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真菌性髄膜炎



真菌の感染により、脳を取り巻いている髄膜に炎症が起こる疾患

真菌性髄膜炎とは、カビの仲間である真菌の感染によって、脳を取り巻いている髄膜に炎症が起こる疾患。

真菌は、カビ、酵母(イースト)、キノコなどからなる微生物の総称であり、菌類に含まれる一部門で、細菌と変形菌を除くものに相当します。葉緑素を持たない真核生物で、単細胞あるいは連なって糸状体をなし、胞子で増えます。

真菌性髄膜炎を発症する原因となる真菌としては、クリプトコックス、カンジダ、ムコール、アスペルギルス、コクシジオイデスなど挙げられますが、クリプトコックスによる真菌性髄膜炎の頻度が最も高いとされています。

クリプトコックスは、自然界に広く存在する酵母状真菌で、日本では特に神社仏閣などのハトの糞(ふん)の中から高率に見付けられています。ハトなど鳥の糞に含まれる窒素成分があると、クリプトコックスは大変よく増殖し、鳥の活動範囲の土が乾燥すると細かい微粒子となって、少しの風で舞い上がり、人間が気道から吸い込むこととなります。

鳥自身はクリプトコックスを運ぶことはあっても、体温が高いためにクリプトコックスの増殖が難しいために、クリプトコックス髄膜炎にはなりません。猫などの動物も、人間と同じく発症します。

初めての感染は肺で感染を引き起こすことが多いものの、肺での初感染は何の症状もないことが多くみられます。健康診断や、ほかの疾患で病院にかかった時に、偶然発見されたりします。

多くは体力や免疫力が落ちた時か、がんや白血病、エイズ、悪性リンパ腫(しゅ)、重症糖尿病など体力を消耗する基礎疾患の二次感染として、初めて症状が出ます。まれに、健康な人にも症状が出ることがあり、必ずしも体力、免疫力の低下と関係しているとは限りません。

発症した場合には、発熱、せき、喀(かく)たん、頭痛、徐々に進行する倦怠(けんたい)感や食欲不振が現れます。次いで、急性または亜急性に真菌性髄膜炎を発症すると、吐き気、嘔吐(おうと)を起こし、首が強く突っ張る項部強直(こうぶきょうちょく)で、首が曲がらなくなります。

さらに、炎症が脳そのものまでに及ぶと脳炎を合併し、意識障害や手足のけいれんを起こすこともあります。重症になると、脳、脊椎(せきつい)髄膜の病巣により死亡に至ることもあります。肺で発症する場合、肺の中に単一または複数の腫瘤(しゅりゅう)ができたり、肺炎を起こすことがあります。

一般人口での発症者は、10万人につき年間0・2〜0・9人と見なされています。なお、自然条件では、クリプトコックスによる真菌性髄膜炎になった人や動物から、ほかの人や動物への感染は起こりにくいと考えられています。

クリプトコックスなどによる真菌性髄膜炎は、早期に発見して早期に治療すれば予後の改善が期待できますが、時期を失したり、脳炎を合併したりすると、治ったとしても記憶障害などが残ってしまいます。

大人では激しい頭痛が続き、熱がなかなか下がらない場合、乳幼児では甲高い泣き声を上げたり、大泉門(だいせんもん)という前頭部にある頭蓋(ずがい)骨の透き間が膨らんで硬く張った場合は、すぐに神経内科や内科、小児科、呼吸器科の専門医を受診することが大切です。

真菌性髄膜炎の検査と診断と治療

神経内科や内科、小児科、呼吸器科の医師による診断では、髄膜炎や脳炎の程度を見るために胸部X線(レントゲン)検査やCT(コンピュータ断層撮影)検査を行い、たん、髄液(脳脊髄液)、皮膚滲出(しんしゅつ)物から原因となる真菌が検出されれば、診断が確定します。クリプトコックスの場合は、円形の酵母様細胞が検出されます。

神経内科や内科、小児科、呼吸器科の医師による治療では、一般に抗真菌剤が用いられ、フルコナゾール、イトラコナゾール、フルシトシンを始めとするアゾール系抗真菌剤が第一選択となります。 このほか、アムホテリシンBなどの抗真菌剤も使われ、静脈内投与するか、髄液の中に直接注射します。

真菌性髄膜炎を引き起こしたもとになる基礎疾患があれば、その治療も並行して行います。予後は、基礎疾患に左右されます。

予防のためには、体力や免疫力が落ちた人、他の疾患を持っている人は、ハトが集まるような場所に近寄らない注意が必要です。周囲の人たちには、そういう人が治療を受ける医療機関の近くで、ハトにエサをあげるのをやめる配慮が必要です。

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