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女性性器結核



結核菌が女性の生殖器に感染することによって起こる感染症で、肺外結核の一種

女性性器結核とは、結核菌が女性の生殖器に感染することによって起こる感染症。肺外結核の一種です。

原因菌である結核菌は、正式な名称をマイコバクテリウム・ツベルクローシスで、グラム陰性無芽胞性桿菌(かんきん)に所属する抗酸性の細菌です。この結核菌は、酸、アルカリ、アルコールに強い上に乾燥にも強く、また空気感染を引き起こします。

基本的には、その多くは肺に孤立性の臓器結核を発症する肺結核の病原菌になりますが、低い頻度ながら、肺外結核と呼ばれる肺以外への結核菌感染症を引き起こします。

肺外結核は、主に結核菌が血管を通って全身にばらまかれ、そこに病巣を作る粟粒(ぞくりゅう)結核によって起こります。腎(じん)臓とリンパ節に起こるものが最も多く、骨、脳、腹腔(ふくこう)、心膜、関節、尿路、そして男女の生殖器にも起こります。

女性の性器結核は、結核菌が卵管、子宮内膜、卵巣、腟(ちつ)壁に病巣を作ることによって起こります。

結核菌が血管を通って卵管、子宮内膜、卵巣などに連続的に感染することが多く、一方では腎臓、尿路の結核に続発して卵管などに逆行性に感染したり、男性の性器結核者から膣口を通して直接的に感染したりします。

女性性器結核は、粟粒結核を作り、滲出(しんしゅつ)性病変と増殖性病変とを形成しながら、次第に周囲の組織と癒着していきます。このため、卵管の狭窄(きょうさく)や癒着が起こり、卵管に腫瘤(しゅりゅう)や高度の癒着が生じます。また、子宮内膜に炎症が起こると、受精卵や卵子の着床障害を引き起こすことがあります。

そのため、不妊症や月経異常、不正出血、下腹部痛、腹部の膨満感、腰痛などの症状がみられることがあります。

しかし、女性性器結核は、ほとんどが自覚症状がないままに経過するので、不妊症の検査を受けて発見されることもあります。

結核が減少している近年では、結核の二次的発症である女性性器結核の頻度は低下しています。

女性性器結核の検査と診断と治療

産科、婦人科、あるいは泌尿器科の医師による診断では、月経時の経血から結核菌が存在するかどうかを調べる月経血培養検査を行います。

通常生理が始まって1~3日目の経血が最も多くなる日を検査日として、膣内にたまっている経血を注射器などで採取して数十時間培養し、含まれている菌の種類や量を調べます。結核菌が存在する場合、性器結核を発症していなくても月経不順や無月経などになっていることもあります。

卵管の狭窄、癒着があるかどうかを調べるために、子宮卵管造影検査や腹腔鏡検査などを行うこともあります。

産科、婦人科、あるいは泌尿器科の医師による治療では、抗結核剤の投与による化学療法を中心とする内科的療法を行います。

肺結核に準じて、普通、最初の2カ月間はリファンピシン、ヒドラジド、ピラジナミド、エタンブトールまたはストレプトマイシンの4種類の抗結核剤を投与し、その後はリファンピシンとヒドラジドの2種類の抗結核剤の投与にし、合計6カ月で治療を完了します。

ピラジナミドを初め2カ月間使うと殺菌力が強く有効ですが、80歳以上の高齢者や肝機能障害のある人には使えません。この場合には、治療は6カ月では短すぎ、最も短くて9カ月の治療が必要です。

抗結核剤の投与によっても完治しない場合には、外科的療法を検討します。腎臓結核により片方の腎臓の機能が完全に失われている場合には、内科的療法の前に腎臓を摘出する外科的療法を先行することを積極的に検討します。

自覚症状があまり現れないため、結核菌が発見されて治療が始まっても、薬の服用を忘れてしまったり自己判断でやめてしまう人もいます。しかし、結核菌は中途半端な薬の使用で薬に対する耐性ができてしまうこともあるので、服用の必要がなくなるまできちんと検査を受ける必要があります。

早期発見、早期治療を行えば女性性器結核は治りますから、これが原因となっていた不妊であれば、妊娠する可能性も高くなります。

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