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細菌性角膜炎



目の角膜に細菌が感染して、強い炎症を起こす疾患

細菌性角膜炎とは、目の角膜に細菌が感染して、強い炎症を起こす疾患。

角膜は、黒目の表面を覆う透明な無血管組織で、4つの異なった層からなっています。外界の光が目の中に入る入り口となるとともに、目の屈折力の約7割を担うレンズとしての役割も果たしています。三叉(さんさ)神経が多岐に分布し、知覚が非常に鋭敏であるという特徴があり、厚さ1ミリながら目の中の組織を守るために膠原線維(こうげんせんい)というとても丈夫な線維組織で作られています。

この角膜は、常に外界と接して空気にさらされているために乾燥したり、ほこりが付いたりします。そこで、まばたきというまぶたの動きによって、常にその表面を涙で湿らして、ほこりを取り除き、細菌を始め、かび、ウイルス、アメーバなどの侵入を防いでいます。涙には、細菌感染などから目を守るさまざまな分子が含まれています。

しかし、目にゴミが入ったり、目を強くこすったり、涙の出る量が少なくて角膜が乾燥したりすると、角膜の表面に傷が付いて、傷口から細菌が侵入し、感染を起こします。

近年は、コンタクトレンズを介して細菌が侵入し、角膜上皮で増殖して感染を起こすケース非常に増えています。涙の出る量が少なかったり、コンタクトレンズを長時間装用しすぎたりすると、目の中の細菌が洗い流されずに定着して、増殖しやすくなり、細菌性角膜炎の発症につながります。また、レンズケースの洗浄を怠っていると、ケース内で細菌が増殖してコンタクトレンズに付着し、目の中に細菌が持ち込まれることもあります。

目の角膜に感染する主な細菌は、ブドウ球菌、緑膿(りょくのう)菌、連鎖球菌などです。

細菌性角膜炎の症状は、炎症の原因、位置、大きさなどによって異なりますが、通常は片眼性で、一般的には激しい目の痛み、目の充血、視力低下、異物感、流涙、目のかすみ、まぶしさなど。

角膜には三叉神経が走っているために、炎症が起きると激しい痛み、異物感が生じます。そして、炎症が進行すると角膜が濁って視力が低下していきます。ひどくなると、角膜に穴が開いて失明する危険性も伴います。角膜に穴が開いた時は、温かい涙が突然たくさん出ます。これは、眼内液である房水(ぼうすい)が外へ突然漏れ出すためです。

また、細菌が目にとどまっているために、コンタクトレンズを外しても症状は消えません。むしろ、コンタクトレンズを外した時のほうが、痛みや異物感が増すこともあります。

細菌性角膜炎は日に日に症状が悪くなる疾患で、治療のスタートが遅れれば遅れるほど予後が悪くなるため、早く眼科を受診する必要があります。ゴミなどの異物が入った時は、それが細菌の感染の切っ掛けになるため、症状が軽くても、やはり放置せず眼科を受診する必要があります。

コンタクトレンズが感染源として疑われた場合は、そのコンタクトレンズをレンズケースの保存液に浸したまま持っていけば、検査設備の整った医療機関なら、そこから原因となった細菌を見付けることができることがあります。

細菌性角膜炎の検査と診断と治療

眼科の医師による診断では、細隙灯(さいげきとう)顕微鏡で角膜を観察して、角膜炎の診断を行います。一般的に、病変部は混濁するとともに、病変周囲の角膜組織には浮腫(ふしゅ)が生じています。

細菌性角膜炎の可能性がある場合は、角膜の悪くなっている部分をこすり取って、顕微鏡で調べたり、培養したりして、細菌が感染していることを確認します。同時に、病原体となっている細菌の種類を同定する検査と、どのような抗菌剤が有効かを調べる薬剤感受性試験を行います。

眼科の医師による治療では、原因となっている細菌に感受性を示す抗菌剤を必要、かつ十分に投与することを原則とします。ただし、原因菌の同定や薬剤感受性試験の結果が出るまでには一定の日時を要するため、病歴や細隙灯顕微鏡所見などから原因菌を想定して、治療を開始する必要があります。

通常は、有効な抗菌剤を配合した点眼薬や眼軟こうによる治療が主体となりますが、病状によっては、白目の表面を覆っている眼球結膜下への抗菌剤の注射、点滴、内服などを併用することもあります。この場合は、多くは入院治療が必要となります。

症状が軽い場合は、短期間で治って予後も良好です。治療が遅れた場合は、病変が角膜中央部に及んでいると、たとえ病変が治癒しても瘢痕(はんこん)性の角膜混濁を残し、視力障害が残る可能性があります。

重篤な視力障害が残った場合には、角膜移植などの手術治療が必要となることがあります。

細菌性角膜炎の治療中は、風、ゴミ、光などの刺激から目を守ることが重要です。

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