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新生児ヘルペス脳炎



新生児が単純ヘルペスウイルスに感染して脳炎症状を現す疾患

新生児ヘルペス脳炎とは、単純ヘルペスウイルス1型(口唇ヘルペス)あるいは単純ヘルペスウイルス2型(性器ヘルペス)の初感染時に発症し、脳炎症状を現す疾患。

新生児ヘルペス脳炎の感染ルートは、胎内感染、産道感染、出生後の感染の3つが考えられています。

胎内感染は胎児感染とも呼ばれ、母親が単純ヘルペスウイルスに感染した場合に、子宮の中にいる胎児も垂直感染するもの。発生頻度は、あまり多くはありません。

産道感染は、母親が単純ヘルペスウイルスに感染した場合に、新生児が生まれる時に通る産道で垂直感染するもの。この感染ルートによる発生頻度が、一番多くなっています。母親が単純ヘルペスウイルスに初感染だった場合には、新生児への感染率もさらに高くなります。

出生後の感染は、新生児が生まれた後に水平感染するもの。単純ヘルペスウイルスに感染して口唇ヘルペスなどを持つ母親や父親、医療従事者、お見舞いにきてくれた人から、キスなどを通じて感染します。

新生児ヘルペス脳炎を発症した新生児の症状は、単純ヘルペスウイルスが増殖する場所により、全身型、中枢神経型の2つに分類されます。

全身型の新生児ヘルペス脳炎は、単純ヘルペスウイルスが血液を介して全身の臓器に広がるもの。出生後2~7日で発症することが多く、授乳力の低下、微熱、活動性の低下などの症状がみられます。無呼吸や、皮膚が黄色になる黄疸(おうだん)がみられることもあります。必ずしもヘルペスの特徴である水疱(すいほう)が皮膚や口、目などにみられるわけではありません。

予後が悪く、治療で抗ウイルス剤が使用可能になった現在でも、約10パーセントの新生児が死亡しています。生存した場合も、高い確率で重度の後遺症を残します。

中枢神経型の新生児ヘルペス脳炎は、単純ヘルペスウイルスが血液を介して脳関門を通過し、脳内に到達するもの。全身型に比べて遅く、出生後11日ほどで発症し、授乳力の低下、活動性の低下や微熱、けいれんなどの症状が現れます。全身型と同様に、必ずしも水疱がみられるわけではありません。

この中枢神経型でも、運動まひや知的障害、てんかんなどの後遺症を残すことがあります。

新生児ヘルペス脳炎においては、単純ヘルペスウイルス1型の感染が単純ヘルペスウイルス2型の感染より2倍多いとされています。

新生児が母乳やミルクを飲む量が少なくなったり、元気がなくなったり、微熱が出たりという症状が出た際は、小児科、産婦人科を受診することが必要です。

新生児ヘルペス脳炎の検査と診断と治療

小児科、産婦人科の医師による診断では、臨床症状から新生児ヘルペス脳炎が疑われる時には、速やかに治療を開始することが一般的です。

血液検査、髄液検査、頭部CT(コンピュータ断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査を行うこともあります。血液検査では、肝機能異常、LDH(乳酸脱水素酵素)増加を高頻度に認めます。髄液検査では、ウイルス分離法ないしPCR法という遺伝子検査で採取した髄液を調べると、単純ヘルペスウイルスのDNAが検出されます。頭部CT検査などの画像診断では、局在性脳炎のみならず、しばしば全脳炎の様相を確認します。

小児科、産婦人科の医師による治療では、アシクロビルやバラシクロビルなどの抗ウイルス剤を長期間にわたって点滴注射し、水疱には軟こうを塗布します。栄養補給、呼吸補助、けいれんのコントロールなどの対症療法も、併せて行います。

また、妊娠中の母親が単純ヘルペスウイルスに感染したことが事前に判明した場合には、妊娠の時期によって適切な治療を行います。妊娠初期では、胎児に影響が出る可能性があるので抗ウイルス剤は使いませんが、妊娠中期くらいになれば、抗ウイルス剤を服用して治療します。

出産予定の3週間以内に単純ヘルペスウイルスに感染している場合には、分娩時の新生児への母子感染のリスクを回避するために、帝王切開による出産を選択する場合もあります。

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