる力が加わったりして発生します。

強い力が直接骨に加わると横骨折、手をひねる力が加わると斜骨折を発生し、ともに手の甲が著しくはれ、痛みのために指を動かしにくくなります。

また、横骨折の場合は、指の骨にまたがる骨間筋の収縮作用によって、骨折部の背側がくの字に屈曲変形します。

斜骨折の場合は、骨折による骨のねじれが生じ、指を曲げた時に隣の指と重なる現象、すなわち指交差あるいは回旋変形が現れます。この変形は、指を真っすぐに伸ばした状態ではわかりにくいことが特徴です。骨が短くなる短縮変形もよく発生します。

第1中手骨基底部骨折は、親指の中手骨の根元にある母指CM関節で関節内骨折が起こり、脱臼も生じる外傷

第1中手骨基底部骨折は、親指(母指)の先端部から根元に向かって強い力が加わったことにより、親指の中手骨の根元にある母指CM関節で関節内骨折が起こり、脱臼(だっきゅう)も生じる外傷。ベネット骨折、母指CM関節脱臼骨折とも呼ばれます。

ボクシングやけんかでパンチを出して自らの親指の先端部に衝撃が加わった時や、野球でボールが親指の先端部に当たった時、スキーでストックを握った状態で手を突いた時、自転車やバイクのハンドルを握ったまま転倒して親指の根元を打撲した時などに発生します。

母指CM関節は第1手根中手骨関節とも呼ばれ、親指の手前の甲の骨である第1中手骨と、親指の手根骨で手首にある第1手根骨(大菱形骨〔だいりょうけいこつ〕)の間にある関節で、親指が他の指と向き合って、物をつまんだり、握ったりなどの動作をする上で、大きな働きを担っています。

第1中手骨基底部骨折が発生すると、関節周辺に、はれや痛みが起こり、親指を動かしにくくなります。さらに、第1中手骨の根元に連結する筋肉である長母指外転筋が、親指を手首の方向に引っ張るので、第1中手骨の根元が外側に脱臼してきて、親指が変形してきます。

適切に治療せずにほうっておくと、脱臼を繰り返したり、関節の変形を生じたり、不安定性が残って痛みの原因となることがあります。けがで親指の根元に、はれや痛みが起こったら、早めに整形外科、ないし手の外科を受診することが勧められます。

中手骨骨折の検査と診断と治療

同じ中手骨骨折でも、中手骨頸部骨折、中手骨骨幹部骨折、第1中手骨基底部骨折では、それぞれ骨折する部位が異なり、治療方法も異なります。

中手骨頸部骨折の検査と診断と治療

整形外科、ないし手の外科の医師による診断では、手指の付け根の中手指節関節(MP関節)にあって、手を握ると本来は盛り上がる拳がへこんでいて、痛みやはれを認めることで、中手骨頸部骨折と判断します。

X線(レントゲン)検査を行うと、中手骨頸部に骨折線を確認でき、特に側面から見た画像で骨折の屈曲変形が明らかに認められます。

整形外科、ないし手の外科の医師による治療では、屈曲変形を手で整復した上で、スプリント材で手全体にスプリント固定を施し、三角巾などを使って吊(つ)り包帯での挙上を行います。

屈曲変形の整復状態を保存療法で保持するのが困難な場合は、ピンなどを用いて中手骨頸部を固定する手術的処置を行います。腱の損傷を合併した場合も、手術的処置を行います。

予防法としては、ボクシングでは正確にナックルパートで当たるように打つこと、厚めのグローブを使用することなどです。

中手骨骨幹部骨折の検査と診断と治療

整形外科、ないし手の外科の医師による診断では、症状から中手骨骨幹部骨折と判断し、X線(レントゲン)検査を行って確認します。

整形外科、ないし手の外科の医師による治療では、まずは、手で徒手整復して骨を元の位置に戻すことを試みます。

次に、ギプスや添え木(シーネ)による固定を行います、骨折を固定しつつ指を積極的に動かすギプス療法や、ガルベストン中手骨装具などによる装具療法を行うこともあります。

固定には4〜6週間程度を要しますが、期間は年齢、骨折の性質、部位、固定法によって異なり、変形、短縮した場合は再骨折が起きやすいため、より期間を要します。

ギプスなどでは治すことのできない骨折の場合は、手術でネジ(スクリュー)、プレート、鋼線などいろいろな金属固定材料を用いて骨折部を固定します。その後、ギプス固定などを施し、骨折が治癒した後に固定具のネジ、プレート、鋼線を除去します。

骨折による骨のねじれが生じている場合は、手術で骨切りを行って矯正することもあります。

第1中手骨基底部骨折の検査と診断と治療

整形外科、ないし手の外科の医師による診断では、症状から第1中手骨基底部骨折と判断し、X線(レントゲン)検査を行って確認します。

整形外科、ないし手の外科の医師による治療では、手で徒手整復して骨を元の位置に戻し、整復した状態が維持できる場合は、親指(母指)と人差し指(示指)を離した格好でギプス固定を施します。ギプス固定期間は、約4~5週間となります。

痛みに対しては、消炎鎮痛剤の内服、ステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン)の関節内注射を行います。

整復した状態が維持できず、骨折部がずれたり、関節内の骨片が安定しない場合は、鋼線と呼ばれる金属で骨を固定する手術か、金属のネジ(スクリュー)で骨を固定する手術を行います。その後、ギプス固定を施し、骨折が治癒した後に固定具の鋼線、ネジを除去します。

痛みが強く、脱臼、亜脱臼を伴う高度な関節の変形が見られる場合には、第1手根骨(大菱形骨)の一部を取り除いて関節を作り直す関節形成術、関節を動かないように固定する関節固定術、人工関節を使う人工関節置換術などの手術を行います。

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