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脂肪肉腫



脂肪を含んだ細胞が悪性化した悪性腫瘍で、悪性軟部腫瘍の一種

脂肪肉腫(にくしゅ)とは、脂肪を含んだ細胞が悪性化した悪性腫瘍(しゅよう)。体の軟部組織から発生する軟部肉腫(悪性軟部腫瘍)の一種です。

軟部肉腫の日本での発生率は10万人に2人くらいで、まれな腫瘍です。種類は多くて30種類以上あり、脂肪肉腫は発生する頻度が比較的高くなっています。

脂肪肉腫は体全体に発生しますが、一番多いのは太ももと骨盤内部の後腹膜腔(こうふくまくくう)で、30歳代から60歳代の広範囲にわたった世代にみられます。

また、脂肪肉腫は4つに分類され、四肢の深部や後腹膜腔に出現し、悪性腫瘍と良性腫瘍の中間に分類されている高分化型脂肪肉腫を始めとして、脂肪肉腫の3分の1を占め、粘液を含んだ異常な細胞と脂肪の性質を持つ細胞が見られる粘液型脂肪肉腫、脂肪の性質を持つ細胞を含むものの、もっと悪性度の強い肉腫細胞が多く見える多形型脂肪肉腫、高分化脂肪肉腫の中に、より悪性度が高いほかの形態をとる肉腫が発生する脱分化型脂肪肉腫とがあります。

脂肪肉腫の症状としては、急に大きくなった痛みを感じない、しこりです。悪性度が高ければ痛みを伴いますが、それ以外の場合は無痛なのが一般的です。しこりの部分には、熱感があります。
  
発生した部位によって症状も異なり、太ももなど筋肉の厚い部位で、骨に近い深部に脂肪肉腫が発生すると、しこりを触れることが難しく、太もも全体が大きくはれたようになることもあります。膀胱(ぼうこう)付近に脂肪肉腫が発生すれば頻尿になり、腸付近に発生すれば便秘になります。手足に発生すればしびれやむくみなどが出て、しこりが大きくなると、はれてきて関節が曲がらなくなったり、座れなくなったりすることもあります。
  
脂肪肉腫が進行していくと、最初に発生した部位から、血液やリンパ液の流れに乗って悪性の細胞が移動し、ほかの臓器に転移することもあります。一般的に、肺転移が最も多くみられますが、粘液型脂肪肉腫の場合は肺ではなく肝臓への転移が多くみられます。

脂肪肉腫の発生原因は、まだ解明されておらず、遺伝性があるということだけはわかっている状態です。粘液型脂肪肉腫では、染色体の異常により、2つの遺伝子が一部分のみくっ付き新たな遺伝子を生み出すキメラ遺伝子が、腫瘍の原因遺伝子と考えられています。しかし、なぜキメラ遺伝子が腫瘍を生み出すのかについては、いまだ解明されていません。
  
そのほかの脂肪肉腫については、特異的な遺伝子配列の異常は認められず、染色体の形態が何らかの働きで異常を起こし、細胞の遺伝子情報が変化することが原因ではないかと考えられています。

脂肪肉腫は難治性の腫瘍の一つであり、最初の治療の成否により予後に大きな差が出てきますので、疑わしい症状に気付いたら多少の地理的な不便があっても、がん専門病院や大学病院の整形外科を受診することが勧められます。

脂肪肉腫の検査と診断と治療

整形外科の医師による診断では、まず視診と触診を行います。皮膚に治りにくい潰瘍(かいよう)ができているもの、腫瘍が深部に発生し硬いもの、腫瘍の大きさが5センチを超えるものは、脂肪肉腫の可能性があります。

その場合は、針を刺して組織の一部を取り出して調べる針生検を行ったり、CT(コンピュータ断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査、超音波(エコー)検査、血管造影検査などを行います。

肺の転移を調べるためには肺の断層撮影やCT検査、リンパ節転移やそのほかの臓器への転移を調べるためにはアイソトープを使った腫瘍シンチグラフィー(RI)検査などを行います。同時に、1センチ角の組織を切開して病理組織学的に調べ、腫瘍の種類を判断します。

整形外科の医師による治療では、一般的には手術によって脂肪肉腫を摘出します。手術をする際には、再発予防のために正常な組織の一部分も一緒に切除するという広範切除術が原則となります。

最近では、発症者への体の負担を考慮して、縮小手術や、上肢や下肢を切断しない患肢温存術をする医療機関も増えてきています。

悪性度の高い脂肪肉腫では、手術による摘出に併せて、抗がん剤を用いる化学療法や、腫瘍を小さくする放射線療法、さらには電磁波を当てて温める温熱療法など、さまざまな治療を組み合わせて集学的治療を行います。

従来、化学療法は副作用が強く、つらい治療の一つでしたが、最近は副作用を軽減する新しい薬剤や、いろいろな支援療法が行われています。

いずれも治療が終了した後も、再発防止のために経過観察を継続する必要があります。

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