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脊髄(せきずい)係留症候群とは、脊髄が脊椎の足側につなぎ止められ、神経が引き伸ばされることで、下肢運動障害や排尿障害が起こる状態。
脊椎(せきつい)の中を通る中枢神経である脊髄は、脳の延髄から連続していて、首、背中、腰の部位にあります。腰の部位で徐々に細くなり、大人では多くの人が第1腰椎と第2腰椎の間くらいで終わっています。
この脊髄が細くなった先端部分を脊髄円錐(えんすい)と呼びます。さらに、脊髄円錐の先端から終糸(しゅうし)と呼ばれるひも状の組織が伸びており、これが骨盤につながる仙骨まで伸びて、その末端で脊髄を緩やかに固定しています。
脊髄円錐の位置は新生児では第3腰椎あたりにありますが、神経である脊髄に比べると骨である脊椎のほうが成長とともに大きくなるため、脊髄と脊椎の長さの差が大きくなります。脊髄は脳と連続しているために、成長とともに脊椎の頭側に上がっていき、身長の伸びが止まるころには第1腰椎と第2腰椎のあたりに落ち着くのです。
この脊髄円錐の先端から足側に伸びる終糸が、非常に太くなっていたり、終糸に脂肪腫(しゅ)ができたりすることがあります。あるいは、脊髄円錐のあたりに生まれ付き脂肪腫ができていることもあります。
このような先天的な異常があると、成長に伴って頭側に上がっていくはずの脊髄が、脊椎の足側の仙骨につなぎ止められることになります。成長とともに脊髄が足側に引っ張られて引き伸ばされる度合が増し、これに伴って下肢運動障害や、排尿障害などの神経症状を示すようになります。
小児期にあまり目立った症状がなくても、身長が一気に伸びる成長期のころに脊髄が引き伸ばされる度合が強くなって、神経症状が目立ってくることもあります。
さらには、大人になってからの脊椎の加齢変化によって神経症状が生じることもあります。あるいは、腰部や臀部(でんぶ)に打撃を受けた外傷により、素因として持っていて発症を免れていた神経症状が生じることもあります。
生まれ付き脊椎が形成不全を起こしていて、本来なら脊髄が通る脊柱管の中にあるべき脊髄が外にはみ出して、癒着や損傷を起こしている二分脊椎でも、脊髄係留症候群の神経症状を現すこともあります。
脊髄係留症候群の症状としては、下肢運動障害、痛みなどの感覚障害、排尿・排便障害があります。
両下肢の運動障害として、歩きにくくなる、転びやすくなる、足がまひして動かない、足の変形、左右の足が非対称、足が細いなどがみられます。
感覚障害として、靴ずれやその部位の潰瘍(かいよう)、腰を曲げた際などの腰痛、下肢痛、下肢から足のしびれなどがあります。
排尿・排便障害として、膀胱(ぼうこう)や直腸などを動かす筋肉がまひして、尿を漏らしたり、便秘になったりすることもあります。性機能障害が起こることもあります。
整形外科、形成外科、小児外科の医師による診断では、脊椎部のCT(コンピュータ断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査などの画像検査を行い、病変を詳しく観察します。
また、自・他動運動検査、肢位、変形、感覚などの検査を行い、どの脊髄レベルまでが正常であるかを調べます。
整形外科、形成外科、小児外科の医師による治療では、症状が全くなくたまたま脊髄係留症候群が発見されたような場合、一般的には経過観察を行い、予防的手術は行いません。
成長期に差し掛かった時期に下肢運動障害や排尿障害が出てきた場合、脊髄をつなぎ止めている部位を手術で切断し、脊髄の引き伸ばしを緩めます。終糸に脂肪腫が付着しているケースでは、手術の予後がよいといわれています。
逆に、癒着が強かったり脊髄を巻き込んでいるケースは、難しい手術となり、手術の後かえって神経まひがひどくなることもあります。また、症状が出てから時間が経つと、手術しても改善は難しく、特に排尿障害が改善しにくいといわれています。
一方、神経症状があまりなくて、高齢になってから脊柱管狭窄(きょうさく)症などほかの疾患で初めて撮影した腰椎部のMRI検査で、たまたま脊髄係留症候群が発見されたような場合、手術は必要ありません。
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