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三角筋肩峰部褐青色母斑



生まれ付きか乳児期に発症し、褐青色のあざが肩や腕に発生する皮膚の疾患

三角筋肩峰部褐青色母斑(さんかくきんけんぽうぶかっせいしょくぼはん)とは、生まれ付きか乳児期に発症し、褐青色の母斑が肩や腕に認められる皮膚疾患。伊藤母斑、肩峰三角筋部褐青色母斑とも呼ばれます。

皮膚の一部分に色調や形状の異常として現れるものが母斑で、あざとも呼ばれています。ほくろ(黒子)も母斑の一種で、その一番小さい型に相当します。

三角筋肩峰部褐青色母斑は、胎児期から多くは生後1カ月以内の乳幼児期に症状が現れ、男子より3倍多く女子に認められます。

原因は、メラノサイト(メラニン細胞、色素細胞)にあります。通常は表皮にあって、メラニンという皮膚の色を濃くする色素を作り出すメラノサイトが、深い部分の真皮に存在し増殖しているために、皮膚が褐青色に見えてしまいます。

母斑は、後鎖骨上神経および外上腕皮神経の支配領域にみられ、肩峰という肩甲骨の最も上の部分を中心に、肩関節を前後および外側から覆っている三角筋がある鎖骨上部、上腕外側に、淡褐色の皮膚の上に濃青色から青みを帯びた小さな斑点がたくさん集まった状態で現れます。皮膚の表面は滑らかで、盛り上がったりしません。片側だけの肩や腕に出現することが多いものの、まれに両側の肩や腕にも出現することがあります。

通常、母斑は大きさや状態が変化せず持続して存在し、自然に消えることはありませんが、悪性化を心配することもありません。

本人が特に気にしなければ、治療の必要はありません。気にするようなら、皮膚科、皮膚泌尿器科、ないし形成外科を受診することが勧められます。

三角筋肩峰部褐青色母斑の検査と診断と治療

皮膚科、皮膚泌尿器科、形成外科の医師による診断では、部位や母斑の様子から視診で判断します。皮膚をほんの少し切り取って病理組織検査を行うと、真皮上層に色素含有メラノサイトが認められます。

また、蒙古(もうこ)斑が手足や顔、腹部、背中の上部、胸などに現れる異所性蒙古斑や、通常のほくろよりも全体に青色が強く、青色から黒色調に見えるタイプのあざである青色母斑などの皮膚疾患と鑑別します。

皮膚科、皮膚泌尿器科、形成外科の医師による治療では、悪性化の心配はないため、見た目の問題で気になるならQスイッチレーザー治療により、母斑を除去します。

Qスイッチレーザー治療は、レーザー光線を皮膚に当てるもので、皮膚の表面にはダメージを与えず、その下の真皮上層にあるメラノサイトを選択的に焼灼(しょうしゃく)することができます。ルビーレーザー、アレキサンドライトレーザー、ヤグレーザーなどがあり、レーザーの種類により多少の効果や経過の違いがみられます。

いずれのQスイッチレーザー治療も痛みを伴うため、麻酔シール、注射などを使用して痛みの緩和を行い、およそ3カ月の間隔で、少なくとも5~6回の照射を行います。まれに軽い色素沈着を残したり色素脱出を来すこともありますが、治療はほぼ100パーセントうまくいきます。

治療時期は何歳からでも可能ですが、小児の場合は乳幼児期からの早期治療が有効です。成人の場合でも、完全に母斑を除去することが可能です。

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