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声帯委縮



声帯の容積が減少して、声門に透き間ができ、声がかすれる状態

声帯委縮とは、声帯の容積が減少して弓状になり、声を出そうと声門を閉じても透き間ができ、声がかすれる状態。

声帯は、のど仏を形成する甲状軟骨の中にある縦16~20ミリ、横10ミリ、厚さ3ミリほどの細長い粘膜とその回りにある結合組織に包まれた帯状の器官。左右1枚ずつ、計2枚の対になっています。

声の元になる音は、左右2枚の帯状声帯の声門が男性で毎秒100回、女性で毎秒250回左右に開閉して振動を生じ、その振動が口や鼻の中で響きや音色が変えられて実際の声になるのです。また、声帯は、飲食物が誤って肺に入らないように閉じて誤嚥(ごえん)を防ぎ、肺炎を起こさない役目も果たしています。

この楽器の弦のような声帯の容量が減少し、委縮するのが、声帯委縮です。声門がきちんと閉じなくなるため、その透き間から息が漏れて、声がれ、すなわち嗄声(させい)を生じたり、声が小さく弱々しくなる、声が震える、声が詰まって長く続かなくなる症状が起きます。また、声に力が入りにくい、せき込む、のどがむせるなどの症状が同時に現れる場合もあります。

声がれが生じたために、のどを休めて安静にしていたことで、ますます声帯が委縮し、声がほとんど出ない状態にまで進行することもあります。

声帯委縮を来す代表的な要因としては、加齢に伴う変化、声帯まひ、声帯溝症があります。加齢に伴う変化は高齢者、特に男性に多くみられ、声帯全体が弓状に委縮して生じます。声帯まひは、声帯を動かす神経のまひによって生じます。声帯溝症は、声帯粘膜の縁に前後に走る溝状のくぼみができるもので、生まれ付きのこともありますが、後から炎症などが原因となって生じることもあります。

長年の声の使いすぎによるものや、原因不明のものもあります。20歳代~50歳代の人に起こる場合もあります。

嗄声が続く場合には、とりわけ喫煙者は喉頭がん(声門がん、声門上がん、声門下がん)の可能性も念頭に入れて、耳鼻咽喉(いんこう)科を受診することが勧められます。

声帯委縮の検査と診断と治療

耳鼻咽喉科の医師による診断では、喉頭ファイバースコピー検査、喉頭ストロボスコピー検査、発声機能検査などを行います。喉頭がんを疑う声帯の所見がある時には、組織を採取して調べる病理組織検査を行います。

耳鼻咽喉科の医師による治療では、音声治療を行い、発声訓練によって声帯を若返らせたり、筋肉訓練によって声帯に強い力が働くようにしたりします。

保存的治療を行っても効果がない時や、ある程度以上の声帯委縮がある場合は、手術的治療を行います。手術的治療には声帯内注入術があり、アテロコラーゲンや自家脂肪などを声帯内に注入し、声帯の厚みを回復させます。手術は局所麻酔で行い、声を出しながらよい声が出るまで調節します。手術後は、音声治療による発声訓練などを行います。

手術的治療には喉頭顕微鏡下手術として行う甲状軟骨形成術1型、甲状軟骨形成術4型などもあり、1型では声帯を内部に移動させて、声帯の間の透き間を少なくし、声を出しやすくします。4型では、甲状軟骨とその下にある輪状軟骨とを近付けることで、声帯を前後に引っ張り、緊張を高め、声を高くします。

甲状軟骨形成術1型と4型の手術は全身麻酔で行い、入院が必要です。手術の前日に入院し、入院期間は約3~5日間。また、この手術の後には声帯の傷の安静のために、1週間前後の沈黙期間を要します。

声帯委縮を予防するためには、ふだんから声の衛生観念を持って過度の喫煙や飲酒、乾燥した空気を避け、声帯を大事にすることが大切です。声帯の疾患になりやすい声を使う環境を考慮しないと、症状が悪化したり、治療後に病変が再発する可能性があります。

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