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新生児壊死性腸炎



新生児の未熟な腸管に発症し、出血や壊死が起きる消化管疾患

新生児壊死(えし)性腸炎とは、未熟な腸管に発症する後天性の消化管疾患。

広範囲の腸管に出血や、組織や細胞の一部が死滅する壊死が起き、死亡率も高く、新生児医療における重い疾患の一つです。壊死の範囲や程度によって、重症度に幅があります。

原因は不明ですが、未熟な小腸と大腸への血液の流れが障害され、それに細菌などの感染症、人工ミルクによる腸管へのストレスなどの誘因が加わり、発症すると考えられています。症例の4分の3は、出生体重が1500グラム未満の極低出生体重児に発症しています。

生後4〜6日に発症することが多く、その多くは授乳開始後に発症しています。出生体重が1000グラム未満の超低出生体重児や、重度の子宮内胎児発育遅延が認められた新生児では、授乳開始前に発症するケースもあります。

症状としては、胃の中のミルク停滞、腹部膨満、粘血便などを認めます。腸管に孔(あな)が開く腸穿孔(せんこう)を起こすと、腹腔(ふくこう)内に腸管の内容物が漏れて腹部全体に炎症を起こす腹膜炎や、細菌が血管などに入り全身に感染する敗血症を生じ、重症になることがあります。

ほとんどが新生児特定集中治療室(NICU)に入院中の新生児に発症するため、全身管理を行い、必要であれば直ちに外科治療を行う必要があります。

新生児壊死性腸炎の検査と診断と治療

小児科、小児外科の医師による診断では、特徴的な症状に加え、腹部X線(レントゲン)検査を行うと、腸管拡張像、腸壁内ガス像、腸と肝臓をつなぐ門脈内ガス像が認められます。

非典型例では腸管内のガスが乏しく、腸管に孔が開く腸穿孔の後に初めて、新生児壊死性腸炎と判断されることもあるため、繰り返し腹部X線検査を行って経過観察することが重要になります。

小児科、小児外科の医師による治療では、早期診断、早期治療が重要で、新生児壊死性腸炎が疑われたら授乳を禁じ、胃管を入れて内容物を外に吸出して腸管の減圧を行い、輸液の点滴、抗生剤の投与を開始します。呼吸や血液循環の積極的管理も行います。

内科的治療で改善傾向が認められない場合や、腸が穿孔した場合には、手術を行います。穿孔が部分的であれば、穿孔した腸と壊死した腸管を可能な限りに切除し、切除した端と端をつなぐ手術をします。穿孔と壊死が広範囲に及んでいれば、切除した端と端を消化管ストーマ(人工肛門〔こうもん〕)にします。その後、状態や体重増加、時期をみて、消化管ストーマを閉鎖する手術を行います。

新生児壊死性腸炎の発症率は、新生児集中治療室(NICU)に入院中の新生児の0・2パーセント前後です。死亡率は30~40パーセントとされ、救命率は治療の時期や壊死範囲、出生体重で異なります。極低出生体重児では死亡率は依然として高く、予防と早期治療が最も大切です。

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