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痛風腎



尿酸の結晶が腎臓に沈着することで発症する腎臓病

痛風腎(つうふうじん)とは、尿酸の結晶が腎臓に沈着することで発症する腎臓病。

血液中の尿酸の量が高い値を示す高尿酸血症や、高尿酸血症が原因となって関節が痛む痛風に合併して、痛風腎は起きます。

尿酸は、体内でプリン体という蛋白(たんぱく)質が分解されてできる老廃物で、血液中に混じる尿酸は、腎臓から尿の中に溶けた状態で排出されています。その尿酸の生成が過剰であったり、腎臓での尿酸の排出がうまくいかない場合には、血液中の尿酸値が高くなり、高尿酸血症となります。

この高尿酸血症の状態がある程度長期化すると、尿酸は尿酸塩という結晶の形になって、関節や腎臓などに沈着するようになります。このように高尿酸血症を基礎として、尿酸塩が関節に沈着することによって急性の関節炎を起こす疾患が痛風です。痛風にかかると、足の親指の付け根の関節などがはれて、激しく痛みます。

一方、高尿酸血症を基礎として、尿酸塩が腎臓の髄質や尿細管、間質などに沈着することによって腎臓の機能を低下させる疾患が痛風腎です。特に腎臓の髄質では尿が酸性に傾いており、尿酸はより結晶化しやすくなり、それらが腎臓組織に沈着して、こぶ状の物ができ、炎症を起こします。

痛風腎の初期には、静かに進行し自覚症状が現れにくいので、気付かれません。かなり進行すると、尿酸結石ができやすくなり、それが尿路に詰まって尿管を刺激したり傷付けたりすると、腹部や背中が激しく痛んだり、場合によっては血尿も出ることがあります。

また、痛風腎を発症すると、尿細管を取り囲む間質の線維化が進む慢性間質性腎炎を示して、腎臓の機能が低下し、慢性腎不全の原因となります。

痛風腎の検査と診断と治療

内科、腎臓内科などの医師による診断では、通常の腎臓疾患の検査と同じように、尿検査で血尿や蛋白尿を調べますが、痛風腎の初期ではどちらも異常が認められないことがあります。しかし、尿酸値が高い場合には痛風腎が疑われることになります。

痛風腎の確定には、尿濃縮力試験(髄質機能検査)で腎臓の髄質の状態を確認します。尿細管には尿を濃縮する働きがあり、痛風腎ではこの尿細管に異常が出ますので、判定できます。尿路結石の疑いがある場合には、超音波検査で確認します。

内科、腎臓内科などの医師による治療では、薬物療法としては尿酸の排出を促す尿酸排泄(はいせつ)促進薬、体内で過剰な尿酸の生成を抑制する尿酸生成抑制薬、酸性尿を改善する尿アルカリ化剤などを用います。

食事療法としては、尿酸値を下げることを目的に、食生活全体を見直し、改善します。肉類は食べ過ぎることにより、尿を酸性に傾け尿酸が溶けにくくなりますので、野菜を多く摂取しアルカリ性に持ってゆきます。

また、魚卵、内臓類、大豆などプリン体を多く含む食品や、アルコール類、特に体内でプリン体の合成を促すビールは控えなければなりません。肥満、高血圧、高脂血症、ストレスなどにも注意が必要になります。

腎臓の機能が低下していないようであれば、尿酸の排出を促すために、水分を多く摂取することも勧められます。適切な運動も必要ですが、痛風発作を起こす可能性もありますので、医師の指示通りに行動することが大切となります。

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