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スキルス胃がん



胃の壁全体が硬くなる胃がんで、胃がんの中で発見が非常に難しいタイプ

スキルス胃がんとは、胃の壁全体が硬くなる胃がん。スキルスとは、硬いという意味です。

スキルス胃がんは、胃の粘膜面から隆起することなく、がん細胞が粘膜の下をはうように広がっていきます。そのため、粘膜が荒れるために出てくる胃炎や胃潰瘍(かいよう)のような症状にも乏しく、初期では自覚症状がほとんどないのが特徴です。発見された時には、がん細胞が胃の粘膜の下で胃全体に広がっていることがしばしばあり、治療成績がよくない原因になっています。

通常、がんは、粘膜面に発生します。胃がんなら、胃の粘膜に最初の兆候が現れ、発生したがん細胞は、浸潤といって周囲の細胞に染み込むように広がるとともに、増殖して塊を作ります。この過程で、胃の粘膜から出血したり、胃潰瘍などの症状が出ることがあります。

通常は、がん細胞の塊は粘膜面から隆起する形で出てきますので、内視鏡検査(胃カメラ)や胃X線造影(胃バリウム)検査での早期発見が可能ですし、内視鏡下胃粘膜切除術など胃カメラによる治療も可能で、治療成績の向上につながっています。

現在、スキルス胃がんは、胃がん全体の10パーセント程度を占めます。特徴としては、男女比2対3と女性に多いこと、ほかの胃がんに比べて発症年齢が3~4歳低く、特に女性にその傾向が強いことが挙げられます。

卵巣から分泌される女性ホルモンの一つであるエストロゲン(卵胞ホルモン)の関与や、スキルス胃がんに特有な遺伝子変化も徐々に解明されてはいますが、詳しい発がんの過程はわかっていません。ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)の関与は、胃がん全体の90パーセント程度を占める分化型腺(せん)がんよりは低いものの、関連はあると考えられています。

スキルス胃がんの初期症状は、何となく食欲がない、胃がもたれるといった一般的な症状が多く、特有の症状はありません。病状が進行してくると、胃全体が硬くなり、食物をたくさん受け入れられなくなるため、食欲不振や体重減少が起こってきます。

また、胃の内側から外側に向かってがん細胞が広がった結果、胃を覆っている膜を越えると、腹膜播種(はしゅ)といって腹部全体にがん細胞が散らばるケースがあります。この腹膜播種の場合には、下痢止めや便秘薬ではあまり改善されない下痢や便秘の症状がみられるようになります。

食欲不振、体重減少、便通異常といった自覚症状や、喫煙、過度の飲酒といった生活習慣、がん家系など少しでも気になることがある場合には、まずは、内科を受診することが勧められます。

スキルス胃がんの検査と診断と治療

内科、外科、消化器科の医師による診断では、ほかの胃がんと同様に、内視鏡検査(胃カメラ)と胃X線造影(胃バリウム)検査を行います。

進行したスキルス胃がんの場合は、診断は容易です。胃の一部に病変が限られている比較的初期のスキルス胃がんの場合は、がん細胞が胃の粘膜の下で増殖するために粘膜面の変化が乏しく、胃に細いファイバースコープを挿入し、患部を直接観察する内視鏡検査(胃カメラ)では、なかなか発見されにくいケースもあります。

比較的多いのは、バリウム(造影剤)と発泡剤を飲んで、胃全体の形や動きを観察する胃X線造影(胃バリウム)検査で、胃の壁が硬くなっているために、胃の動きが通常と違うことが確認され、早期発見につながるというケースです。

また、腹膜播種によって腹水が発生していて、CT(コンピュータ断層撮影)検査や腹部超音波(エコー)検査で発見されるケースや、肝臓や肺への転移巣が先に見付かって、いろいろ調べていく過程で発見されるケースもあります。

内科、外科、消化器科の医師による治療では、ほかの胃がんと同様に、手術、抗がん剤治療、放射線療法の3大療法を組み合わせ、がんの進行度に合わせて施していきます。

ほかの臓器に転移がないと判断された場合は、まず手術を行いますが、胃での広がりが進んでいる場合は、先に点滴や内服薬での抗がん剤治療を行ってから手術を予定するケースもあります。

腹膜播種の場合は、手術が難しく、手術でがん細胞を切除できたとしても、5年生存率は10パーセント程度で、予後は不良です。

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