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新生児仮死



新生児が生まれた時に産声を上げず、自発呼吸をしない状態

新生児仮死とは、生まれた時に新生児が産声を上げず、正常な自発呼吸をしない状態。出生時仮死とも呼ばれます。

胎児は母体の胎盤から臍帯(さいたい)を通じて酸素や栄養をもらい、二酸化炭素を処理してもらっています。生まれた時に臍帯を通じた母体からの酸素が十分に得られなくなると、血中の酸素濃度が下がって二酸化炭素濃度が上がり、呼吸中枢が刺激されて呼吸運動が始まります。

順調なお産であれば生まれた直後に呼吸運動が始まり、空気が肺に入って自発呼吸が始まります。その際、新生児は肺を膨らませるために大きく呼吸をするので、声帯を通る時に産声という泣き声を上げるのです。一般に、新生児は出生後30秒以内に産声を上げます。

新生児仮死では、生まれた時に産声を上げず、呼吸がうまく行えない上に、手足の動きも弱く、皮膚の色合いも悪くなっています。

産科の医師や助産師は、生後1分の時点で、新生児の全身状態を心拍数、呼吸、筋肉の緊張の程度、刺激に対する反射、皮膚の色合いの5項目について、それぞれ0〜2点ずつを与えて、その合計点の0〜10点で評価しています。

これがアプガースコアで、6点(または7点)以下だと新生児仮死といい、全出産の約10パーセントに起こります。また、アプガースコア3点以下を重症仮死、4〜6点(または7点)を中等症仮死といいます。

新生児仮死がある場合は、生後3分後、5分後に再評価したり、アプガースコアが正常になるまでの時間を計るなど、産科の医師や助産師は慎重に経過観察をします。

新生児仮死では、全身の低酸素と循環障害の結果、呼吸障害、心筋障害、低酸素性虚血性脳症、腎不全、チアノーゼ、血液のアシドーシス(酸性化)などさまざまな異常が同時にみられます。

ごく軽症の仮死では後遺症はありませんが、重症仮死では呼吸がほとんどなくて心拍が非常に低下している状態で、長い間呼吸しなかった場合は、酸素不足のため死亡したり、命を取り留めてもけいれんなどの神経症状が出たり、脳に障害を残して脳性まひになることがあります。

胎盤の働きが悪いために、胎児に酸素を十分に送ることができない場合や、胎盤がはがれたり、臍帯が圧迫されたりして、母親と胎児の間の血液循環が妨げられた場合、脳が強く圧迫された場合、逆子の場合などに、新生児仮死が起こります。

また、お産の時、母親に全身麻酔をかけると、仮死状態で生まれることがあります。

新生児仮死の治療

軽い新生児仮死の時は、産科の医師や助産師が足の裏をたたいたりして刺激すると、顔をしかめ、呼吸が始まるので、心配はありません。

重い仮死では、皮膚は青白く、刺激しても反応がなく、一刻を争って気管にたまっている羊水や粘液を取り除いたり、酸素吸入などをする蘇生(そせい)術を産科の医師や助産師が行います。

蘇生術により新生児の状態が安定すれば、新生児特定集中治療室(NICU)に収容し、保温、酸素投与、人工換気、点滴などの本格的な蘇生術を産科や新生児科、小児科の医師が施したり、その後の管理を行います。

重症仮死では、全身の臓器障害を合併するため、それに対して必要な治療も行います。全出産の約1パーセントで、本格的な蘇生術を要します。

仮死状態で生まれた新生児は、退院後も定期検診が必要です。

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