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思春期早発症

二次性徴の成熟が早い年齢で起こる疾患

思春期早発症とは、男性ホルモン、女性ホルモンの分泌による二次性徴の成熟が、2〜3年程度早い年齢で起こる疾患。

女子では、乳房が少しでも膨らんできた時が、思春期の開始です。この乳房の発育が7歳6カ月以前に起こった時、思春期早発症の可能性が高いといえます。8歳より前に陰毛が生えてくる、10歳6カ月より前に月経が発来するなどの症状も認めます。

乳房発育だけがみられる時は、女性ホルモンの分泌の一過性の高進によると考えられる乳房早期発育症との区別が必要です。

男子では、精巣( 睾丸〔こうがん〕)が4ミリリットル以上の大きさになった時が、思春期の開始です。この精巣の発育が9歳未満で起こった時、思春期早発症の可能性が非常に高いといえます。10歳より前に陰毛が生えてくる、11歳より前にひげが生えたり、声変わりするなどの症状も認めます。

思春期早発症は、中枢性(真性)思春期早発症と、末梢(まっしょう)性(仮性)思春期早発症に分類されます。さらに、中枢性思春期早発症は、胚芽腫(はいがしゅ)・過誤腫・星状細胞腫などの脳腫瘍や脳炎後遺症、水頭症などによる器質性(中枢性)思春期早発症と、明らかな原因が認められない特発性(中枢性)思春期早発症の2つに大きく分けられます。

中枢性思春期早発症は、通常の思春期の時のように下垂体(脳下垂体)から性腺(せいせん)刺激ホルモンが分泌され、それにより性腺から性ホルモンが分泌されて起こります。女子に起こるものの多くは、原因不明の特発性思春期早発症ですが、男子に起こるものは脳腫瘍などによる器質性思春期早発症が多くみられます。

末梢性思春期早発症の場合は、性腺または副腎(ふくじん)で性ホルモンがつくられて、思春期早発症が起こります。副腎腫瘍、卵巣腫瘍、精巣腫瘍、治療不十分な先天性副腎皮質過形成症、特殊な遺伝子異常によるマッキューン・オルブライト症候群、家族性男性性早熟症などがその原因です。

性ホルモンが早期に分泌されることにより、成長のスパート(急激な進行)が起こります。女子に男子の約3〜5倍多く、起こります。

原因が脳腫瘍による場合は、腫瘍の圧迫症状による頭痛、視野狭窄(きょうさく)などが起こることがあります。

 未治療で放置すると、実際の年齢に対して、実際のその人の体の年齢を現す骨年齢が促進して、骨が成長する骨端(こったん)が早期に融合するため、一時的に身長が伸びた後、最終的に低身長で成長が終わります。

低年齢で乳房が大きくなってきた場合や、急に背が伸びてきた場合には、小児内分泌科などを受診することが勧められます。

思春期早発症の検査と診断と治療

小児内分泌科、小児科、内分泌科、内分泌内科、内分泌代謝内科の医師による診断では、問診でいつごろから、どのような症状が始まったかを聞き、視診と触診で全身および外性器の性成熟の状態をチェックします。

また、ホルモン検査で血液中の性腺刺激ホルモンや性ホルモンの分泌状態、頭部MRI(磁気共鳴画像撮影)検査で脳腫瘍などの病変の有無、腹部超音波(エコー)検査で副腎や卵巣の腫瘍の有無を調べることもあります。手と手首のX線(レントゲン)検査を行い、骨年齢を判定して骨の成熟の有無を調べることもあります。

中枢性思春期早発症の場合は、ホルモン検査で性腺刺激ホルモンと性ホルモンの基礎値の上昇が認められるとともに、LHーRH( 黄体形成ホルモン放出ホルモン)テストで性腺刺激ホルモンの思春期レベルの反応が認められます。また、骨年齢が促進し、成長率も高くなります。

 末梢性思春期早発症の場合は、性ホルモンの上昇は認められますが、性腺刺激ホルモンの分泌は抑制されています。

小児内分泌科、小児科、内分泌科、内分泌内科、内分泌代謝内科の医師による治療では、中枢性思春期早発症の場合、LHーRHアナログという薬剤で選択的に性腺刺激ホルモンの分泌を抑えます。月に1回の皮下注射を行うことで、多くの場合は著しい効果を示し、二次性徴の進行停止、退縮がみられ、骨年齢の進行が緩やかになります。

器質性中枢性思春期早発症の場合、脳腫瘍が原因であれば、外科手術により腫瘍を摘出します。手術により切除が難しい場合は、放射線治療や化学療法(抗がん剤)を行います。しかし、過誤腫が原因であれば、腫瘍そのものによる圧迫症状などがなければ、薬物療法を行います。また、脳炎後遺症、水頭症が原因であれば、薬物療法を行います。

末梢性思春期早発症の場合、先天性副腎皮質過形成症が原因であれば、副腎皮質ホルモン治療を行います。副腎腫瘍、卵巣腫瘍などが原因であれば、外科手術により腫瘍を摘出します。

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