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色素性じんま疹



肥満細胞が皮膚に蓄積して、小さくて赤みがかった褐色の発疹や丘疹をつくる疾患

色素性じんま疹(しん)とは、肥満細胞が皮膚のあちこちに蓄積して、小さくて赤みがかった褐色の発疹や丘疹をつくる疾患。皮膚肥満細胞症の一種で、大きくは肥満細胞症の一種です。

マスト細胞とも呼ばれる肥満細胞の数が増加して、組織に蓄積すると、色素性じんま疹を発症します。肥満細胞は免疫システムを構成する細胞の仲間で、アレルギー反応や胃酸の分泌に関与する物質であるヒスタミンを産生します。この色素性じんま疹では肥満細胞の数が増えるので、ヒスタミンの量も増加します。しかし、何が原因で肥満細胞の数が増えるのかは、わかっていません。

生後2年以内の小児に発症することが多いものの、成人になってから発症することもあります。

小児の色素性じんま疹は、ほとんどが10歳から15歳までに自然治癒しますが、成人の色素性じんま疹は、慢性の経過をたどることが多いようです。また、小児の色素性じんま疹が進行して、肥満細胞症の一種で、肥満細胞が皮膚のみならず胃、腸、肝臓、脾臓(ひぞう)、リンパ節、骨髄に蓄積する全身性肥満細胞症になることはめったにありませんが、成人の色素性じんま疹では難治性の全身性肥満細胞症になることがよくあります。

色素性じんま疹では、発疹や丘疹をこすったり、引っかいたりするとかゆくなることがあります。かゆみは、温度の変化、衣類などによる摩擦、薬の使用などでひどくなることがあります。熱い飲み物、香辛料の入った食品、アルコール類の摂取、そして運動によってもかゆみが増す場合があります。

かゆい部分をこすったり、引っかいたりすると、赤いみみずばれのような状態になったり、皮膚が赤く火照ったりします。

症状には個人差があり、発疹や丘疹が全身にわずかに生じることもある一方で、頸部(けいぶ)や胸部、背部、腹部に相当な数が生じることもあります。同じ部位で何度も繰り返し発疹や丘疹が生じるのが、特徴です。

症状が進行して、全身性肥満細胞症を発症すると、皮膚に現れる症状のほか、消化性潰瘍(かいよう)も起きることがあります。これは、ヒスタミンが過剰に産生されて胃酸の分泌を促進するためです。潰瘍によって腹痛が起き、吐き気、嘔吐(おうと)、慢性の下痢が起きることもあります。

さらに、肝臓と脾臓が機能不全を起こして腹水がたまった場合は、腹部が膨隆します。骨髄で肥満細胞が増殖すると、骨の痛みが現れます。

症状は広範囲にわたり、重症化して、入浴や皮膚摩擦などがヒスタミンの放出刺激となって、呼吸困難や意識障害、けいれんなどを生じることもあります。

白血球が産生される骨髄に過剰に肥満細胞が蓄積すると、血液細胞を十分に産生できなくなって、骨髄球性白血病などの重い血液疾患を来すことも、まれにあります。そのほかの臓器でも、肥満細胞が多数集まると機能不全が起こり、結果として生命にかかわることがあります。

色素性じんま疹の検査と診断と治療

皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、特徴的な症状から色素性じんま疹を疑い、皮膚または骨髄の生検により診断を確定します。通常は皮膚の組織を採取して、顕微鏡を使って肥満細胞の有無を調べます。骨髄の組織を採取して、顕微鏡を使って肥満細胞の有無を調べることもあります。

また、血液検査で肥満細胞に関連する化学物質の量を調べます。化学物質の量が増えていれば、全身性肥満細胞症と診断する根拠になります。

皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、色素性じんま疹の場合には、皮膚症状によってステロイド外用剤の塗布、あるいはステロイド剤の局所注射を行います。皮膚症状の悪化やかゆみを抑制するために、抗ヒスタミン剤の投与も有効です。

全身性肥満細胞症の場合には、抗ヒスタミン剤と、胃酸を抑えるヒスタミンH2受容体拮抗(きっこう)剤(H2ブロッカー)を投与します。クロモグリク酸を投与すると、消化器症状と骨の痛みを軽減できます。

白血病を発症した場合には、抗がん剤を週に1回、皮下に注射すると、骨髄への影響を抑えられることがあります。短期間であればステロイド剤の投与も効果的です。しかし、3~4週間を超えて投与を続けると、さまざまな重い副作用が起きることがあります。

脾臓に多量の肥満細胞がたまっている場合には、脾臓を摘出することがあります。

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