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多発性脳梗塞



脳の細い血管に小さな梗塞が多発して、血液が脳の神経細胞に届かない状態

多発性脳梗塞(こうそく)とは、脳の細い血管に複数の血栓による梗塞ができて、血液が脳の神経細胞に届かない状態。

誰でも、年齢を重ねると微小脳梗塞ができるので、高齢者に比較的多くみられます。多発性脳梗塞は本来、直径15ミリ以下の小さな梗塞を意味します。

多発性というと非常に重篤な症状に聞こえますが、脳の細い血管が何個所か詰まり、それをもって多発性脳梗塞という場合もありますので、一概に重症とはいえません。症状は軽度、または限定されたものであることが多く、全く無症状であることも多くみられます。意識障害を認めることは、ほとんどありません。

この多発性脳梗塞のほとんどは、小さな血栓が発生するラクナ梗塞の多発であり、ラクナ梗塞は脳の細い動脈である穿通(せんつう)動脈に、直径15ミリ以下の小さな梗塞が起きた状態をいいます。直径15ミリ以上の大きな梗塞は、ラクナ梗塞とは呼びません。

このラクナ梗塞は、他の種類の脳梗塞であるアテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓と違い、大きな発作が起こることはありません。その症状はラクナ症候群といい、運動まひ、しびれなどの感覚障害が主に起こります。そして、症状は段階的に現れて、少しずつ進行していきます。ラクナ梗塞が発症することが多いのは、安静時で、特に睡眠中です。また、朝起きた時にも起こることが多くみられます。

また、ラクナ梗塞では梗塞する部分が小さいので、症状が出ないことがあります。これを無症候性脳梗塞、あるいは隠れ脳梗塞といい、運動障害や感覚障害などの自覚症状を感じないまま、小さな脳梗塞が起こります。高齢者に多くみられ、高血圧、高脂血症、糖尿病などがあると発症する確率が高くなります。

ほとんどが直径5ミリ以下の小さな梗塞ですが、そのまま放置しておくと、梗塞の数が増えたり、梗塞が脳のいろいろなところに発生して、多発性脳梗塞になります。多発性脳梗塞になると、言語障害、歩行障害、食べ物を飲み込みにくくなる嚥下(えんげ)障害などの症状や、認知症の症状が現れることもあります。

多発性脳梗塞の一番の危険要因は、高血圧です。高血圧は、血管の内側の壁に強い圧力を加えます。そのために、血管の内側の壁が傷付いて、どんどん硬くもろくなり、動脈硬化が発症します。動脈硬化が起こると、血管の血液が通る部分が狭くなり、血流が途絶えて脳梗塞になる危険が増すのです。

多発性脳梗塞の検査と診断と治療

脳神経外科、脳外科、神経内科の医師による診断では、MRI(磁気共鳴画像)で脳血管の様子を調べるほか、超音波検査で首を通る頸(けい)動脈が動脈硬化を起こして狭くなっていないかどうかを調べます。頸動脈で血栓ができて脳に流れると、脳血管が詰まる恐れがあるためです。

血管が狭くなっていれば、血液を固まりにくくする抗血小板剤を服用します。また、切開して血管内にたまったコレステロールなどを取り除く手術や、金属製の筒であるステントを足の付け根の動脈から挿入し、血管を広げる治療をする場合もあります。

脳血管がこれ以上詰まらないようにするには、血圧の管理が大切です。塩分を控え、過カロリー、脂質過多の食生活を見直して、魚や植物性たんぱく質中心の日本食を取り入れるなど食生活に気を配り、50歳代であれば、上は130未満、下は80未満を目標にします。毎日30分程度歩くこともお勧め。水分はしっかり補給し、節酒や禁煙も必要です。

適正な血圧は、年齢や心臓病や糖尿病の有無、コレステロール値などによって変わってきます。掛かり付け医を持ち、指導を受けるといいでしょう。

多発性脳梗塞で起こりやすい認知症には、根本的な治療はありません。デイケア、デイサービスへの通所や、家族の協力のもとでの散歩や、食事、テレビ、清掃、おやつ、会話など、生活習慣を規則正しく続けることで、脳を活性化させ、症状が改善したり、進行が遅れたりということがあります。

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